「鏡像のイデア」　難解な推理小説

葉羽

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4章

迷宮の住人

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鏡像との入れ替わり、そして異世界での悪夢のような体験。葉羽は、それらが現実だったのか、それとも悪夢の続きなのか、現実感の喪失に苛まれていた。しかし、腕に残る生々しい傷跡は、あの体験が紛れもない現実であったことを物語っていた。

葉羽は、鏡像融合の謎を解き明かすため、そして鏡の向こう側に取り残された「本当の自分」を救い出すため、再び鏡の前に立った。鏡の中の自分は、いつもの葉羽の姿に戻っていた。しかし、葉羽は、鏡の奥に潜む異世界、そしてそこにいるもう一人の自分の存在を意識せずにはいられなかった。

葉羽は、深呼吸をして心を落ち着かせ、鏡に触れた。すると、鏡の表面が波打ち始め、周囲の景色が歪み始めた。まるで、水面に石を投げ込んだかのように、現実世界が揺らぎ、歪んでいく。

葉羽は、迷うことなく鏡の中へと足を踏み入れた。次の瞬間、彼の体は鏡の奥へと吸い込まれていった。

葉羽が意識を取り戻すと、彼は再びあの薄暗い異世界にいた。じめじめとした空気、生臭い匂い、そして奇妙な模様で覆われた壁。全てが、前回の悪夢を鮮明に思い出させた。

しかし、今回は一つだけ違う点があった。前回は、この世界に迷い込んだ直後に怪物に遭遇したが、今回は周囲に何もいない。静寂だけが、この異様な空間を支配していた。

葉羽は、懐中電灯を取り出し、周囲を照らした。すると、彼の目の前に、複雑に入り組んだ迷路のような通路が広がっていた。通路の壁は、まるで生きた有機物のように蠢いており、不気味な雰囲気を醸し出していた。

葉羽は、この迷路のような通路を進めば、何か手がかりが見つかるかもしれないと考え、通路へと足を踏み入れた。通路は狭く、曲がりくねっており、まるで生きているかのように形を変えていく。葉羽は、方向感覚を失いそうになりながらも、慎重に進んでいった。

しばらく歩いていると、葉羽は前方に光が見えることに気づいた。彼は光を目指して進んでいった。光は次第に強くなり、やがて葉羽は、通路の出口に辿り着いた。

出口を出ると、葉羽は広大な空間に出て驚愕した。そこは、ドーム状の天井を持つ巨大な空間で、無数の鏡が壁一面に設置されていた。鏡には様々な景色が映し出されており、まるで万華鏡の中に入り込んだかのようだった。

そして、その空間の中央には、高い台座の上に、もう一つの鏡が置かれていた。その鏡は、葉羽の自宅にある鏡よりもさらに大きく、そしてより禍々しい雰囲気を放っていた。

葉羽は、この鏡が何か重要な意味を持つのではないかと直感し、鏡へと近づいていった。すると、鏡の表面が波打ち始め、鏡の中から、声が聞こえてきた。

「ようこそ…迷宮の深淵へ…」

声は、葉羽の声と瓜二つだった。しかし、その響きには、深い悲しみと絶望が込められていた。葉羽は、この声が、鏡の中に閉じ込められた「本当の自分」の声なのではないかと考えた。

「お前は…俺なのか？」

葉羽は、鏡に向かって問いかけた。鏡の中の「自分」は、ゆっくりと頷いた。

「ああ…私は…君だ…この世界の囚人…迷宮の住人…」

「なぜ、こんなところにいるんだ？」

「私は…鏡像融合の失敗作…異世界に囚われた…もう一人の君だ…」

鏡の中の「自分」は、断片的に言葉を紡いでいく。葉羽は、彼の言葉から、鏡像融合の失敗によって、もう一人の自分がこの異世界に閉じ込められてしまったことを理解した。

「君を…ここから出してやる…」

葉羽は、力強く言った。鏡の中の「自分」は、驚いたように目を見開いた。

「できるのか…？」

「ああ、必ず…必ず君を救い出す…」

葉羽は、決意を新たにした。彼は、鏡像融合の謎を解き明かし、鏡の中に閉じ込められたもう一人の自分を救い出すため、あらゆる手段を尽くすことを誓った。

葉羽は、鏡の中の「自分」に、この世界の構造、そして脱出する方法について尋ねた。鏡の中の「自分」は、この世界は「鏡像迷宮」と呼ばれ、無数の鏡と通路で構成されていることを説明した。そして、迷宮の中心部にある「真実の鏡」に辿り着けば、現実世界へと帰還できる可能性があることを示唆した。

しかし、迷宮の中心部へ辿り着くのは容易ではない。迷宮には、様々な罠や怪物が仕掛けられており、一歩間違えれば命を落とす危険性がある。

葉羽は、危険を承知の上で、迷宮の探索を開始した。彼は、鏡の中の「自分」から得た情報を頼りに、慎重に迷宮を進んでいった。

迷宮の通路は、複雑に入り組んでおり、まるで生きているかのように形を変えていく. 葉羽は、方向感覚を失いそうになりながらも、壁の模様や床の形状を手がかりに、迷路を進んでいった。

途中、葉羽は異形の怪物に遭遇した。怪物は、鏡の中の「自分」が言っていた通り、異様な姿形をしており、鋭い爪や牙で葉羽に襲い掛かってきた。

葉羽は、懐中電灯を武器に、怪物と戦った。懐中電灯は、強力な光線を発することができ、怪物を怯ませることができた。しかし、怪物はしぶとく、何度も葉羽に襲い掛かってきた。

葉羽は、怪物の攻撃を避けながら、懐中電灯で怪物を攻撃し続けた。そして、ついに、怪物を倒すことができた。

怪物は、黒い煙を上げて消滅した。葉羽は、安堵のため息をついた。しかし、彼の戦いはまだ終わっていなかった.

葉羽は、迷宮の探索を続けた. 彼は、様々な罠や怪物に遭遇しながらも、諦めずに迷宮を進んでいった。

そして、ついに、葉羽は迷宮の中心部に辿り着いた。そこには、巨大な鏡が設置されていた。鏡は、葉羽の自宅にある鏡よりもさらに大きく、そしてより禍々しい雰囲気を放っていた。

葉羽は、この鏡が「真実の鏡」であることを確信した。彼は、深呼吸をして心を落ち着かせ、鏡に触れた。

すると、鏡の表面が光り輝き、葉羽の体は光に包まれた。そして、次の瞬間、葉羽は意識を失った。

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