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5 事件

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 御崎探偵事務所の前に着くと入り口の所でさくらが待っていた。
 二階に上がって行くと御崎探偵ともう一人、
それと同好会のメンバーが待っていた。御崎探偵とスーツ姿の男性に会釈をして事務所の中に入った。
 御崎探偵が俺に向かってなのか同好会メンバーに向かってなのか声を掛ける。
「大丈夫! 我々が無事に夕夏くんを探しだすから、君たちは心配しないで」
 みんながお願いしますと言うなか、さくらは探偵に向かい、
「わたしたちはわたしたちで動くから」
「さくら、夕夏くんの安否がかかってるんだ。軽率な行動は控えた方がいい」
「大丈夫、何か分かったらちゃんと連絡するから」
 そう言ってさくらは俺たちの顔を見回した。
「俺たちに出来ることなんてあるのかよ?」
 敦史がそう言ってさくらの顔を見る。
「あるんじゃないか、何か?」
 高志が俺たちに向かって言った。
 俺はさっきからスーツ姿の男が気になって話には加わらなかった。
「こちらの方は?」
 こっそりさくらに訊いてみる。
「君にはまだだったな、この人は今日から御崎探偵事務所に入社した元警察の藤木さんだ」
「元警察、ですか」
 頭の中でいろんな事がぐるぐる廻っていた。今後どうすればいいのか、どう行動すればいいのか、御崎探偵の見解は二件とも誘拐で間違いないだろう、と言う事だった。
 犯人のふ目的が分からない、何故夕夏を誘拐したのか、なんの目的で連れ去ったのか俺には見当もつかなかった。
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