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プログラマー、魔法技術者に転職する
7.お人好し
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体は治ったものの、立ち上がろうとしたらふらついてしまって、話を聞くのは夕食の後になってしまった。
テーブルの向かいには助けてくれた夫妻と、隣には夫妻の息子が座った。
私を助けてくれた狩人のラルさんは、困りげに頭を掻いた。
「どこから話せばいいもんか...」
「あの、私を助けてくださった時のことをまず教えていただけませんか。」
「ああ、そうだな。狩りのために森に向かっている時に、どデカい音がして、向かってみたら嬢ちゃんとサウルタイガーが近くに瀕死の状態で倒れてた。」
「サウルタイガーって、あの大きな虎のことですか?」
「そうだ。嬢ちゃん、どうやってあのサウルタイガーを倒したんだ?」
「覚えていません。」
「そうか。魔法の使い方は?」
「全く。」
「嬢ちゃんは本来魔法を使えるはずだ。」
「私、魔力なんて全然感じません。」
「間違いなく相当な魔力を持ってる。奴は魔力が高い獲物を好むから、高い魔力を持つ獲物がいる奥地に潜んでて、村の近くまで出てくることは普段ならありえない。嬢ちゃんが相当高い魔力を持ってたから出てきたんだ。魔力を感じないのは記憶を失ってるからだろう。」
だからあの時、私が弱るまで待ってたんだ。
攻撃されにくい距離で、攻撃する力が無くなるまで。
あの虎を思い出してゾッとした。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「無理はするなよ。」
「はい。」
「嬢ちゃん、何か覚えてることはないのか?」
「生まれ育った国のことは覚えています。虎に襲われた恐怖も。でも、それ以外はわかりません。」
「難儀だな...」
「あの、できるだけ早く村を出ますので、それまでの間、ここに置いていただけませんでしょうか。お願いします。」
深く頭を下げると、当然だよ、と優しい声で、奥さんのメイルさんは言ってくれた。
「ありがとうございます。私でできることなら何でも手伝います。」
「いいんだよ。嬢ちゃんはゆっくりしてたら良い。」
「さっきの魔術カード、高価だって仰ってましたよね。」
「実は、嬢ちゃんと一緒に倒れてたサウルタイガー、村の収入の8ヶ月分くらいの額で売れたんだ。」
「そんなにですか!?」
「サウルタイガーはSクラスの...国は魔物にランクを付けてて、村の近くに現れたら騎士団と冒険者の集団が駆けつけるクラスの魔物なんだ。それに滅多に現れないから、希少価値が高い。妥当な額だよ。」
「ちょっと、村長に聞けって言われたことあるでしょう!」
「えっ?あ、ああ、そうだ!俺達はトドメを刺しただけで、奴を倒したのは嬢ちゃんだ。金は嬢ちゃんの好きにしたらいい。治療のためにいくらか使ったが、それ以外の金は残してある。」
「とんでもないです!!」
人が良すぎて叫んでしまった。
確かに道理ではあるかもしれないけど、仕留めて換金したのは村の人達なのに、その分のお金も取らずに全部私の自由にしろなんて、人が良いにも程がある。
「お金は要りません。全て村民の方々のために使ってください。」
「おいおい、全部貰ったら嬢ちゃんが困るだろ。一文無しなんだから。」
「あっ!」
間抜けな声を出した私に、ラルさんは噴き出した。
息子のカクくんも、メイルさんも笑ったから、私は羞恥心に襲われながらも笑みを零した。
テーブルの向かいには助けてくれた夫妻と、隣には夫妻の息子が座った。
私を助けてくれた狩人のラルさんは、困りげに頭を掻いた。
「どこから話せばいいもんか...」
「あの、私を助けてくださった時のことをまず教えていただけませんか。」
「ああ、そうだな。狩りのために森に向かっている時に、どデカい音がして、向かってみたら嬢ちゃんとサウルタイガーが近くに瀕死の状態で倒れてた。」
「サウルタイガーって、あの大きな虎のことですか?」
「そうだ。嬢ちゃん、どうやってあのサウルタイガーを倒したんだ?」
「覚えていません。」
「そうか。魔法の使い方は?」
「全く。」
「嬢ちゃんは本来魔法を使えるはずだ。」
「私、魔力なんて全然感じません。」
「間違いなく相当な魔力を持ってる。奴は魔力が高い獲物を好むから、高い魔力を持つ獲物がいる奥地に潜んでて、村の近くまで出てくることは普段ならありえない。嬢ちゃんが相当高い魔力を持ってたから出てきたんだ。魔力を感じないのは記憶を失ってるからだろう。」
だからあの時、私が弱るまで待ってたんだ。
攻撃されにくい距離で、攻撃する力が無くなるまで。
あの虎を思い出してゾッとした。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「無理はするなよ。」
「はい。」
「嬢ちゃん、何か覚えてることはないのか?」
「生まれ育った国のことは覚えています。虎に襲われた恐怖も。でも、それ以外はわかりません。」
「難儀だな...」
「あの、できるだけ早く村を出ますので、それまでの間、ここに置いていただけませんでしょうか。お願いします。」
深く頭を下げると、当然だよ、と優しい声で、奥さんのメイルさんは言ってくれた。
「ありがとうございます。私でできることなら何でも手伝います。」
「いいんだよ。嬢ちゃんはゆっくりしてたら良い。」
「さっきの魔術カード、高価だって仰ってましたよね。」
「実は、嬢ちゃんと一緒に倒れてたサウルタイガー、村の収入の8ヶ月分くらいの額で売れたんだ。」
「そんなにですか!?」
「サウルタイガーはSクラスの...国は魔物にランクを付けてて、村の近くに現れたら騎士団と冒険者の集団が駆けつけるクラスの魔物なんだ。それに滅多に現れないから、希少価値が高い。妥当な額だよ。」
「ちょっと、村長に聞けって言われたことあるでしょう!」
「えっ?あ、ああ、そうだ!俺達はトドメを刺しただけで、奴を倒したのは嬢ちゃんだ。金は嬢ちゃんの好きにしたらいい。治療のためにいくらか使ったが、それ以外の金は残してある。」
「とんでもないです!!」
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確かに道理ではあるかもしれないけど、仕留めて換金したのは村の人達なのに、その分のお金も取らずに全部私の自由にしろなんて、人が良いにも程がある。
「お金は要りません。全て村民の方々のために使ってください。」
「おいおい、全部貰ったら嬢ちゃんが困るだろ。一文無しなんだから。」
「あっ!」
間抜けな声を出した私に、ラルさんは噴き出した。
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