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第6話 封印された礼拝堂
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灰街を出てから半日、風は止み、空の灰が重く降り積もっていた。
進むごとに空気は澱み、息をするたび胸の奥がざらつく。
リラの白いローブはすでに灰に染まり、彼女は静かに壺を抱えて歩いていた。
その隣でナトが道案内を担っていた。
「この先に古い礼拝堂があるんだ。灰司祭が逃げたって噂の場所。」
「封印されているはずじゃなかったのか?」カイルが尋ねる。
「封印は……もう誰も守ってない。中は呪われてるって皆怖がってるけど。」
ナトの声には、恐れと好奇心が混ざっていた。
道の途中、かつて街道だった石畳が途切れ、乾いた平野が広がる。
ところどころに黒ずんだ柱が突き出し、それが昔は聖堂へ通じる標だったのだろう。
リラは足を止め、壊れた碑文の欠片に触れた。
「祈りの先に光あり、灰の先に再生あり……。この碑は、かつての巡礼者たちの導きだったのね。」
「再生、か。」カイルは呟いた。
「この国が再び息を吹き返すことを、誰かがまだ信じていた証だ。」
午後になるころ、彼らは丘を越え、封印の礼拝堂を見渡した。
遠くからでもわかるほど、建物の周囲だけが異様な闇に覆われている。
他の瓦礫と違い、その聖堂だけが完全な形を保ち、まるで時間から切り離されているようだった。
ナトの足が止まる。
「ここだ……。この扉の中で、灰司祭が人を灰に変えたって。」
リラは小さく息を吸った。
「行きましょう。」
「待て。」カイルが前に立つ。
「中に何がいるかわからない。まず俺が確かめる。」
扉は灰の膜に閉ざされ、触れた瞬間にざらりと音を立てて崩れた。
その奥からは冷たい風が吹き出す。
人の息とも、土の匂いとも違う、死の風。
カイルは剣を抜き、慎重に足を踏み入れた。
内部は予想外に整っていた。
瓦礫はほとんどなく、長い年月が経ったとは思えぬほど静謐。
祭壇には黒い布がかけられ、その上に壺が五つ並んでいる。
どれも同じ形で、表面には古い文字が刻まれていた。
リラがその一つを覗き込む。
「これ……灰壺ね。魂を封じる器。」
「魂?」ナトが息を呑む。
「灰司祭は信徒を灰に変えるだけじゃなかった。こうして祈りの形にして保存していたの。」
「供養ってことか? それとも支配か。」カイルの声が低く響く。
リラは答えられなかった。
彼女自身もまた、壺を抱いて旅をしている。
それが何を意味するか、わかりたくなかった。
礼拝堂の奥に通じる階段がある。
地の底に延びるその入口には、鎖がかかっていた。
しかし鎖は錆びつき、触れた途端に崩れ落ちた。
カイルが一歩降りると、湿った空気が立ち上る。
下は地下聖廟だった。
蝋燭の燃えかすがいくつも落ちている。
そこに人の気配はなかったが、壁一面に描かれた絵があった。
それはこの国の歴史を象徴する壁画だった。
左手には、民が光に手を伸ばす姿。
中央には、王が剣を掲げる姿。
そして右には、一人の少女が祈りの中で灰となる姿。
リラはその絵の前で立ち止まった。
静かに指先を触れ、声を震わせながら言葉をこぼす。
「これは……灰の聖女の伝承。亡国の聖女が最後に自らを灰に変え、国を宙に封じた……その瞬間を描いている。」
カイルは隣に立ち、壁画の王に目を向けた。
王の顔は崩れていたが、胸元には見覚えのある印があった。
「この紋章、王直属の近衛隊のものだ。俺も同じものを持っていた。」
「じゃあ、この王はあなたが仕えていた方?」
「ああ、間違いない。だがなぜ聖女とともに描かれている……。」
リラは壁画の下に刻まれた小さな文字を読み上げた。
“王、光を得ずして灰と化す。聖女、灰を憎まずして祈りと化す”。
彼女の顔色が変わった。
「これ、歴史とは違う……。この国を滅ぼしたのは外敵ではなく、王そのもの。祈りによって灰を招いたって書かれている。」
そのとき、背後でナトの叫び声が上がった。
「リラ!壺が……!」
振り返ると、祭壇に残した灰壺の一つがひび割れ、そこから灰の光が溢れていた。
灰は生き物のように蠢き、床に散って形を成す。
次第に人の輪郭を得ていく。
それは少女の姿だった。
半透明の身体、顔のない祈りの影。
「……わたし、は……誰の……祈り?」
か細い声が、礼拝堂の空気を震わせた。
リラの視線がその姿に吸い込まれる。
「もしかして……あなたが、聖女?」
影が首を傾げる。
「わたしは灰。祈りを忘れた民の記憶。だが……あなたの声には光がある。」
リラは一歩前に進んだ。
「あなたの名を教えて。あなたを導きたい。」
影は苦しげに胸元を押さえる。
「名は要らない……この国の祈りは、もう終わったの……。」
そう言い残すと、影の身体が崩れ、灰が空に溶けていった。
沈黙が訪れる。
ナトが怯えた声で呟く。
「今の、何だったんだ……?」
「魂の残響だ。」カイルが答える。
「この壺の中には、灰に変わった者たちの想念が封じられている。おそらく、今のはその一部。」
リラは唇を噛みしめた。
「この礼拝堂は、祈りを封じるための墓だったのね。救うためじゃなく、封じ込めるために造られた。」
彼女が再び祭壇に近づこうとしたとき、床の下から重い音が響いた。
地鳴りのような震動、そして低い唸り声。
カイルが剣を構え、天井の灰がはらはらと落ちる。
次の瞬間、祭壇が勢いよく割れ、黒い影が噴き出した。
それは獣の形を取りながらも、無数の腕と顔を持つ異形だった。
「灰が……集まってる!」ナトが叫ぶ。
「逃げろ!」カイルがリラを押し出す。
だが灰の腕が祭壇から伸び、リラの足を絡め取った。
鋭い痛みが走り、彼女は地面に倒れ込みながら叫ぶ。
「これは……灰司祭の呪い!」
影の獣が咆哮を上げた。
その目には確かに人の憎しみが宿っている。
「王も……聖女も……偽り!」
その声を聞いた瞬間、カイルは理解した。これが司祭の造った祈りの残骸。
王に裏切られた信徒の怨念が、形を得て蘇ったのだ。
カイルは灰の波を切り裂きながら叫んだ。
「リラ、ナト!後ろへ!」
斬撃が光るたび、黒い灰が弾けた。だが削っても削っても再生する。
リラは必死に祈りの言葉を紡いだ。
「灰は眠りへ、魂は光へ――」
瞬間、足元の灰が白く変わり、獣の動きが止まる。
そのすきにカイルが飛び込み、渾身の一撃を叩き込んだ。
轟音とともに灰の塊が爆ぜ、あたり一面に光の粒が散った。
しばらくして、礼拝堂には再び静寂が戻った。
リラは膝をつき、震える手で心臓を押さえていた。
ナトが駆け寄る。
「怪我は?」
「平気……でも、やっぱり何かがこの先に繋がってる。」
カイルは剣を拭い、天井の裂け目から差す淡い光を見上げた。
「灰司祭は聖女の魂を壺に封じ、礼拝堂に閉じ込めた。理由はわからんが、灰の王に関係している。」
リラは立ち上がり、再び壺を抱える。
「壺の封印を解くわ。彼らの魂を光に還すために。」
カイルは短く頷いた。
「いいだろう。だが、その先に何が待っていようと、俺がすべて斬り開く。」
灰を踏みしめ、三人は礼拝堂を後にした。
振り返ると、崩れた祭壇の奥から、光とも闇ともつかぬ影が一瞬揺らめいた。
それはまるで、誰かが微笑んで見送っているようにも見えた。
灰の風が再び吹き始める。
廃城はまだ遠いが、確かにそこから呼ぶ声がある。
灰の王が待つ場所へ――。
(続く)
進むごとに空気は澱み、息をするたび胸の奥がざらつく。
リラの白いローブはすでに灰に染まり、彼女は静かに壺を抱えて歩いていた。
その隣でナトが道案内を担っていた。
「この先に古い礼拝堂があるんだ。灰司祭が逃げたって噂の場所。」
「封印されているはずじゃなかったのか?」カイルが尋ねる。
「封印は……もう誰も守ってない。中は呪われてるって皆怖がってるけど。」
ナトの声には、恐れと好奇心が混ざっていた。
道の途中、かつて街道だった石畳が途切れ、乾いた平野が広がる。
ところどころに黒ずんだ柱が突き出し、それが昔は聖堂へ通じる標だったのだろう。
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「再生、か。」カイルは呟いた。
「この国が再び息を吹き返すことを、誰かがまだ信じていた証だ。」
午後になるころ、彼らは丘を越え、封印の礼拝堂を見渡した。
遠くからでもわかるほど、建物の周囲だけが異様な闇に覆われている。
他の瓦礫と違い、その聖堂だけが完全な形を保ち、まるで時間から切り離されているようだった。
ナトの足が止まる。
「ここだ……。この扉の中で、灰司祭が人を灰に変えたって。」
リラは小さく息を吸った。
「行きましょう。」
「待て。」カイルが前に立つ。
「中に何がいるかわからない。まず俺が確かめる。」
扉は灰の膜に閉ざされ、触れた瞬間にざらりと音を立てて崩れた。
その奥からは冷たい風が吹き出す。
人の息とも、土の匂いとも違う、死の風。
カイルは剣を抜き、慎重に足を踏み入れた。
内部は予想外に整っていた。
瓦礫はほとんどなく、長い年月が経ったとは思えぬほど静謐。
祭壇には黒い布がかけられ、その上に壺が五つ並んでいる。
どれも同じ形で、表面には古い文字が刻まれていた。
リラがその一つを覗き込む。
「これ……灰壺ね。魂を封じる器。」
「魂?」ナトが息を呑む。
「灰司祭は信徒を灰に変えるだけじゃなかった。こうして祈りの形にして保存していたの。」
「供養ってことか? それとも支配か。」カイルの声が低く響く。
リラは答えられなかった。
彼女自身もまた、壺を抱いて旅をしている。
それが何を意味するか、わかりたくなかった。
礼拝堂の奥に通じる階段がある。
地の底に延びるその入口には、鎖がかかっていた。
しかし鎖は錆びつき、触れた途端に崩れ落ちた。
カイルが一歩降りると、湿った空気が立ち上る。
下は地下聖廟だった。
蝋燭の燃えかすがいくつも落ちている。
そこに人の気配はなかったが、壁一面に描かれた絵があった。
それはこの国の歴史を象徴する壁画だった。
左手には、民が光に手を伸ばす姿。
中央には、王が剣を掲げる姿。
そして右には、一人の少女が祈りの中で灰となる姿。
リラはその絵の前で立ち止まった。
静かに指先を触れ、声を震わせながら言葉をこぼす。
「これは……灰の聖女の伝承。亡国の聖女が最後に自らを灰に変え、国を宙に封じた……その瞬間を描いている。」
カイルは隣に立ち、壁画の王に目を向けた。
王の顔は崩れていたが、胸元には見覚えのある印があった。
「この紋章、王直属の近衛隊のものだ。俺も同じものを持っていた。」
「じゃあ、この王はあなたが仕えていた方?」
「ああ、間違いない。だがなぜ聖女とともに描かれている……。」
リラは壁画の下に刻まれた小さな文字を読み上げた。
“王、光を得ずして灰と化す。聖女、灰を憎まずして祈りと化す”。
彼女の顔色が変わった。
「これ、歴史とは違う……。この国を滅ぼしたのは外敵ではなく、王そのもの。祈りによって灰を招いたって書かれている。」
そのとき、背後でナトの叫び声が上がった。
「リラ!壺が……!」
振り返ると、祭壇に残した灰壺の一つがひび割れ、そこから灰の光が溢れていた。
灰は生き物のように蠢き、床に散って形を成す。
次第に人の輪郭を得ていく。
それは少女の姿だった。
半透明の身体、顔のない祈りの影。
「……わたし、は……誰の……祈り?」
か細い声が、礼拝堂の空気を震わせた。
リラの視線がその姿に吸い込まれる。
「もしかして……あなたが、聖女?」
影が首を傾げる。
「わたしは灰。祈りを忘れた民の記憶。だが……あなたの声には光がある。」
リラは一歩前に進んだ。
「あなたの名を教えて。あなたを導きたい。」
影は苦しげに胸元を押さえる。
「名は要らない……この国の祈りは、もう終わったの……。」
そう言い残すと、影の身体が崩れ、灰が空に溶けていった。
沈黙が訪れる。
ナトが怯えた声で呟く。
「今の、何だったんだ……?」
「魂の残響だ。」カイルが答える。
「この壺の中には、灰に変わった者たちの想念が封じられている。おそらく、今のはその一部。」
リラは唇を噛みしめた。
「この礼拝堂は、祈りを封じるための墓だったのね。救うためじゃなく、封じ込めるために造られた。」
彼女が再び祭壇に近づこうとしたとき、床の下から重い音が響いた。
地鳴りのような震動、そして低い唸り声。
カイルが剣を構え、天井の灰がはらはらと落ちる。
次の瞬間、祭壇が勢いよく割れ、黒い影が噴き出した。
それは獣の形を取りながらも、無数の腕と顔を持つ異形だった。
「灰が……集まってる!」ナトが叫ぶ。
「逃げろ!」カイルがリラを押し出す。
だが灰の腕が祭壇から伸び、リラの足を絡め取った。
鋭い痛みが走り、彼女は地面に倒れ込みながら叫ぶ。
「これは……灰司祭の呪い!」
影の獣が咆哮を上げた。
その目には確かに人の憎しみが宿っている。
「王も……聖女も……偽り!」
その声を聞いた瞬間、カイルは理解した。これが司祭の造った祈りの残骸。
王に裏切られた信徒の怨念が、形を得て蘇ったのだ。
カイルは灰の波を切り裂きながら叫んだ。
「リラ、ナト!後ろへ!」
斬撃が光るたび、黒い灰が弾けた。だが削っても削っても再生する。
リラは必死に祈りの言葉を紡いだ。
「灰は眠りへ、魂は光へ――」
瞬間、足元の灰が白く変わり、獣の動きが止まる。
そのすきにカイルが飛び込み、渾身の一撃を叩き込んだ。
轟音とともに灰の塊が爆ぜ、あたり一面に光の粒が散った。
しばらくして、礼拝堂には再び静寂が戻った。
リラは膝をつき、震える手で心臓を押さえていた。
ナトが駆け寄る。
「怪我は?」
「平気……でも、やっぱり何かがこの先に繋がってる。」
カイルは剣を拭い、天井の裂け目から差す淡い光を見上げた。
「灰司祭は聖女の魂を壺に封じ、礼拝堂に閉じ込めた。理由はわからんが、灰の王に関係している。」
リラは立ち上がり、再び壺を抱える。
「壺の封印を解くわ。彼らの魂を光に還すために。」
カイルは短く頷いた。
「いいだろう。だが、その先に何が待っていようと、俺がすべて斬り開く。」
灰を踏みしめ、三人は礼拝堂を後にした。
振り返ると、崩れた祭壇の奥から、光とも闇ともつかぬ影が一瞬揺らめいた。
それはまるで、誰かが微笑んで見送っているようにも見えた。
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