天井裏の囁き姫

葉羽

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5章

天井裏の秘密

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葉羽は、天井裏への扉を見つけ出した。心臓が激しく鼓動し、頭の中には彩由美の声がこだまする。「待ってろ、由美……今すぐに助けに行く!」彼は、扉を開けると、音楽室の天井裏に通じる狭い階段を一気に駆け上がった。

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天井裏は薄暗く、無数の古びた梁が彼の視界を邪魔する。だが、遠くから満月の光がわずかに差し込んでいるのを感じた。満月の光は、この呪われた機巧の装置を動かす鍵であり、葉羽はその動力源を遮断するために、光の方向へと進んだ。

「葉羽くん……」かすかに聞こえたのは、彩由美の声だった。彼女は、古びた歯車の装置に囚われ、魂を奪われつつあった。葉羽は鋭い目で装置の構造を見極め、弱点を探し始めた。

装置の中心には、大きなレンズが取り付けられており、満月の光を増幅させていることが分かった。さらに、天井の梁に取り付けられた古い鏡が、光を集めて装置に送り込んでいる。これが魂の抽出を可能にしている仕組みだと悟った葉羽は、まずそのレンズを壊す必要があると考えた。

「待ってろ、彩由美!」

葉羽は、手近にあった鉄の棒を使い、天井の梁をよじ登る。梁の上でバランスを取りながら、鏡に狙いを定めると、力いっぱいに鉄の棒を振り下ろした。鋭い音が響き渡り、鏡は粉々に砕け散った。

「くっ……!」その瞬間、装置が異様な音を立てて停止し、天井裏全体が揺れ始めた。だが、葉羽は満月の光が遮られたことで装置の力が弱まり、彩由美を解放できると確信した。

彩由美の元に駆け寄り、彼女の体を抱きかかえると、薄れかけた彼女の意識が戻り始めた。葉羽は優しく彼女の顔を撫で、「大丈夫、俺が守る」と静かに囁いた。

---

だが、その時だった。天井裏の奥から、ゆっくりとした足音が聞こえてきた。望月薫子――いや、霧島蓮が、二人に向かって歩み寄ってきたのだ。彼女の瞳は狂気に満ち、唇は不気味な微笑を浮かべている。

「よくも……よくも私の計画を……!永遠の命を手に入れるための装置を、破壊するとは……!」

霧島蓮は怒りに燃え、二人に手を伸ばした。だが、その瞬間、天井裏の床が大きく揺れ、霧島蓮はバランスを崩した。

葉羽は咄嗟に彩由美を抱き寄せ、急いで天井裏から抜け出すために階段へと向かった。後ろでは、蓮の叫び声がこだまする。「待て!まだ終わっていない!私には時間がある!何度でも繰り返せるのだ!」

葉羽と彩由美は階段を駆け下り、音楽室へと逃げ込んだ。振り返ると、天井裏が崩れ始めていた。霧島蓮が操る装置が完全に壊れ、彼女の計画は永遠に終わりを迎えたのだ。

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その後、葉羽は彩由美を守り抜き、学園は静寂を取り戻した。霧島蓮の狂気は、過去とともに埋もれ、天井裏の囁き姫も永遠に消え去った。彩由美は無事に回復し、二人は穏やかな日常に戻っていく。

だが、葉羽の心の中には一つの疑念が残っていた。霧島蓮の言葉――「時間がある」「何度でも繰り返せる」という不気味な言葉。あれは本当に終わったのだろうか?

葉羽は最後に、読者に向かって問いかける。

**「果たして、本当にこの物語は終わったのだろうか? 霧島蓮の最後の言葉が示すもう一つの可能性……君は、その真実に気づくだろうか?」**

--- 

**読者への挑戦状**  
「君は、この狂気に満ちた永遠の命の物語に隠された最後の真実を見つけることができるか?」
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