推理の果てに咲く恋

7章

嘘つきたちの饗宴

第7章: 嘘つきたちの饗宴

放課後、学校は不自然な静けさに包まれていた。葉羽と彩由美は、図書室で見つけた設計図を頼りに、誰にも気づかれないよう慎重に動いていた。

「葉羽くん、本当にここで大丈夫？」彩由美が不安そうに周りを見回す。

葉羽は静かに頷いた。「ああ、でも用心はしておこう」

二人は古い体育倉庫の裏に辿り着いた。設計図によると、ここに地下への入り口があるはずだ。

「ここだ」葉羽が古びた扉を指さす。「この奥に隠し扉があるはずだ」

慎重に扉を開け、中に入る二人。埃っぽい空気が鼻をくすぐる。葉羽はライトを取り出し、周囲を照らし始めた。

「あった！」彩由美が小さく叫ぶ。床の一部が少し浮いている。

二人で力を合わせて床を持ち上げると、そこには階段が現れた。暗闇の中へと続く、不気味な階段。

「行こう」葉羽が先に立つ。

地下室は予想以上に広かった。古びた書類や機械が散乱している。

「これは...」葉羽が一枚の書類を手に取る。「学生の個人情報？しかも、かなり詳細だ」

彩由美も別の書類を見つける。「こっちは...成績操作の記録？」

二人は驚愕の表情を交わした。これは単なる学校の秘密ではない。もっと大きな何かが隠されている。

突然、上階から物音が聞こえた。

「誰か来た！」彩由美が小声で叫ぶ。

二人は急いで隠れ場所を探す。古い棚の陰に身を潜めた瞬間、地下室への扉が開く音がした。

「もう限界です。これ以上は続けられません」

聞き覚えのある声。中村先生だ。

「黙れ」厳しい声が返ってくる。山田教頭だ。「ここまで来て逃げ出すつもりか？」

「でも、佐々木さんのことが...」

「あの娘は自業自得だ。余計なことを知りすぎた」

葉羽と彩由美は息を殺して会話を聞いている。

「しかし、まだ証拠が...」

「心配するな。すべて処分する」

二人の会話は、学校で行われている不正の全貌を明らかにしていく。成績操作、裏金作り、そして...生徒の個人情報の売買。

葉羽は拳を握りしめた。これほどの悪事が、自分たちの学校で行われていたなんて。

しばらくして、中村先生と山田教頭は地下室を出て行った。

「葉羽くん...」彩由美の声が震えている。「私たち、どうすれば...」

葉羽は決意に満ちた表情で答えた。「証拠を集めて、警察に届けるしかない」

しかし、彼らが立ち上がろうとした瞬間、再び扉が開く音がした。

「やっぱりここにいたのね」

その声に、二人は凍りついた。振り向くと、そこには...

「佐々木さん！？」

制服姿の佐々木美咲が立っていた。しかし、その表情には冷たさが宿っている。

「よく来たわね、葉羽くん、彩由美さん」佐々木の声には皮肉が混じっている。「でも、ここから先は、あなたたちには関係ないわ」

「どういうこと？」葉羽が問いかける。

佐々木は冷ややかに笑った。「私が仕組んだのよ。全て」

葉羽と彩由美は言葉を失う。信じていた友人の裏切り。そして、まだ見えない真実の全貌。

地下室に漂う緊張感の中、三人の視線がぶつかり合う。この瞬間から、事態は予想もしなかった方向へと進んでいく。

真実は、まだ闇の中。そして、その闇は想像以上に深かった。