運命のパズル

8章

疑惑の輪が広がる

第8章: 疑惑の輪が広がる

翌朝、葉羽は目を覚ました。彼の部屋の床には開かれた校史の本や、メモ用紙が散らばっていた。夜通し調べていたにもかかわらず、決定的な手がかりは見つからなかった。
「まだ何か見落としているはずだ...」
葉羽は顔を洗い、制服に着替えながら考えを巡らせた。そのとき、スマートフォンが鳴った。彩由美からのメッセージだ。
「大変！学校に早く来て！」
葉羽は眉をひそめ、急いで家を出た。
学校に着くと、正門前に生徒たちが集まっていた。その中心に彩由美の姿を見つけ、葉羽は駆け寄った。
「どうしたんだ？」
彩由美は心配そうな顔で葉羽を見た。「ほら、あれ...」
彼女が指さす先には、学校の壁に大きな落書きがあった。
「闇の祭典、まもなく開幕」
葉羽は目を細めた。「これは...」
その時、教師たちが慌ただしく現れ、生徒たちを教室に戻すよう指示し始めた。葉羽と彩由美は、他の生徒たちと共に校舎に入った。
教室に着くと、クラスメイトたちが興奮気味に話し合っていた。
「ねえ、これって山田さんの失踪と関係あるのかな？」
「怖いよ...学園祭、中止になるんじゃない？」
「犯人は誰なんだろう...」
葉羽は静かに自分の席に着いた。彩由美も隣に座り、小声で話しかけた。
「葉羽くん、どう思う？」
葉羽は腕を組んで考え込んだ。「あの落書き...誰かが意図的に騒ぎを大きくしようとしているんだ」
「でも、誰が...？」
その時、担任の高橋先生が教室に入ってきた。いつもの穏やかな表情はなく、厳しい顔つきをしていた。
「みんな、落ち着いて聞いてくれ」高橋先生は深刻な声で言った。「警察の捜査が入ることになった。全員、順番に事情聴取を受けてもらう」
教室がざわめいた。葉羽は眉をひそめた。
「先生」葉羽が手を挙げた。「捜査の対象は生徒全員なんですか？」
高橋先生は少し躊躇した後、答えた。「...ああ、そうだ。教職員も含めてだ」
その言葉に、クラス全体が騒然となった。
放課後、葉羽と彩由美は図書室に集まった。二人とも既に事情聴取を終えていた。
「どう思う？」彩由美が不安そうに尋ねた。
葉羽は窓の外を見つめながら答えた。「警察は、内部犯行の可能性を疑っているんだ」
「え？まさか...」
「ああ、でもそれは当然の推論だ」葉羽は彩由美を見た。「学校の内部事情を知っている者でなければ、あそこまでのことはできない」
彩由美は唇を噛んだ。「じゃあ、犯人は私たちの近くに...？」
葉羽はうなずいた。「可能性は高い。でも、それはつまり...」
「私たちも疑われる可能性があるってこと？」彩由美が小さな声で言った。
「ああ」葉羽は真剣な表情で答えた。「だからこそ、俺たちで真相を突き止めなければならない」
その時、図書室のドアが開いた。入ってきたのは佐々木だった。
「二人とも、大変なことになった」佐々木は息を切らせながら言った。「山田の携帯から、また新しいメッセージが...」
葉羽と彩由美は顔を見合わせた。事態は、さらに複雑な方向に進んでいくようだった。
「何て書いてあった？」葉羽が冷静に尋ねた。
佐々木はスマートフォンを取り出し、画面を二人に見せた。そこには、衝撃的な言葉が表示されていた。
「裏切り者を暴け。時は刻々と過ぎゆく」
葉羽の目が鋭く光った。「裏切り者...か」
彩由美は不安そうに葉羽を見た。「これって...」
「ああ」葉羽は静かに言った。「俺たちの中に、この事件に関わっている者がいるということだ」