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王城の一室では、耳を覆いたくなるような罵声が響き渡っていた。
「……どういうことだ! なぜ民衆が暴動を起こしている! 聖女であるお前の祈りで、全て解決するはずではなかったのか!」
エドワード王子は、かつて愛おしそうに見つめていたリリアに対し、怒りに震える指先を突きつけた。
床には、王都中にばら撒かれた告発状の一枚が転がっている。
そこにはリリアの不正と、アテナを陥れた際の手口が冷徹な筆致で克明に記されていた。
「そ、そんな……! これは、アテナ様が仕組んだ罠ですわ! あの方が魔女を使って、私を貶めようとしているのです!」
リリアは涙を浮かべ、エドワードの袖に縋り付いた。
しかし、その瞳にはかつての可憐さはなく、追い詰められた獣のような濁りがある。
「黙れ! 神殿からも調査が入ったのだぞ。お前が使っていた聖なる光が、ただの魔導具による発光現象だったと……! 私までペテン師の仲間だと思われているのだぞ!」
「エ、エドワード様……信じてくださいませ! 私は、貴方様のために……」
「私のために!? お前のせいで公爵家は敵に回り、帝国の機嫌まで損ねた。……アテナがいれば、このような無様な事態にはならなかったものを!」
エドワードの口から出た言葉に、リリアの顔が嫉妬で歪んだ。
「結局、あの方なのですか!? あんな可愛げのない、氷のような女のほうが良かったとおっしゃるのね!」
「そうだ! 少なくとも彼女は、お前のような安っぽい嘘はつかなかった!」
逆上のあまり、エドワードはリリアの手を振り払った。
リリアは無様に床に倒れ込み、その衝撃で懐から小さな瓶が転がり落ちる。
「……それは何だ?」
「あ……。こ、これは……」
エドワードがその瓶を拾い上げ、中身を確認すると、顔色が瞬時に土色へと変わった。
それは、アテナがリリアに盛ろうとしたとされていた、例の毒物と全く同じ成分のものだった。
「リリア……貴様。アテナが持っていたはずの毒を、なぜお前が持っている?」
「ち、違いますわ……! それは、その……!」
「……そうか。最初から、お前が仕組んだことだったのか。私を騙し、公爵令嬢を追い出し……私を、国中の笑い者にしたのか!」
エドワードの目が、殺気立ったものへと変わる。
リリアは震えながら後ずさるが、背後は壁だった。
「衛兵! 衛兵を呼べ! この女を地下牢へ――」
「お待ちになって! エドワード様!」
その時、部屋の扉が静かに、けれど力強く開かれた。
「あら、随分と賑やかですこと。……お邪魔かしら?」
聞き覚えのある、凛とした声。
振り返った二人の目に飛び込んできたのは、平民の服を脱ぎ捨て、かつてよりも一層高貴な輝きを放つドレスを纏ったアテナの姿だった。
そしてその傍らには、死神のような冷徹な笑みを浮かべたローレンスが、抜き放った剣を手に立っていた。
「ア、アテナ……!? なぜ、貴様がここに!」
「貴方に会いに来たのよ、エドワード殿下。……貴方が捨てた『悪役令嬢』が、どのような結末を貴方に持ってきたのか、教えて差し上げるために」
アテナは優雅に扇を広げ、絶望に染まる二人を、ゴミを見るような瞳で見下ろした。
「……どういうことだ! なぜ民衆が暴動を起こしている! 聖女であるお前の祈りで、全て解決するはずではなかったのか!」
エドワード王子は、かつて愛おしそうに見つめていたリリアに対し、怒りに震える指先を突きつけた。
床には、王都中にばら撒かれた告発状の一枚が転がっている。
そこにはリリアの不正と、アテナを陥れた際の手口が冷徹な筆致で克明に記されていた。
「そ、そんな……! これは、アテナ様が仕組んだ罠ですわ! あの方が魔女を使って、私を貶めようとしているのです!」
リリアは涙を浮かべ、エドワードの袖に縋り付いた。
しかし、その瞳にはかつての可憐さはなく、追い詰められた獣のような濁りがある。
「黙れ! 神殿からも調査が入ったのだぞ。お前が使っていた聖なる光が、ただの魔導具による発光現象だったと……! 私までペテン師の仲間だと思われているのだぞ!」
「エ、エドワード様……信じてくださいませ! 私は、貴方様のために……」
「私のために!? お前のせいで公爵家は敵に回り、帝国の機嫌まで損ねた。……アテナがいれば、このような無様な事態にはならなかったものを!」
エドワードの口から出た言葉に、リリアの顔が嫉妬で歪んだ。
「結局、あの方なのですか!? あんな可愛げのない、氷のような女のほうが良かったとおっしゃるのね!」
「そうだ! 少なくとも彼女は、お前のような安っぽい嘘はつかなかった!」
逆上のあまり、エドワードはリリアの手を振り払った。
リリアは無様に床に倒れ込み、その衝撃で懐から小さな瓶が転がり落ちる。
「……それは何だ?」
「あ……。こ、これは……」
エドワードがその瓶を拾い上げ、中身を確認すると、顔色が瞬時に土色へと変わった。
それは、アテナがリリアに盛ろうとしたとされていた、例の毒物と全く同じ成分のものだった。
「リリア……貴様。アテナが持っていたはずの毒を、なぜお前が持っている?」
「ち、違いますわ……! それは、その……!」
「……そうか。最初から、お前が仕組んだことだったのか。私を騙し、公爵令嬢を追い出し……私を、国中の笑い者にしたのか!」
エドワードの目が、殺気立ったものへと変わる。
リリアは震えながら後ずさるが、背後は壁だった。
「衛兵! 衛兵を呼べ! この女を地下牢へ――」
「お待ちになって! エドワード様!」
その時、部屋の扉が静かに、けれど力強く開かれた。
「あら、随分と賑やかですこと。……お邪魔かしら?」
聞き覚えのある、凛とした声。
振り返った二人の目に飛び込んできたのは、平民の服を脱ぎ捨て、かつてよりも一層高貴な輝きを放つドレスを纏ったアテナの姿だった。
そしてその傍らには、死神のような冷徹な笑みを浮かべたローレンスが、抜き放った剣を手に立っていた。
「ア、アテナ……!? なぜ、貴様がここに!」
「貴方に会いに来たのよ、エドワード殿下。……貴方が捨てた『悪役令嬢』が、どのような結末を貴方に持ってきたのか、教えて差し上げるために」
アテナは優雅に扇を広げ、絶望に染まる二人を、ゴミを見るような瞳で見下ろした。
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