俺は自由になってやる!~眼球の中を漂う口うるさい精霊から解放されるための旅~

ユウリ(有李)

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第四章

15 もうひとりの世界の守護者リフシャティーヌⅡ

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「リフシャティーヌ様!?」

『そうよサリアーシャ。昔あなたに加護を与えたのを覚えていない?』

『リフシャティーヌ様、その時サリア様はまだ赤ん坊でした。覚えてなどいません』

『あら、そうだったかしら? でも、役に立ったでしょう? どちらか一方を城の外に出すなんてわたし、本当に、本当に嫌だったのよ。でも決まりだって言うから、元気そうなあなたのほうを選んでしまったの。だって、体の弱い子を外に放り出すなんて、そんなことできるわけないじゃない?』

「あ、はい。わかります」

『ですがリフシャティーヌ様、少々効果がありすぎたようですよ』

『まあ! じゃあ、わたしが思った以上に元気な子だったのね。もしかして加護なんて必要なかったのか
しら』

「そんなことありません。ここに来るまでに、すごく助けられました」

 サリアがこぶしを握って伝える。

『そう、よかったわ』

 そう言ってリフシャティーヌは白い喉を鳴らした。

『そこにいるのがヴァヴァロナ王家唯一の生き残り、クルストラだ。サリアーシャとクルスが、力を合わせてここまで来た。アスィとツァルが付き添ってな』

『素敵なことだわ。クルス、サリアーシャのこと、どうもありがとう。これからもお願いね』

 リフシャティーヌの赤い瞳が優しく細められる。

 まるでサリアのお母さんみたいだ。

「はい」

 胸を張ってそう応えると、リフシャティーヌの目が更に細くなった。

『さあ、じゃあ始めましょうか。あなたたちに世界を救う覚悟はあって?』

「もちろんです」

「はい。その覚悟でここまで来ました」

 サリアと俺は即答した。

『そう、いい返事ね。じゃあ、まずは可能な限り、世界の浄化をするわ。でもね、期待はしないで頂戴。わたしたちはそりゃあ休む前と比べたら多少力が回復したかもしれないけれど、それでもここまで崩壊に近づいた世界を救うほどの力はないのよ。だから、それが終わったらシュテフォーラを召喚するわ。できることは全てやるけれど、最後は世界の創造主の手に委ねるしかないの。わかるかしら?』

「はい」

 俺のサリアの声が重なる。

 俺たちの返事を聞いて、リフシャティーヌはひとつ、頷いた。

『ツァルが精霊の寄る辺ルチェ・シュテフスに細工をしてきた。私たちがここで力を解放すれば協力してくれる精霊たちの力がここに集まるようになっている』

『ますます素敵ね。それに、ここにもたくさんの精霊たちが集まってくれているようね。嬉しいわ』

 ヴァルヴェリアスの説明を聞き、リフシャティーヌが極上の笑みを浮かべた。
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