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仲間
52.聖女
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目が覚めた私は状況を理解するのに時間が掛かった。
徹夜を重ねて仕事をした時のように体が重い。
いきなり頑張ったからだろうか。
私が立ち上がって部屋を出ると、目の前にギルドマスターが立っていた。
「おはよう。」
「おはようございます。」
「顔を洗ってくるといい。終わったら、ホールにきてくれ。」
「わかりました。」
すぐにマスターは転移で消えた。
あれ便利だな。ここの書庫には転移魔法の魔術書があるのかな。
ホールに向かうと、ホールはすっかり元に戻っていた。
「あっ!コノエ様!」
「コノエ様!よかった!目覚められたんですね!」
わらわらと職員が集まって来て、私はたじろいだ。
「コノエ様!その腕!どうされたんですか!」
「え?」
左手を見て目を見開いた。
指先からイナズマが走った様な黒い跡が付いていた。
「な、何これ!!」
治癒を掛けても傷跡は消えなかった。
「それは魔術に干渉した時に起こる、侵蝕と呼ばれる現象だ。」
振り返るとギルドマスターが後ろに居て、私の左手を取った。
「魔術に干渉出来る人間を見たことがなかったから、侵蝕も初めて見るが、それほど高度な魔術ではなかったようだから、じきに消えるだろう。だが、無茶をすれば内側にも影響がでる。」
「わかりました。なるべくやらないようにします。」
治癒できない傷、興味深い。後で色々試して研究してみよう。
「あの、何故ホールに?」
「それは、君にお礼を言いたい人が沢山いるからだよ。」
マスターは私の肩を掴んで反転させた。
視界の正面にきた出入りが開けられると、どっと人が流れ込んで来た。
「聖女様!」
「えっ!?」
「聖女様ありがとうございます!」
「せっ、聖女!?私が!?わっ!ちょっ!」
みんな、私が治療した人達とその家族や恋人だった。
目頭が熱くはなったけど、あまりの多さと、恐れ多い呼び名で目が回った。
「どいてくれ!!」
人混みが二手に別れて、開けた道に現れたのは、車椅子に乗った青年だった。車椅子を押していたのは、私が心肺蘇生をした女性の父親だった。
木でできた車椅子が軋みながら近付く。
目の前に来た車椅子。私は跪いた。
「聖女様...」
「私は聖女なんて大それた人じゃありません。足のお加減はいかがですか。」
「まだ少し動かせるくらいですが...いずれ歩けるようになると...」
「足、触ってもいいですか?」
号泣しながら青年は頷いた。
繋いだ左足を触ると、筋肉は確かに動いていた。
靴を脱がせて指先を触るとピクリと動いた。
「後で効果的なリハ...療法をお教えします。歩行訓練も大事ですが、マッサージをすることも重要です。マッサージだけでも回復に差が出ますから。」
「はい...本当に...本当にありがとうございます...足を噛まれた時は...もう、人生は終わりだと...」
足を切断するしか治療法のない世界だ。生きる気力さえなくなる絶望だっただろう。私は涙を堪えた。
「しばらくはこの街に滞在する予定です。何か足の不調やわからないことがあれば、ギルドに連絡してください。」
「聖女様...ありがとうございます...」
徹夜を重ねて仕事をした時のように体が重い。
いきなり頑張ったからだろうか。
私が立ち上がって部屋を出ると、目の前にギルドマスターが立っていた。
「おはよう。」
「おはようございます。」
「顔を洗ってくるといい。終わったら、ホールにきてくれ。」
「わかりました。」
すぐにマスターは転移で消えた。
あれ便利だな。ここの書庫には転移魔法の魔術書があるのかな。
ホールに向かうと、ホールはすっかり元に戻っていた。
「あっ!コノエ様!」
「コノエ様!よかった!目覚められたんですね!」
わらわらと職員が集まって来て、私はたじろいだ。
「コノエ様!その腕!どうされたんですか!」
「え?」
左手を見て目を見開いた。
指先からイナズマが走った様な黒い跡が付いていた。
「な、何これ!!」
治癒を掛けても傷跡は消えなかった。
「それは魔術に干渉した時に起こる、侵蝕と呼ばれる現象だ。」
振り返るとギルドマスターが後ろに居て、私の左手を取った。
「魔術に干渉出来る人間を見たことがなかったから、侵蝕も初めて見るが、それほど高度な魔術ではなかったようだから、じきに消えるだろう。だが、無茶をすれば内側にも影響がでる。」
「わかりました。なるべくやらないようにします。」
治癒できない傷、興味深い。後で色々試して研究してみよう。
「あの、何故ホールに?」
「それは、君にお礼を言いたい人が沢山いるからだよ。」
マスターは私の肩を掴んで反転させた。
視界の正面にきた出入りが開けられると、どっと人が流れ込んで来た。
「聖女様!」
「えっ!?」
「聖女様ありがとうございます!」
「せっ、聖女!?私が!?わっ!ちょっ!」
みんな、私が治療した人達とその家族や恋人だった。
目頭が熱くはなったけど、あまりの多さと、恐れ多い呼び名で目が回った。
「どいてくれ!!」
人混みが二手に別れて、開けた道に現れたのは、車椅子に乗った青年だった。車椅子を押していたのは、私が心肺蘇生をした女性の父親だった。
木でできた車椅子が軋みながら近付く。
目の前に来た車椅子。私は跪いた。
「聖女様...」
「私は聖女なんて大それた人じゃありません。足のお加減はいかがですか。」
「まだ少し動かせるくらいですが...いずれ歩けるようになると...」
「足、触ってもいいですか?」
号泣しながら青年は頷いた。
繋いだ左足を触ると、筋肉は確かに動いていた。
靴を脱がせて指先を触るとピクリと動いた。
「後で効果的なリハ...療法をお教えします。歩行訓練も大事ですが、マッサージをすることも重要です。マッサージだけでも回復に差が出ますから。」
「はい...本当に...本当にありがとうございます...足を噛まれた時は...もう、人生は終わりだと...」
足を切断するしか治療法のない世界だ。生きる気力さえなくなる絶望だっただろう。私は涙を堪えた。
「しばらくはこの街に滞在する予定です。何か足の不調やわからないことがあれば、ギルドに連絡してください。」
「聖女様...ありがとうございます...」
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