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茨の道の第1歩
35.千年の呪い
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これは大きな賭けだった。
頭がおかしいと思われるか、信じてもらえるか。
皇室に接触するためにはどうすべきか悩んでいた時、本屋で言い伝えを描いた絵本を見つけた。私とは関係ない言い伝えだったけど、転生者や世界を救う誰かの伝説か言い伝えがあってもおかしくないと思った。
かなりの力技だけど、手っ取り早く注目してもらうには今のところこれしかない。
「コノエ様、この国の皇室に掛けられた呪いの話はご存知ですか?」
「あるということだけ知っています。」
「ではそちらから説明しましょう。千年近く前の話です。当時の皇帝が魔女狩りを行ったことで、魔法使いとの全面戦争が勃発しました。激しい戦いの後、皇帝がリーダーの魔女を倒し、戦争に勝利しました。しかし、魔女は死に際に、皇帝の魂に呪いを掛けたのです。」
話を聞くだけなのに緊張した。もしかしたら、私がしなければいけないことがここでわかるかもしれない。
「魔女は呪いを掛けると、皇帝の生まれ変わりが必ず国を滅ぼすと宣言しました。その呪いは、生まれ変わりを必ず闇属性の適正にし、発作を起こさせます。」
「発作...?」
「闇の魔力が暴走する発作です。」
「その暴走で国を滅ぼすんですか?」
「はい。国を滅ぼした者はまだいませんが、反乱を起こし多大な犠牲を生んだ者は多いのです。」
「はぁ...」
気の抜けた返事をしてしまって口を噤んだ。
「申し訳ありません。多いとは、何人中何人かわかりますか?」
「7度の生まれ変わりで4度です。この呪いの中には、自殺と呪いを意識した攻撃を防ぐ呪いと、治癒能力の強化魔法が含まれています。つまり、天寿を全うするしかなく、死にたくても死ねないのです。」
「苦しみと恐怖を与える目的ならば悪くありませんね。闇属性固定と条件反射系の防御魔法、自然治癒力上昇の魔法、時限式ではない何か暴走を促す魔法が掛かってるんですね。なるほど。」
技術者として興味深い。
そもそもこっちでは魂が物質に近い形で存在していたことに驚きだ。しかも魔法が掛けられるなんて。
じゃあ、もし私が志し半ばで死んでしまっても、記憶を持って生まれ変わる魔法を掛けていれば、何百年と生きて戦えるのかな。そんなことはゴメンだけど。
考え込んでしまった私が顔を上げると、ギルドマスターは私を見据えて、まるで観察していたかのようだった。
「おかしなことを言いましたか?」
「いえ。ただ、魔女の視点で意見を述べた方は初めてみましたので、少々驚きました。」
「そうですか?多角的に見ることは大事なことです。主観だけで見ていては気付かないことに気付けます。呪いの目的、その魔法を選んだ理由、どんな構造で作ったか、呪いを解くには重要な鍵になるので、読み解くことは重要です。」
「まるで職人のようなことを仰いますね。」
「元の世界では技術者をしていました。実は、私が作っていた物の作り方と、魔法の作り方がほぼ一致しているので、私は魔法が作れます。」
「自作した魔法でサウルタイガーを倒し、クルミア村で魔術版と魔術カードを作る方法を編み出したのですね。」
「はい。」
「こらからもその様なことを続けるのですか?」
「はい。私自身で定めた目標の達成のために。それと、職業病です。」
「職業病、ですか。」
「私の仕事は、仕事を通じて文明の発展に貢献する、それが使命なんです。私はそう思っています。」
「そうですか。」
詳しく聞かないでほしい。それが伝わったのか、ギルドマスターはそれ以上聞いてこなかった。
頭がおかしいと思われるか、信じてもらえるか。
皇室に接触するためにはどうすべきか悩んでいた時、本屋で言い伝えを描いた絵本を見つけた。私とは関係ない言い伝えだったけど、転生者や世界を救う誰かの伝説か言い伝えがあってもおかしくないと思った。
かなりの力技だけど、手っ取り早く注目してもらうには今のところこれしかない。
「コノエ様、この国の皇室に掛けられた呪いの話はご存知ですか?」
「あるということだけ知っています。」
「ではそちらから説明しましょう。千年近く前の話です。当時の皇帝が魔女狩りを行ったことで、魔法使いとの全面戦争が勃発しました。激しい戦いの後、皇帝がリーダーの魔女を倒し、戦争に勝利しました。しかし、魔女は死に際に、皇帝の魂に呪いを掛けたのです。」
話を聞くだけなのに緊張した。もしかしたら、私がしなければいけないことがここでわかるかもしれない。
「魔女は呪いを掛けると、皇帝の生まれ変わりが必ず国を滅ぼすと宣言しました。その呪いは、生まれ変わりを必ず闇属性の適正にし、発作を起こさせます。」
「発作...?」
「闇の魔力が暴走する発作です。」
「その暴走で国を滅ぼすんですか?」
「はい。国を滅ぼした者はまだいませんが、反乱を起こし多大な犠牲を生んだ者は多いのです。」
「はぁ...」
気の抜けた返事をしてしまって口を噤んだ。
「申し訳ありません。多いとは、何人中何人かわかりますか?」
「7度の生まれ変わりで4度です。この呪いの中には、自殺と呪いを意識した攻撃を防ぐ呪いと、治癒能力の強化魔法が含まれています。つまり、天寿を全うするしかなく、死にたくても死ねないのです。」
「苦しみと恐怖を与える目的ならば悪くありませんね。闇属性固定と条件反射系の防御魔法、自然治癒力上昇の魔法、時限式ではない何か暴走を促す魔法が掛かってるんですね。なるほど。」
技術者として興味深い。
そもそもこっちでは魂が物質に近い形で存在していたことに驚きだ。しかも魔法が掛けられるなんて。
じゃあ、もし私が志し半ばで死んでしまっても、記憶を持って生まれ変わる魔法を掛けていれば、何百年と生きて戦えるのかな。そんなことはゴメンだけど。
考え込んでしまった私が顔を上げると、ギルドマスターは私を見据えて、まるで観察していたかのようだった。
「おかしなことを言いましたか?」
「いえ。ただ、魔女の視点で意見を述べた方は初めてみましたので、少々驚きました。」
「そうですか?多角的に見ることは大事なことです。主観だけで見ていては気付かないことに気付けます。呪いの目的、その魔法を選んだ理由、どんな構造で作ったか、呪いを解くには重要な鍵になるので、読み解くことは重要です。」
「まるで職人のようなことを仰いますね。」
「元の世界では技術者をしていました。実は、私が作っていた物の作り方と、魔法の作り方がほぼ一致しているので、私は魔法が作れます。」
「自作した魔法でサウルタイガーを倒し、クルミア村で魔術版と魔術カードを作る方法を編み出したのですね。」
「はい。」
「こらからもその様なことを続けるのですか?」
「はい。私自身で定めた目標の達成のために。それと、職業病です。」
「職業病、ですか。」
「私の仕事は、仕事を通じて文明の発展に貢献する、それが使命なんです。私はそう思っています。」
「そうですか。」
詳しく聞かないでほしい。それが伝わったのか、ギルドマスターはそれ以上聞いてこなかった。
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