失敗印の最強の大魔導師~劣等印だと虐げられていた少年は前世の記憶に目覚め最強の魔導師となる

暁山桜

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プロローグ:3000年前の記憶と追放

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 3000年前……



 いまだ、神々や精霊などが跳梁跋扈していた時代。

 そんななか、神々に恐れられていた一人の男がいた、大魔導師・エイブラム=クロフォードである。



 「チッ、こいつを倒すのに3秒もかかっちまった、魔力の無駄も多すぎる、こんな力じゃ世界を変えられねえ」



 今日もエイブラムは最凶の存在、古龍を倒していた。それも圧倒していたのである。

 しかし、彼は満足することができなかった。



 ……俺はやらないといけないことがある。それを成し遂げるにはこんな力じゃダメだ。もっと強く、もっと早く、攻撃できるようにならねえと……



 彼には大きな夢があったのだ。それも世界最強の魔導師と讃えられても叶えることのできない夢が。



 ……この世界はやっぱり狂ってやがる。俺たち、人間は魔族や獣人族と戦争ばかりしているし、神々や精霊は気まぐれに行動するし、このままだと世界は滅びっちまうぞ……



 彼が掲げる夢はデカイ。確かに、これだけ聞けば最強の魔導師なら実行できそうに思えるが彼はある世界の真実を知っていた。



 ……世界はある無形の存在によって都合よく動かされている……



 世界最強の魔導師ですら勝てないと判断する存在。世界中の誰もが知らない存在だ。

 その存在に勝たない限り世界を変えることはできない。

 しかし、エイブラムの限界はすでに近く、その存在に勝てないのは明白だった。



 「もっと強くならねえといけねえのに……こんなんじゃ、世界を平和にすることはできねえ、世界の滅亡が免れなれなくなってしまう、限界を超える方法があれば……な……」



 エイブラムはふとそんなことを呟いた。



 「俺の刻印がⅢの印だったら可能性はあったんだがな……俺は支援役のⅣの印だからな。仕方ないか……」



 彼は自分の右手に刻まれている刻印を見て呟く。



 この世界には生まれつき刻印というものが全ての種族に刻まれている。場所は人それぞれで大きさは全員同じぐらいだ。



 刻印には7種類あり、それぞれで特性が違う。



 Ⅰの印:物理攻撃がとても強くなり、素早さなども上昇する。また、一部の短距離魔法の発動速度が上がる。とても近距離戦が得意な刻印。



 Ⅱの印:低級魔法から上級魔法までの全ての魔法の発動速度が上昇する。また、全ての属性攻撃魔法に適正があり、長距離戦にとても強い刻印。



 Ⅲの印:攻撃魔法や物理攻撃、素早さや加護を与える力などのすべての能力が中級程度までなら使えることができる。しかし、上級レベルに至るには他の刻印よりも時間がかかる。バランス的な刻印。



 Ⅳの印:加護を与えることに特化している支援型の刻印。攻撃することはあまりできないが回復魔法なら少し適正がある。そのため、味方の支援に便利な刻印。



 Ⅴの印:無属性魔法に適正がある刻印。そのため、この刻印は個人差により得意な魔法が異なってくる。ちなみに、その違いは光属性か闇属性かというもので魔族や天使族に多い刻印。



 Ⅵの印:自らの姿を変えることが得意な刻印。その特性上、人間族や魔族、天使族にはあまり見られないが獣人族にはよく見られる刻印である。



 Ⅶの印:異空間や別の場所から自分が従えている有形生物を召喚することに特化している刻印。とても強力な能力なので神族や精霊族のほとんどがこの刻印である。



 この中でもエイブラムの刻印はⅣの印で攻撃や魔導師には向いていない。

 しかし、彼は己の努力のみで使えるようになったのだ。

 しかし、限界がくるのが早い。支援系の能力ならまだあげることができそうなのだが他のはもう限界だった。



 「俺は努力で大魔導師と呼ばれるまでになった。でも、もう限界か……そんなことならいっそ、あの存在に特攻して死んでやろうかな?」



 彼が冗談でそんなことを言ったときだった。

 彼の目の前に一粒のまぶしい光の粒が現れたのだ。そして、粒は大きくなり、一柱の神が現れた。



 「汝、力を欲しますか? 必要であるなら私がその手助けをしてやろう、全能への挑戦者、エイブラム」



 「あん? お前、いきなり何をいってんだよ? 俺はもう神々には届いてるんだよ、今更、お前らの助けはいらねえよ」



 彼は神の協力を断った。



 「私は神であるが他の神とは違う存在。全能への挑戦者の前にのみ現れ、道を示す者なり。よって、汝はそれを満たした、よって、私が力を授けよう」



 そうエイブラムに言うとその神は不思議な光でエイブラムをつつみ魔法の展開を続ける。



 「チッ、なんなんだよ、この光は。おい、出しやがれ、お前も神なら俺より下なんじゃねえのか? 俺に何をしてやがる」



 エイブラムが焦るのも当たり前だ。今、彼の体は全ての筋肉から骨まで全てが焼かれるような痛みを感じていた。



 「転生の儀は整った。私が汝を3000年後に導こう。そして、力を授けよう、受け取りなさい、【第Ⅷの印】を。そして、次の生で望みを叶えなさい」



 その神がエイブラムに魔法をかけるとエイブラムの体が光の粒になっていった。



 「お前、何をしやがるんだよ!! 俺はまだ……何も……」



 エイブラムが最後に何か言う前に体が光の粒になりエイブラムの姿は消えてしまった。



 「私は次の挑戦に期待しています。他の者にも負けずに戦いなさい。しかし、その刻印は世界で1人だけだろうと思いますが」



 その神は最後の言葉だけ普通の神と同じように話し、姿を消した。



 こうして、3000年前、最強と言われていた大魔導師・エイブラム=クロフォードは姿を消したのだった。



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 3000年後、1つの貴族の一家に不思議な刻印を持つ少年が生まれた。

 名前はリベル=ヴァン=アスライト。

 しかし、その少年の刻印は神々の失敗作と虐げられることになってしまった。



 そして、少年が15歳で成人すると……



 「我が息子、リベル=ヴァン=アスライトよ、お前は成人とともに破門とする。よって、ここからはリベルと名乗れ。これからはアスライトの名を傷つけるなよ」



 周りの家臣たちはにやにやとリベルを嘲笑っていた。



 「わかりました、父上。荷物をすぐにまとめますね。僕はこれからただのリベルと名乗ります」



 こうして、リベルは家から破門にされ、放浪することになった。



 そして、リベルが門の近くに来るとすぐにリベルの父はリベルを外に放り投げ家から出させたのだった。



 「はあ……まあ、こうなるのも仕方ないよね。僕の刻印は変なんだから……」



 リベルがそのように呟いたとたんにリベルは飛んできた弓に貫かれていた。



 「やりましたよ、おやかたさま。災厄の子供、リベルを殺しましたよ」



 その弓はアスライト家のものだった。



 「僕はここで死ぬのか……」



 リベルは静かに目をつぶると誰かのわからない3000年前の記憶が流れ始めたのだった。

 そして、誰も気づけないほどの速さで誰も気づけないほどの量の魔力がリベルに生じていたことはもちろん、誰もが気づけなかった。
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