影の多重奏:神藤葉羽と消えた記憶の螺旋

葉羽

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23章

解決への光明

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「…私が…真犯人…?」

葉羽は、灰塚刑事の言葉に、耳を疑った。

「…そうだ。証拠は揃っている。北条楓の日記、朽木椿の遺書、そして、水無瀬翠の証言。全て、お前が犯人だと指し示している」

灰塚刑事は、冷徹な口調で言った。

「…しかし、それは…」

葉羽は、反論しようとした。しかし、言葉が出てこなかった。黒音の策略によって、全ての証拠が、葉羽を犯人に仕立て上げるように仕組まれていたのだ。

その時、彩由美が、葉羽の前に進み出た。

「…違います!葉羽くんは、犯人じゃない!真犯人は、黒音よ!」

彩由美は、必死に訴えた。

「…望月さん、落ち着いてください。感情的になっても、事実は変わりません」

灰塚刑事は、彩由美を制止した。

「…しかし…」

彩由美は、諦めきれなかった。彼女は、葉羽の無実を信じ、彼を救うために、何かできないかと考えていた。

その時、彩由美は、あることに気づいた。黒音は、葉羽がもう一つの人格を持っていると言っていた。そして、そのもう一つの人格こそが、真犯人だと。

「…もし、葉羽くんがもう一つの人格を持っているとしたら、その人格は、黒音とは違うはずよ。だって、黒音は、5年前の事件の犯人だもの。葉羽くんは、5年前、まだ小学生だったわ」

彩由美は、推理を語った。

彼女の言葉に、灰塚刑事は、考え込んだ。確かに、彩由美の言う通りだ。黒音が、葉羽のもう一つの人格だとしたら、辻褄が合わない。

「…では、真犯人は、一体、誰なんだ…?」

灰塚刑事は、呟いた。

その時、葉羽は、ある可能性に思い至った。

「…もしかしたら、黒音は、私の中にもう一つの人格を作り出したのかもしれない…」

葉羽は、言った。

「…どういうことだ?」

灰塚刑事は、葉羽に尋ねた。

「…黒音は、黒い箱を使って、私の中に、もう一つの人格を作り出し、その人格に、全ての罪を負わせようとしたのかもしれない…」

葉羽の言葉に、灰塚刑事は、衝撃を受けた。それは、確かに、あり得る話だった。

「…だとしたら、我々は、騙されていたのか…?」

灰塚刑事は、呟いた。

「…ええ。黒音は、我々全員を、巧妙に騙していたのです」

葉羽は、言った。

「…しかし、どうやって、それを証明するんだ…?」

灰塚刑事は、尋ねた。

「…私に、考えがあります」

葉羽は、自信に満ちた表情で言った。
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