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3 依頼

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 喫茶店の中にはお客さんがカウンターに二人、奥のテーブル席にさくらと夕夏が並んで座って、その向かいに敦史と加奈子が並んで座っているだけだった。
 夕夏たちの隣のテーブル席に座ると高志が連れて来た橋元香保里さんをさくらに紹介する。
「部長! 連れきました、話は直接」
「分かった」
そう言ってさくらが橋元さんの方に顔を向ける。
「どうも、御崎さくらです」
「橋元香保里です」
 お互いに挨拶を交わすとさくらが自分の前に座るように促す。
 それに伴い、敦史と加奈子が席を移動し俺の前に座る。
 橋元さんが席に着くのを待ってさくら口を開く。
「早速ですが最初から詳しくお話願いますか?」
「はい、昨日いつものように学校から午後三時半に帰ってきた妹は、午後四時に塾に行くため家を出ました。私も友達と会うため途中まで一緒でした。私は真っ直ぐ、妹は交差点を左に、でも妹に母から伝言をあずかっついるのを思い出し直ぐに交差点まで戻って曲がった方を見てみるともうそこに妹の姿はありませんでした」
 話を目を閉じたまま訊いていたさくらが俺たちの方を見てどう思う? と訊いてきた。
 最初に口を開いたのは敦史だった。
「誘拐だろうね、警察に行った方がいいね」
 次に口を開いたのは夕夏だった。
「誘拐なら身代金とか何か連絡が来るんじゃないかな?」
 さくらが口を挟む。
「とりあえず探してみようか?」
「探すったってどうやて探す? まさかしらみ潰しって言うんじゃないよな?」
 加奈子が拒否する。
「それだよ加奈子、まだ事件性があるかどうかは分からないが」
「俺は嫌だぞ、そんな不確かなやり方なんて」
 敦史がかぶりを振る。
「この仕事は友也と夕夏にやって貰う」
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