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プログラマー、魔法技術者に転職する
14.疑念
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「これ...いやまさか...」
プログラマーの経験だけでの印象だけど、この魔術文、おそらく無駄ばかりだ。
訳の分からないところで無意味な処理を入れたり、無駄な計算も見受けられる。ただの勘だけど。
「本当に必要な文なの?」
無駄だと思った部分を足でかき消したら、断捨離しすぎた部屋みたいにすっからかんになった。
「たまたま私が見たところだけ無駄が多かった可能性もあるし...」
口でそう言いながら、そうは思えなかった。
「今後のアップデートに備えて、今使わないコードを入れることはよくあるし、それなのかな。それともたまたま、これを書いた人が下手くそだった?」
下手くそと口にしてはっとした。
危ない危ない。私は魔術用の言語が読めるだけで、魔術のハローワールドすら習っていない。
向こうの常識がこっちの常識とは限らない。
ましてや、魔術作成がプログラミングと似ているかなんて、今判断するのは危険だ。
先入観を持って魔術を勉強するのは良くない。
プログラム言語だって、同じコードでも動く言語も動かない言語もある。
先入観は学習の妨げになる。
「掘り進めるのはやめておこう...」
一旦座って、日が陰って来た空を見上げた。
「広くなったなぁ、空。」
都会のビル群では、空は狭い。
こんなに一面の空を見られる機会は少ない。
「案件炎上してないかな...」
両親はもう他界してるし、親戚との付き合いもほぼ無い。
彼氏もいないし、ブラック企業でずっと仕事をしてたせいで、親しい友達も少ない。
心残りは仕事だけだ。
「新人くん、ちゃんと仕様書の書き方学んだかな。データは会社のサーバに残してるから、私の仕事の引き継ぎは大丈夫だよね。」
良い職場だったなぁ。あの職場では本当に仕事が楽しかった。
「もう、開発は出来ないかぁ...」
コンピュータどころか電気も通ってないこの世界では叶わない夢だろう。
イザナミ様は幸せになれるようにするって言ってたけど。
「私の幸せはプログラミングなんだよね...」
少し冷たくなった空気を肺に染み込ませていたら、村の方から足音が聞こえて振り向いた。
待っていたら現れたのはラルさんの息子のレックくんだった。
息を切らして膝に手を付いたレックくんが、私が使っていた砂地を見た。
「姉ちゃん何してたの?」
「考え事の整理だよ。言葉にだしたりこうやって書くと考えがまとまりやすいの。」
「そうなんだ...」
レックくんは字の前に屈んだ。
「どうしたの?」
「姉ちゃん、字が書けるんだよね。」
「うん。」
「魔術も読めて凄いや。」
「お父さんも読めるでしょ?」
「読めないよ。」
「えっ!?」
「この村に字が読める人はいない。」
「えっ、でも、あの時ラルさん、呪文唱えてたよね?」
「あれは耳で覚えてるんだ。」
「あの魔術カードを全部?」
「全部じゃないよ。多いから、担当を分けてるんだ。」
「そんな力技だったんだ...」
「うん。」
じっと文字を見てどうしたんだろう?
「レックくん?」
「...なんでもない。俺、姉ちゃんを呼びに来たんだ。父ちゃんと村長が話したいって。」
「わかった。案内してくれる?」
「うん。」
手を差し出して、レックくんと手を繋いだ。
プログラマーの経験だけでの印象だけど、この魔術文、おそらく無駄ばかりだ。
訳の分からないところで無意味な処理を入れたり、無駄な計算も見受けられる。ただの勘だけど。
「本当に必要な文なの?」
無駄だと思った部分を足でかき消したら、断捨離しすぎた部屋みたいにすっからかんになった。
「たまたま私が見たところだけ無駄が多かった可能性もあるし...」
口でそう言いながら、そうは思えなかった。
「今後のアップデートに備えて、今使わないコードを入れることはよくあるし、それなのかな。それともたまたま、これを書いた人が下手くそだった?」
下手くそと口にしてはっとした。
危ない危ない。私は魔術用の言語が読めるだけで、魔術のハローワールドすら習っていない。
向こうの常識がこっちの常識とは限らない。
ましてや、魔術作成がプログラミングと似ているかなんて、今判断するのは危険だ。
先入観を持って魔術を勉強するのは良くない。
プログラム言語だって、同じコードでも動く言語も動かない言語もある。
先入観は学習の妨げになる。
「掘り進めるのはやめておこう...」
一旦座って、日が陰って来た空を見上げた。
「広くなったなぁ、空。」
都会のビル群では、空は狭い。
こんなに一面の空を見られる機会は少ない。
「案件炎上してないかな...」
両親はもう他界してるし、親戚との付き合いもほぼ無い。
彼氏もいないし、ブラック企業でずっと仕事をしてたせいで、親しい友達も少ない。
心残りは仕事だけだ。
「新人くん、ちゃんと仕様書の書き方学んだかな。データは会社のサーバに残してるから、私の仕事の引き継ぎは大丈夫だよね。」
良い職場だったなぁ。あの職場では本当に仕事が楽しかった。
「もう、開発は出来ないかぁ...」
コンピュータどころか電気も通ってないこの世界では叶わない夢だろう。
イザナミ様は幸せになれるようにするって言ってたけど。
「私の幸せはプログラミングなんだよね...」
少し冷たくなった空気を肺に染み込ませていたら、村の方から足音が聞こえて振り向いた。
待っていたら現れたのはラルさんの息子のレックくんだった。
息を切らして膝に手を付いたレックくんが、私が使っていた砂地を見た。
「姉ちゃん何してたの?」
「考え事の整理だよ。言葉にだしたりこうやって書くと考えがまとまりやすいの。」
「そうなんだ...」
レックくんは字の前に屈んだ。
「どうしたの?」
「姉ちゃん、字が書けるんだよね。」
「うん。」
「魔術も読めて凄いや。」
「お父さんも読めるでしょ?」
「読めないよ。」
「えっ!?」
「この村に字が読める人はいない。」
「えっ、でも、あの時ラルさん、呪文唱えてたよね?」
「あれは耳で覚えてるんだ。」
「あの魔術カードを全部?」
「全部じゃないよ。多いから、担当を分けてるんだ。」
「そんな力技だったんだ...」
「うん。」
じっと文字を見てどうしたんだろう?
「レックくん?」
「...なんでもない。俺、姉ちゃんを呼びに来たんだ。父ちゃんと村長が話したいって。」
「わかった。案内してくれる?」
「うん。」
手を差し出して、レックくんと手を繋いだ。
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