Man & Woman 俺の好きになった女の子

akasa

文字の大きさ
33 / 42

32話

しおりを挟む

 しばらく待っていると後ろで風呂場のドアが開く音がした。

「もう少し待ってね、今拭いてるから」
 脱衣所と部屋を分けるアコーディオンドアの向こうから話しかけてきた。

「いいよ、ゆっくりで」

「次、ヒビキ君も入ってね」


 ナオちゃんは大きめのスウェットに短パンという姿で風呂場から出てきた。髪は後ろでまとめて、ドライヤーを抱えている。

「すっぴん見せるの恥ずかしいー」

 目の辺りを隠しながら歩いている。

「隠しても見えてる」

「えー、ショック受けないでよ」

 そう言いながら俺の方を見る。すっぴんでも全然かわいい、ちょっと幼く見えるかな?その顔を見てたら顔が綻んでくる。だってこの姿を見る事が出来るのはおそらく俺だけなんだから。

「ちょっと、あんまり見ないでよぉ」

「いや、キレイな顔だなぁって」

「まぁスキンケアとか頑張ってるからね」

「髪束ねるのもいいね」

「いやいや、恥ずかしいから」

「じゃあ、俺も。シャワーお借りします」

「どうぞ。あとでバスタオルと着替え置いとくね」

「ありがとう。シャンプーとかは?」

 ペタペタと歩いてやってきて、これとこれって教えてくれる。ナオちゃんが戻ろうと振り返った瞬間に背後から抱きしめた。

「ナオちゃん、大好きだよ」
「もー、続きはあとで。早くお風呂に入りなさい」
「はーい」

 ナオちゃんってつい甘えたくなってしまう空気持ってるよな。

 風呂場に入り、シャワーを浴びる。見た事ないシャンプーとボディソープが置いてて、ドキドキしてしまった。なんか女の子のこういうの見てしまうのはなんか悪い事してるみたいな気がする。

 風呂場から出ると、洗濯機の上にバスタオルと着替えが置いてあった。バスタオルで頭と身体を拭いて、着替えを見る。これってナオちゃんのいつも着てる部屋着なのかな。大きめのTシャツと上下のスウェット。さすがにパンツは自分のをもう一度履くけどね。

「サイズどう?どっちもワンサイズ大きい服だから大丈夫だと思うけど」

「ありがとう、大丈夫だよ。これナオちゃんの服だよね」

「そうだよ。大きい服って楽だから好きなの」

「そうなんだ、いい匂いするなぁ」

 胸の辺りを掴んでクンクンする。

「ちょっと、やめなよ。もー」

 はははと笑いながら歩く。

「じゃあここ座って」

「はい」

 ナオちゃんの隣に座る。

「髪乾かしてあげるね」

「うん」

 付き合うってこういう楽しさもあるんだな。ドライヤーで乾かしてもらってる間に気が付いたけど、ベッドの上にさっきまで着てた服がキレイに畳まれていた。これはどんどん甘えん坊になってしまいそうな気がするなぁ。気を付けないとな。


 ナオちゃんは立ち上がり、冷蔵庫の前に立って言う。
「ビールとお茶どっちがいい?」

「じゃあビール……いや、眠くなると勿体ないからお茶にしようかな」

「眠いとなにが勿体ないの?」

「せっかく一緒にいるのに寝るのが勿体なくて」

「えー、寝ないの?」

「もう少しイチャイチャしたいかなー」

 俺のキャラ崩壊の可能性。

「ヒビキ君、さっきからキャラが変わりつつあるね」

「そう?俺とナオちゃん二人きりだからかなぁ」

 止められそうにないや。

「クールなヒビキ君も好きだけど、甘えん坊のヒビキ君も好き」

「どっちが本当の俺なんだろ。いや、どっちも俺なんだけど。ナオちゃんの前だとめっちゃ素でいられるんだよね。カッコつけなくていいっていうか。飾らないでいれるというか」

「私もだよ。自分でも驚くよ。私って結構引っ込み思案だからさ、自分から行動するタイプじゃないんだけどね。ヒビキ君の前だといろいろ出来ちゃう」

「いいじゃん、お互いが新しい自分に出会えるなんて。最高じゃない?」

「ホントだね」

 ナオちゃんと見つめ合う。

 隣に座っているナオちゃんを引き寄せる。ずっとくっついていたい気分。自分を強く持たないと依存してしまいそう。でも、今日付き合ったばかりだから許してほしいかな。

 首筋にキスをする。耳の後ろで思い切り深呼吸する。匂いを覚えておきたい。

「大切にするよ」

 耳の真横で呟いた。

「私も」

 俺の背中に腕が巻き付く。

 至近距離で見つめ合い、鼻がぶつかりそうになったところでキスをする。黙ったまま、お互いの唇の感触を楽しみ、どちらともなくゆっくりと舌を絡ませる。

 さっきしていた時は熱い熱いキスって感じだったけど、今度は濃厚で深い。衝動で動くというよりもお互いを認め合う様なキス。天に昇るというよりも、優しい海に降りていく。そんな気分だった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...