推理の果てに咲く恋

葉羽

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6章

隠された手紙

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第6章: 隠された手紙

翌日の学校は、異様な緊張感に包まれていた。佐々木美咲の制服が発見されたというニュースが広まり、生徒たちの間で不安と憶測が飛び交っている。

葉羽と彩由美は、周囲の様子を慎重に観察しながら、図書室に向かった。昨日の出来事以来、二人は誰も信じられなくなっていた。

「葉羽くん、本当にここで大丈夫？」彩由美が小声で尋ねる。

葉羽は静かに頷いた。「ああ、ここなら人目につきにくい。それに、まだ調べたい本がある」

二人は書架の間を進み、昨日佐々木が借りていた「現代暗号理論」の本がある場所に向かった。葉羽はその本を手に取り、丁寧にページをめくっていく。

「何か見つかった？」彩由美が覗き込む。

「まだ...ん？」葉羽の指が一枚の紙切れに触れた。それは本のページの間に挟まれていた。

慎重に取り出すと、そこには小さな文字で何かが書かれていた。

「親愛なる友へ。
もし、この手紙を見つけたのなら、私はもういないかもしれません。学校で起きていることは、想像以上に深刻です。X=3、Y=7、Z=?の謎を解いてください。そこに全ての真実があります。でも、気をつけて。誰も信じてはいけません。even the closest...」

葉羽と彩由美は息を呑んだ。これは明らかに佐々木からのメッセージだった。

「葉羽くん、これって...」

「ああ、佐々木は何かを知っていた。そして、それが原因で姿を消したんだ」

二人は周囲を確認しながら、手紙の内容を詳しく検討し始めた。

「X=3、Y=7、Z=?...これは座標を表しているのかもしれない」葉羽が呟く。

「でも、学校のどこを指しているの？」彩由美が首をかしげる。

その時、図書室のドアが開く音がした。二人は慌てて本を元の場所に戻し、別の本棚の陰に隠れた。

入ってきたのは教頭の山田先生だった。彼は周囲を警戒しながら、ある本棚に近づいていく。

葉羽と彩由美は息を殺して見守る。山田先生は何かを探しているようだった。

「くそっ、ここにもないのか」山田先生の苛立った声が聞こえる。

彼が去った後、葉羽は山田先生が探していた本棚を確認した。

「ここだ」葉羽は一冊の古い本を取り出した。「図書館の歴史」という題名の本だ。

本をめくると、中から一枚の古い設計図が出てきた。それは学校の建物の図面だった。

「これは...」彩由美が驚きの声を上げる。

葉羽の目が輝いた。「そうか、X=3、Y=7は、この図面上の座標を指しているんだ」

二人は図面を詳しく調べ始めた。そして、その座標が指し示す場所に辿り着いた時、彼らは驚愕の表情を浮かべた。

「ここは...」

「学校の地下...？」

図面には、誰も知らない地下室の存在が示されていた。

「葉羽くん、私たち、どうすれば...」

葉羽は決意に満ちた表情で答えた。「行くしかない。佐々木を見つけ出すためにも、真相を明らかにするためにも」

しかし、彩由美の表情には不安の色が濃くなっていた。「でも、手紙に書いてあったわ。『誰も信じてはいけない』って...」

葉羽は彩由美の目をまっすぐ見つめた。「俺たちは違う。俺は君を信じてる」

その言葉に、彩由美の頬が僅かに赤くなる。

「うん...私も葉羽くんを信じてる」

二人は固く手を握り合った。これから直面する危険は計り知れない。しかし、二人の絆は、その試練に立ち向かう勇気を与えてくれた。

図書室を出る時、葉羽は後ろを振り返った。本棚の影に、何か...いや、誰かがいるような気がした。しかし、よく見ると何もない。

「気のせいか...」

葉羽は首を振り、彩由美と共に歩き出した。しかし、彼らの背後で、誰かがこっそりと姿を現し、二人を見つめていた。その人物の目には、複雑な感情が宿っていた。

真相への道のりは、まだ始まったばかり。そして、その道は予想以上に険しいものになるだろう。

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