ズタボロ領地で成り上がれ！ 〜チートなし転生者の伝説〜

初めての町とは？

最初に僕の目に飛び込んできたのは、巨大な噴水の広場だった。

見たこともない景色に言葉を失っていた僕に、アンナは優しく話しかけてくれた。

「ここが町の中心に位置する噴水広場ですよ。　いつもはひらけた場所として町民の憩いの場となっていますが、今日は行商人市ということで流石にすごい人ですね・・・　とりあえずまずは小麦を買いに行きますよ。」

そういうと彼女は僕の手を取り、人混みの中へと足を進め始めた・・・






「遠い異国の武器で刀と呼ばれるものだよ～。　見てこの美しい形。　4500000Gでどうだい？」

「この野菜はな、テンサイって呼ばれてるものだ。　食べたら頭がよくなるかもしれないぞ？」

「この黒い粉をな？　パスタにかけるんだ。　ほらいい匂いだろ？　コショウ１瓶3000Gで売ってやるよ！」





前世の記憶を持つ僕の耳には、行商人市で売り文句として言われてる言葉の中にたくさんの懐かしさを感じた。
できれば市で売っているものを見てみたい・・・・

そんなことを思っているといつの間にか、噴水広場を抜け、ひときわ大きいお店の前にいたのだった。

「いらっしゃい！　アンナの嬢ちゃん、　おっ、一緒に連れてる子は誰だい？」

「この方は、ジョージ様のご子息のアレス様ですよ。」

「おっ、こいつは失礼した。　俺は小麦商人のエドってもんだ、よろしく頼むよ」

コミカルな声とともに、陽気なおじさんが僕に挨拶をしてきたので、僕も微笑みながら

「よろしくお願いしますね？　エドさん」

「おいおい、敬語はやめてくれ。　よろしく！　エドって言ってくれたっていいんだよ？」

挨拶が終わると、アンナとエドさんは買い物の話をし始めたので、僕はそれをじーっと観察していた。

しばらくすると、買い物が終わったのか笑顔でアンナは店から出てくると

「いやーっ、エドさん。　アレス君との出会いの日だからって安くしてくれたわ🎵　何か市場で買って帰ろうかしら～。　アレスお坊ちゃんは行商市行ってみたいですか？」


僕はアンナからの思ってもみない提案に、勢いよく頷いたのだった。


こうして僕たちは、再び市場へと戻ったのだった。