救国の魔女と滅国の皇子~プログラマーは魔法も作れる!?~

一条弥生

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茨の道の第1歩

33.リベンジ

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私は森に足を踏み入れた。

これはトラウマの克服のためでもある。

サウルタイガーを倒せないと、私は大きい魔物を倒すことは出来ないだろう。

この日のために2ヶ月準備した。

死闘になるかもしれないけど、冷静に戦えば大丈夫だ。何より靴があるから最悪逃げ切れる。

「やっぱり走りづらいな...」

私はあの日のように空を見上げた。ここはまだ、空がよく見える。

「空から行こう。」

踏み込んで軽くジャンプをすると、次の瞬間には森を見下ろしていた。

足元に結界で足の踏み場を作り、着地すると、結界の踏み台を作りつつ、前のめりのジャンプを繰り返し、飛び石のように森の奥へ突き進んだ。

スキャンでサウルタイガーを探す。

すると遠くで、地鳴りと何かがぶつかり合う音がした。

とりあえず行ってみると、因縁の相手がスキャンに引っかかった。

「2体か...」

どうやら喧嘩をしているらしい。

「これは...漁夫の利じゃない?」

生唾を飲んで、私は2体の前に降り立った。 

そして、ミスに気付いた。

「わお...」

2体は全く怪我をしていなかった。つまり、ちょっと激しめにじゃれていただけだった。

兄弟らしく、2体は連携の姿勢を見せ、私も杖を構えた。

「上等だ。2体とも倒してやるんだから。」

2体同時のパンチは、自分の半径1mに掛けていた結界が防いだ。

ビクともしていない。オリジナルの結界の完成度は上々だ。

「降り注げ、氷槍アイスランス。」

氷魔法で2体を分断し、片方にターゲットを絞った。

閃光フラッシュ。」

目くらましをしている間にスライディングをして、虎の懐に入った。

大型の魔物では試したことのなかったスキャン魔法を使い、心臓の位置を確認した。

この位置で刺せば一突きで殺せる。

剣を取り出そうとした私は、手が震えていることに気づいた。剣は私の手から滑り落ちてしまった。

体を上げたサウルタイガーと目が合って、心臓が跳ねた。

サウルタイガーの左前脚のパンチを食らって、私は叩き飛ばされた。

咄嗟に防御したものの、私は木々を薙ぎ倒して、地面に転がった。

「っ...!やっぱり...怖い...」

あの時と同じだ。冷静だと思ってたけどそうじゃなかった。

「大丈夫。戦略は立ててあるし、魔法も作ってきた。トレーニングもしたし、準備も万端。それに、イザナミ様が大丈夫って言ったんだから!」

最早私にとって唯一神のイザナミ様が言ったんだ。大丈夫。

私は杖を構えて、サウルタイガーに向かって走った。
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