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2 友也の憂鬱

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 北海道にしては暑すぎる日曜日の午後、俺は涼を得るために図書館へと向かっていた。
 今朝まで降っていた雨のせいか暑さがまとわりつくような気がする。風が吹いてはいるがただ暑い空気の塊が移動しているにられない、早くクーラーの効いた図書館へ行かないと身体が溶けてしまいそうだ。
 朝九時にガラガラと音を起てたかと思ったらエアコンはうんともすんとも言わなくなってしまった。エアコンが壊れた瞬間に立ち合ったのである。
 例年だと、この時期の平均気温はだいたい二十七度位だとテレビの天気予報で言っていたが、そんな辭を嘲笑うかのように午前中に三十度をいとも簡単に越えてしまった。
 家を出てしぐに和成と出会い図書館へ行くのが遅くなってしまった。
 公園付近を歩いていると、敦史と夕夏が二人で喫茶店にバイク行くのを見掛けた。
 敦史が言っていた彼女とは夕夏の事だったのか? 知らなかった。
 そんな事はどうでもいい、今は早くクーラーの効いた図書館へ行くのが最優先事項である。

 図書館の前に着いた時にはもう汗でTシャツはびっしょりと濡れていた。
 中に入りひんやりとした室内の椅子に座り何をするでもなく、涼んでいると、時間が経つにつれ濡れたTシャツが冷たくなってくる。
 だんだん寒くなってきて、辛抱たまらず室外へ出るとまだ、暑い風の吹く中を家路につく事にした。

 大通りを横切り商店街に差し掛かった所で高志と会った。
「よっ! 高志」
「おお、友也!」
 高志には連れがいた。
「どうも、緋山友也です」
「はじめまして、高志がお世話になってます」
 年の頃なら二十前後、高志のお姉さんだろうか?
「こちらこそ、お世話になってます」
 そう言って高志に誰なのか紹介を促す。
「こいつは俺の従姉で橋元香保里、大学三年生」
 今度は軽く会釈する。
「これからさくらの所に行くんだが友也もくるか?」
「遠慮しておく」
 そう言って歩き出そうとする俺に向かって、
「加奈子も来るんだが、そうかそれは残念だ」
 その言葉に身体が反応する。
「それなら仕方がない、行こうか?」
 訊けばさくらはこの近くの喫茶店いると言う。高志の後を付いて行くとそこは敦史と夕夏が入っていった喫茶店だった。
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