再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

松本ユミ

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愛しい幼なじみ side哲平

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本当はすぐにでも美桜の職場に行きたかったけど、出張とかが重なって身動きが取れなかった。
少し落ち着いたので、仕事の合間に美桜の働いている惣菜店に寄ってみた。

しかし、配達に行っているのか店内に美桜の姿はなく、閉店後にまた来てみようと弁当だけ買って店を出た。
夜、再び惣菜店に行き、仕事を終えた美桜を強引に食事に誘った。
こうでもしないと話も出来ないと思ったからだ。

行きつけのバーに美桜を連れて行くと、マスターの朔斗さんがニヤニヤしながら話しかけてきた。

「哲平くん、いらっしゃい。珍しく今日は一人じゃないんだな」

その顔はやめてくれ。
いろいろ悩みを聞いてもらっているから、余計なことを言われそうで素っ気なく返事をした。

俺がパスタを食べている間に美桜の酒はどんどん進む。
美桜は朔斗さんとも話し出し、すっかりリラックスした状態になっていた。
顔が赤くなっているから飲み過ぎだと忠告しても大丈夫だと言い張る。
真剣な話をするのに酔っぱらってしまっては困るので、一旦、酒を遠ざけた。

俺はずっと持っていた桜のピンをポケットから出してカウンターの上に置いた。
「覚えているか?」と聞くと、美桜もそのピンのことを覚えていたみたいで、驚いた表情で俺の顔を見た。

俺は、あの時のことを誠心誠意謝罪した。
許してもらえるかは分からない。
だけど、あの暴言を吐いてしまった経緯を話してからピンを返そうとずっと心に決めていた。

謝罪すると、美桜は笑顔で「ありがとう。謝ってくれたから許してあげる」と言ってくれ、俺は安堵から大きく息を吐いていた。

そして、俺たちの関係が変わる出来事が起こった。

酔っているのか美桜は俺の家で飲み直そうと言い出した。
コイツは言っている意味を分かっているのか?
返事を曖昧に濁すと、俺に彼女がいるから家に呼べないんだと言う。

彼女か……。
そういう存在はいない。
高校三年の時、文化祭の企画でミス&ミスターコンテストがあり、俺は不本意ながらミスターに選ばれてしまった。
ステージに上がるように言われ、渋々それに従った。
ステージ上でミスに選ばれた同じクラスの女子と付き合えというヤジが周りからおこった。
その女子も断ればいいのに、「鳴海くんと付き合いたい」なんて言う始末。

全校生徒の前で断るのも酷かと思い、形だけでもというつもりでその場を乗りきった。
次の日から、すっかりその気になった女子が一緒に帰ろうだの、昼も一緒に飯を食べようだのとベッタリとくっついてきて彼女面。

ミスコンに選ばれるぐらいだから、容姿端麗で人気もある。
だけど、申し訳ないが俺の気持ちは微塵も動かない。
自分の中でいつまでたっても、美桜の存在が消えることはない。
我慢できなくなった俺は、別れを切り出した。

そもそも、何で俺がそんなことをしないといけないんだよ、という話だが。
形だけで俺は付き合っている気はさらさらなかった。
そいつの存在にイライラして、早く解放されたかった。
嫌だと泣かれてしまったが、その女子に気持ちがないのに付き合い続けることはどうしても出来なかった。
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