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第1章
サマーパーティーが始まりました。②
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講堂へ向かって歩くきらびやかな集団。その中で、ガードン様だけを見つめて歩いていたリュンヌは、腕に抱き付く計画を実行に移すべく、段差がある場所を探していた。
そして、段差を目の前にしてガードン様の隣を確保し、いざ!倒れよう!と気合いを入れた瞬間。ガードン様が素早く腰を掴み、身体を支えながら歩き出したのだ。
「ガ、ガードン様!」
ビックリしてガードン様を見上げたリュンヌは、心臓バクバク、顔は真っ赤、口はパクパクして、かろうじて名前を呼ぶ事しか出来なかった。
ガードン様にエスコートされたまま、講堂の中へ。壁際まで行くと立ち止まりリュンヌの耳元にガードン様が近づく。
「すまない。もう暫く俺の隣に居ろ」
声と共に吐息がかかり、フニャッと倒れそうになるが、グッと支えられ一層ガードン様の身体に密着する形になる。
私の妄想?違うわよね。現実よ、そう私は今、ガードン様に抱かれているわ!
『リュンヌ。今日は帰さない』
『本当に君は俺の事が好きだな。クク』
『このまま拐ってしまいたい』
キャー!何を言われても全て答えはYesよ!NOなんてあり得ないわ!
腰に回された腕に、そっと自分の手を重ね進化したぷにぷに具合を存分に堪能していた時。
バチッ!
何かが弾かれた音がして、妄想から一気に現実へ引き戻された。
「チッ。ここでやるつもりか…」
頭上からガードン様の声が聞こえ足元を見ると小型ナイフが落ちている。
「リュンヌ、動くぞ」
「はい」
裏口へ回り、講堂から出ると黒服の顔を隠した男たちに囲まれた。
「俺の結界から絶対出るな。狙いはお前だ」
スッと離れるガードン様。男たちへ向け魔術を展開するが、結界を維持しながらでは、厳しい事を知ってるリュンヌ。
「ガードン様!一緒に戦わさせて下さい!」
その声に反応して、顔を向けニヤリと笑うと、次々男たちを倒して行く。
最後の1人が倒れた所で、リュンヌの側に進むと、背後から身なりが良い男性が現れ、ガードン様の背中へナイフを突き刺した。
強固な結界が無くなり、倒れたガードン様に駆け寄るリュンヌだが、刺した男から腕を掴まれてしまった。
「せっかく醜い豚から救ってあげたのに、そんな顔しないでよ」
赤い髪、赤い目。リュンヌ以外なら見惚れて動けなくなるだろう美丈夫は、妖艶な姿とは裏腹に瞳には、ほの暗い闇が見える。
「許さない…」
小さな呟きは、リュンヌの魔力を纏い男へ向かい冷気で包むこむ。
腕から手は離れたが、怒りのまま男を見据えて、このまま凍らしてやろう。そう決めたが、
「何で怒るかな~、まぁ今回は引いてあげる。でも、忘れないで、君は僕のモノだよ」
それだけ言うと、フッと何処かへ消えた。
「ガードン様!ガードン様!」
荒い呼吸をするガードン様に、全ての魔力を使っても良いと治癒をするが、先ほど魔力を使った為、リュンヌ1人では治せない。
「凄い音がしたが………ガードン!?おい、リュンヌ何があった!」
セウスが講堂にいない二人を探し、裏庭で見つけたのは、血を流し倒れたガードンと必死に治そうとするリュンヌの姿。
きっとリュンヌの魔力はほとんど無いだろう、額には汗が浮き、瞳も虚ろなのに、ガードンを治す手は離れようとしない。
急いで人を呼び、ガードンを病院へ運ぶ手配をした、リュンヌが離れない為そのまま一緒に行かせた。
再び、裏庭へ行ったセウスが見つけたのは、小型ナイフ。
はぁ、マジかー。
小型ナイフを布でくるみ、裏庭から王宮へ向かった。面倒くさい事になるかもな~、独り言は誰の耳にもまだ届かない。
そして、段差を目の前にしてガードン様の隣を確保し、いざ!倒れよう!と気合いを入れた瞬間。ガードン様が素早く腰を掴み、身体を支えながら歩き出したのだ。
「ガ、ガードン様!」
ビックリしてガードン様を見上げたリュンヌは、心臓バクバク、顔は真っ赤、口はパクパクして、かろうじて名前を呼ぶ事しか出来なかった。
ガードン様にエスコートされたまま、講堂の中へ。壁際まで行くと立ち止まりリュンヌの耳元にガードン様が近づく。
「すまない。もう暫く俺の隣に居ろ」
声と共に吐息がかかり、フニャッと倒れそうになるが、グッと支えられ一層ガードン様の身体に密着する形になる。
私の妄想?違うわよね。現実よ、そう私は今、ガードン様に抱かれているわ!
『リュンヌ。今日は帰さない』
『本当に君は俺の事が好きだな。クク』
『このまま拐ってしまいたい』
キャー!何を言われても全て答えはYesよ!NOなんてあり得ないわ!
腰に回された腕に、そっと自分の手を重ね進化したぷにぷに具合を存分に堪能していた時。
バチッ!
何かが弾かれた音がして、妄想から一気に現実へ引き戻された。
「チッ。ここでやるつもりか…」
頭上からガードン様の声が聞こえ足元を見ると小型ナイフが落ちている。
「リュンヌ、動くぞ」
「はい」
裏口へ回り、講堂から出ると黒服の顔を隠した男たちに囲まれた。
「俺の結界から絶対出るな。狙いはお前だ」
スッと離れるガードン様。男たちへ向け魔術を展開するが、結界を維持しながらでは、厳しい事を知ってるリュンヌ。
「ガードン様!一緒に戦わさせて下さい!」
その声に反応して、顔を向けニヤリと笑うと、次々男たちを倒して行く。
最後の1人が倒れた所で、リュンヌの側に進むと、背後から身なりが良い男性が現れ、ガードン様の背中へナイフを突き刺した。
強固な結界が無くなり、倒れたガードン様に駆け寄るリュンヌだが、刺した男から腕を掴まれてしまった。
「せっかく醜い豚から救ってあげたのに、そんな顔しないでよ」
赤い髪、赤い目。リュンヌ以外なら見惚れて動けなくなるだろう美丈夫は、妖艶な姿とは裏腹に瞳には、ほの暗い闇が見える。
「許さない…」
小さな呟きは、リュンヌの魔力を纏い男へ向かい冷気で包むこむ。
腕から手は離れたが、怒りのまま男を見据えて、このまま凍らしてやろう。そう決めたが、
「何で怒るかな~、まぁ今回は引いてあげる。でも、忘れないで、君は僕のモノだよ」
それだけ言うと、フッと何処かへ消えた。
「ガードン様!ガードン様!」
荒い呼吸をするガードン様に、全ての魔力を使っても良いと治癒をするが、先ほど魔力を使った為、リュンヌ1人では治せない。
「凄い音がしたが………ガードン!?おい、リュンヌ何があった!」
セウスが講堂にいない二人を探し、裏庭で見つけたのは、血を流し倒れたガードンと必死に治そうとするリュンヌの姿。
きっとリュンヌの魔力はほとんど無いだろう、額には汗が浮き、瞳も虚ろなのに、ガードンを治す手は離れようとしない。
急いで人を呼び、ガードンを病院へ運ぶ手配をした、リュンヌが離れない為そのまま一緒に行かせた。
再び、裏庭へ行ったセウスが見つけたのは、小型ナイフ。
はぁ、マジかー。
小型ナイフを布でくるみ、裏庭から王宮へ向かった。面倒くさい事になるかもな~、独り言は誰の耳にもまだ届かない。
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