深淵の迷宮

葉羽

文字の大きさ
1 / 10
1章

不気味なメッセージ

しおりを挟む
東京の喧騒から少し離れた場所にある、神藤葉羽の豪邸は静寂に包まれていた。豪華な家具や美術品が並ぶ広々としたリビングで、葉羽はソファに座り、手にしたタブレットの画面をじっと見つめていた。彼は推理小説を読むのが何よりも好きで、暇さえあれば新しい作品を電子書籍で探していた。今日もまた、彼の心を引き込む新たな謎を求めていた。

「さあ、次はどんな事件が待っているんだろう…」葉羽は小さく呟きながら、画面をスクロールする。ページをめくる音の代わりに、指先から流れる静かなデジタル音が心地よい。彼はその瞬間、まるで自分が物語の主人公になったかのように感じるのだった。

しかし、その平穏が突然破られた。タブレットが振動し、画面に通知が表示される。「新しいメッセージがあります。」葉羽は少し驚いて、タブレットの画面をタップした。

メッセージの内容は次のようなものだった。

---

「神藤葉羽へ。

君が愛する推理小説のような事件が、今、君の目の前に待ち受けている。すべての謎を解き明かす勇気があるなら、指定された場所に来なさい。そこで、君の推理力が試されることになるだろう。

場所は、廃墟となった名家。君の知識と直感が試される。失敗すれば、二度と戻れないかもしれない。

送信者: 不明」

---

葉羽の心臓が高鳴った。廃墟となった名家という言葉は、彼の好奇心を刺激した。彼は自らの推理力を試す絶好の機会だと感じたが、同時に不安もよぎる。送り主が不明であることが、彼の心に微かな恐怖を植え付けた。

「これ、どういうことだ?」葉羽は思わず呟いた。彼はほんの少しの間、考え込んだ。廃墟となった名家には、何か秘密が隠されているのか?それとも、単なるいたずらなのか?彼の頭の中で推理が渦巻く。

そのとき、彼の心に浮かんだのは、幼馴染の望月彩由美のことだった。彼女はいつも明るく、少し天然なところがあるが、葉羽の推理小説への熱意を理解してくれていた。彼女と一緒にこの謎に挑むのも面白いかもしれない。

「よし、彼女に連絡してみよう。」葉羽はタブレットを手に持ちながら、思い立ったように電話をかける。数回のコールの後、彩由美の声が聞こえた。

「もしもし、葉羽?どうしたの?」

「彩由美、ちょっと面白いことがあったんだ。廃墟になった名家に行くことになったんだけど、一緒に来ないか?」

「えっ、廃墟?それ、すごく興味ある!行く行く!」彩由美の声は弾んでいた。

「でも、もしかしたら危険かもしれないから…」

「大丈夫だよ!一緒に行けば怖くないし、何かあったら葉羽がいるから安心だよ!」

彼女の言葉に、葉羽は少し安心した。彩由美の存在は、彼にとって大きな支えだった。彼は彼女の天然さに少し戸惑いながらも、彼女と共にこの冒険に挑むことに決めた。

「じゃあ、明日の午後に待ち合わせしよう。場所は…」

その後、二人は待ち合わせの時間と場所を決め、電話を切った。葉羽は心の中で期待と不安が交錯しているのを感じながら、準備に取り掛かることにした。

夜が訪れると、葉羽は自室で再びメッセージを読み返していた。何度も読み返すうちに、文面の中に何か引っかかるものを感じ始める。特に「失敗すれば、二度と戻れないかもしれない」という一文が、彼の胸に重くのしかかる。

「一体、何が待っているんだ…?」

葉羽は推理小説の主人公のように、次第に心の中で緊張感が高まっていくのを感じた。彼はその夜、寝ることもできず、廃墟の名家について考え続けた。果たして、そこにはどんな謎と恐怖が待ち構えているのか。彼の心は、未知なる冒険への期待でいっぱいになっていた。

夜明けとともに、葉羽は決意を新たにして目を覚ました。彼は胸に抱えた不安を振り払い、彩由美と共にこの冒険に挑む準備を整えるのであった。 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...