運命のパズル

葉羽

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9章

彩由美の危機

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第9章: 彩由美の危機

事態が複雑化してから3日が経過した。学校全体が重苦しい空気に包まれ、生徒たちの間には不安と疑心暗鬼が広がっていた。
放課後、葉羽は図書室で一人、集めた情報を整理していた。彩由美は用事があるとのことで、先に帰宅していた。
「やはり、この暗号が鍵を握っているはずだ...」
葉羽は眉をひそめ、校史の本から見つかった暗号の紙を見つめていた。しかし、どう考えても解読の糸口が見つからない。
その時、ポケットの中で携帯電話が震えた。画面を見ると、見知らぬ番号からのメッセージだった。
「望月彩由美を助けたければ、今すぐ体育館裏に来い。一人で」
葉羽の顔から血の気が引いた。
「彩由美が...!」
彼は躊躇することなく図書室を飛び出した。廊下を走り抜け、体育館に向かう。頭の中では様々な可能性が駆け巡る。
「罠かもしれない...でも、彩由美が危険だとしたら...」
体育館裏に到着すると、そこには人影はなかった。葉羽は慎重に周囲を見回した。
「彩由美!どこだ!」
突然、背後から物音がした。振り返ると、そこには黒いマスクを被った人物が立っていた。
「よく来たな、神藤葉羽」
低い声が響く。葉羽は冷静を装いながら尋ねた。
「彩由美はどこだ」
「心配するな。彼女は無事だ...今のところはな」
マスクの男は、ポケットから一枚の写真を取り出した。そこには、どこかの部屋で椅子に縛られた彩由美の姿が写っていた。
葉羽の目が怒りで燃えた。「何が目的だ」
「お前の推理力を試したいんだよ」マスクの男は冷たく言った。「これまでの全ての出来事は、お前を引き出すための舞台装置だった」
葉羽は驚きを隠せなかった。「なんだと...?」
「さあ、ゲームの始まりだ」男は続けた。「24時間以内に、彩由美のいる場所を突き止めろ。でなければ...」
男は意味ありげに黙った。葉羽は拳を握りしめた。
「どうすれば彼女を見つけられる?」
「ヒントはすでに与えてある」男は答えた。「お前が見つけた暗号、そして学校の歴史...全てはつながっている」
そう言うと、男は煙幕を炊いた。葉羽が目を覚ますと、男の姿はなく、そこには一枚の紙が落ちていた。
「最初の場所に戻れ」
葉羽は紙を握りしめ、決意に満ちた表情を浮かべた。
「待っていろ、彩由美...必ず助け出してみせる」
彼は急いで図書室に戻った。そこで、校史の本と暗号の紙を広げ、必死に解読を試みる。
「最初の場所...学校が建てられた場所のことか?」
葉羽は校史を丹念に読み返し始めた。そして、ある一節に目が留まった。
「本校は、かつて地下迷宮があったと言われる丘の上に建てられた...」
葉羽の目が輝いた。「これだ!暗号は、その地下迷宮の地図を示しているんだ!」
彼は急いで暗号を解読し始めた。時間との戦いだ。
「彩由美...必ず見つけ出す。そして、この事件の真相も...」
葉羽の頭の中で、様々なピースが繋がり始めていた。しかし、彼はまだ知らなかった。この事件の背後に潜む、さらに大きな陰謀の存在を...。
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