深淵の迷宮

葉羽

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8章

影の存在

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廊下を進む葉羽と彩由美は、心臓が高鳴るのを感じながら、再び暗闇に包まれた空間へと足を踏み入れた。先ほどの鏡の映像が頭の中で何度も反響し、彼らの心に恐怖を植え付けていた。過去の記憶が具現化した恐ろしい映像が、まだ鮮明に残っている。

「葉羽、さっきの声…また聞こえるかもしれない…」彩由美は不安そうに言った。

「大丈夫、何が起こっても一緒だから。」葉羽は彼女を励ますつもりで言ったが、自分自身も不安を抱えていた。廊下の先には、さらに深い闇が待ち受けているようだった。

進むにつれて、周囲の空気が次第に重くなり、冷たい風が吹き抜ける。葉羽は後ろを振り向くと、廊下の奥に微かな影が動くのを見た。彼の心臓が一瞬止まった。

「見て、あそこに…」葉羽が指差すと、彩由美は思わず後退りした。

「何かいるの…?」彼女の声は震えていた。

影はゆっくりと近づいてきて、やがてその姿が明らかになった。それは、かつての家族の姿をした影だった。彼らの顔はぼんやりとしていて、目が虚ろに見える。まるで、過去の悲劇に囚われたまま、こちらを見つめているかのようだった。

「あなたたち…何をしに来たの?」影の一人が口を開いた。その声は、かすれていて悲しげな響きを持っていた。

「私たちは、この家の秘密を解き明かしたいんです。」葉羽は恐る恐る答えた。

「秘密…」影は不気味に笑った。「それを知る者は、恐怖の中で試される。」

「どういうことですか?」彩由美が問いかけると、影たちは一斉に彼らに近づいてきた。

「私たちが経験した恐怖を、あなたたちも体験しなければならない。」影たちの言葉は、まるで心の奥に響くように聞こえた。

「でも、私たちが知りたいのは真実です!」葉羽は必死に叫んだ。「過去を乗り越えたいんです!」

影たちは一瞬静まり、互いに顔を見合わせた。そして、再び口を開いた。「真実は、あなたたちの心の中にある。だが、それを知るためには、恐怖と向き合う必要がある。」

その瞬間、影たちが一斉に手を伸ばし、彼らの心の中に潜む恐怖を引き出そうとするかのように感じた。葉羽は思わず後ずさり、彩由美の手を強く握りしめた。

「逃げよう、葉羽!」彩由美が叫ぶ。

「待って、まだ何もわからない!」葉羽は必死にその場に留まろうとしたが、影たちの存在が彼らを圧倒するように迫ってきた。

「恐怖は、逃げることで解消されるものではない。受け入れ、向き合うことが必要だ。」影たちの言葉が、葉羽の心に響く。

「私たちの恐怖を…受け入れる?」葉羽は混乱しながらも、その言葉に何かを感じた。過去のトラウマや孤独を受け入れることは、彼にとって最も難しい課題だった。

「そう、過去を見つめ、恐れずに受け入れなければならない。」影たちは再び近づき、彼の心の奥底にあるものを探ろうとしているようだった。

「葉羽、私も…」彩由美が涙を浮かべながら言った。「私たちの過去を受け入れなきゃいけないの?」

「うん、でも一緒に乗り越えよう。君がいるから、俺も強くなれる。」葉羽は彼女を見つめ、心の中で決意を固めた。

「私、頑張る!」彩由美は涙を拭い、目を輝かせた。

影たちはその様子を見守り、次第に姿を消していく。「真実を知るための試練は、まだ終わっていない。あなたたちが心の奥底に潜む恐怖を乗り越えた時、真実が明らかになるだろう。」

影たちが消えた後、静寂が訪れた。葉羽と彩由美は、互いに顔を見合わせ、心の中で何かが変わったことを感じていた。

「私たち、恐怖を受け入れなきゃいけないんだね。」彩由美が言った。

「そうだ。過去を乗り越え、真実を知るためには、まず自分の心と向き合わなければならない。」葉羽は決意を新たにし、再び廊下を進むことにした。

「どこへ行くの?」彩由美が尋ねる。

「次の手がかりを探そう。真実を知るためには、まだ調べるべきことがある。」葉羽は前を向き、足を進めた。

彼らは恐怖と向き合う勇気を持ちながら、次の試練へと向かっていく。心の奥底に潜む影と向き合うことで、真実への道が開かれることを信じて。 
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