運命のパズル

10章

葉羽の決意と行動

 第10章: 葉羽の決意と行動

時計の針が深夜0時を指す頃、葉羽は図書室で眠りに落ちていた。机の上には解読途中の暗号と、開かれたままの校史が広がっている。突然、彼は目を覚ました。
「そうか...！」
葉羽は飛び起きると、急いで暗号と校史を見比べ始めた。彼の目には、新たな光が宿っていた。
「地下迷宮の入り口は...ここだ」
彼は校舎の古い見取り図を指さした。そこには、現在は使われていない旧校舎の位置が記されていた。
葉羽は躊躇なく行動を起こした。真夜中の校舎は静まり返り、彼の足音だけが廊下に響く。旧校舎に向かう途中、彼は立ち止まった。
「このままじゃ危険すぎる...」
彼は携帯電話を取り出し、迷った末に一つの番号に電話をかけた。
「もしもし、佐々木か？悪いが、すぐに学校に来てくれないか。彩由美が危険なんだ」
簡潔に状況を説明し、佐々木の到着を待つ間、葉羽は旧校舎の入り口で深呼吸を繰り返していた。
15分後、息を切らせた佐々木が到着した。
「説明してくれ、葉羽。一体何が...」
葉羽は冷静に状況を説明した。佐々木の顔が青ざめていく。
「まさか...でも、警察に通報すべきじゃないのか？」
葉羽は首を振った。「時間がない。それに...」彼は言葉を選びながら続けた。「この事件、内部の人間が関わっている可能性が高い。警察を呼べば、彩由美が危険になるかもしれない」
佐々木は重々しくうなずいた。「分かった。俺も一緒に行く」
二人は慎重に旧校舎に入った。埃っぽい空気が鼻をつく。葉羽は懐中電灯を取り出し、床を照らした。
「ここだ」
彼は古びた床の一角を指さした。そこには、かすかに輪郭の異なる部分があった。
二人で力を合わせ、床を持ち上げると、そこには暗い階段が現れた。
「本当に地下迷宮があったんだ...」佐々木が息を呑む。
葉羽は躊躇なく階段を降り始めた。「気をつけろ。罠があるかもしれない」
地下に降りると、そこは予想以上に広く、複雑な通路が幾重にも続いていた。壁には古い模様が刻まれ、どこか神秘的な雰囲気が漂う。
「こんな場所が、学校の下にあったなんて...」佐々木が呟いた。
葉羽は暗号の紙を取り出し、慎重に道を選んでいく。時折、古い機械の音が聞こえ、二人の緊張は高まるばかりだ。
「待て」葉羽が突然立ち止まった。前方から、かすかに人の声が聞こえる。
二人は息を潜め、音の方向へと進んだ。そして、大きな扉の前に辿り着いた。
「ここだ...」葉羽は深く息を吸い、扉に手をかけた。
扉の向こうには...
突如、警報音が鳴り響いた。同時に、通路のあちこちから金属音が響き、壁が動き始める。
「罠だ！」佐々木が叫ぶ。
葉羽は咄嗟に扉を開け、中に飛び込んだ。佐々木も間一髪で滑り込む。
部屋の中央には、椅子に縛られた彩由美の姿があった。
「彩由美！」葉羽が駆け寄る。
しかし、その瞬間、部屋の奥から拍手が響いた。
「よくここまで辿り着いたな、神藤葉羽」
闇の中から、一人の人影が現れた。葉羽の目が見開かれる。
「まさか、あなたが...」
その人物の正体に、葉羽は言葉を失った。