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鼠に導かれて
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12年前
「この世界は4つに分かれているんだよ」
「じゃあ僕行ってみたい!」
「だったらちゃんと勉強しないとな」
「い、いやだよ!」
自然の中で大人2人の優しげな笑い声が響き、赤い菊が風に揺れる。
現代
祖父が3日前に亡くなった。特に悲しみは感じなかったが、周囲の雰囲気もあり、良い気分ではなかった。祖父はたくさんのことを教えてくれた。自然が人間にとって大切であること、誰でも善と悪を持ち合わせていること、人間は他の人間を理解することは極めて難しいこと。それらのほとんどは理解したつもりでいる。しかし、一つだけ心に引っかかっている。あの時、あの人は嘘をついたのか?
大学帰りの電車の待ち時間。今日も感動のない講義、くだらないクラスメートへのストレスで疲れた。惰性でケータイを開く。するとご丁寧にAIが例の話題についておすすめしてきた。「この世界は4つでなく5つに分類される⁉︎」と。余計なお世話だ。ケータイを閉じて、周りを見渡す。多くの人の画面を見る目からは生気を感じない。どうやらこの世界は便利になり過ぎたらしい。
玄関を開けると、母がいつものように出迎える。凛とした花のような笑顔の「おかえり」が少しだけ俺の心をあっためてくれる。その気持ちと裏腹にそっけない態度で返答し、自分の部屋に直行する。反抗期なのだろうと自分で思いながら、吸い込まれるように椅子に勢いよく座り込む。すると、古いアルバムが目に入った。開いてみるとそれは十数年前の写真だった。人には見せることのない笑顔が図らずもこぼれる。ページを繰る度に心地よいノスタルジーに浸っていった。と同時に睡魔が襲い、夢へと誘われた。
急に、夢から覚める。不思議とすっきりした気持ちになった。時計をみると9時を過ぎていた。「そうだ、あの場所へ行こう」
回想に耽った勢いで欲望が湧いたのだろう。どこが義務に似た気持ちも含んでいる気がした。乗り心地が良い自動車で向かっているとき、謎の高揚感が自分を昂らせた。さらに、速度を上げる。すると、前兆なくライトが消える。ライトのボタン1度を押してみても付かない。苛立ちながら連打してみると、やっと付く。すると、前方10mに人がいることに気づく。まずい!慌ててブレーキを踏む・・・止まった。人との距離は1mもなかった。一息ついてからその人を見ると、覆面を被った全身白の服を纏っていた。目元だけは見える。なんかこう宗教的や雰囲気だ。さらに観察すると、少し息が切れているようだった。恐る恐る自動車から降りて、接触を試みる。俺が口を開きかけた途端、その者は「頼んだぞ」と一言。何が何だか分からないまま、次の瞬間、承和色の閃光を受ける。
意識が戻る。頭が少し痛い。懐かしいようで覚えのない匂いが鼻を通る。ゆっくりと目が開く。最初に今まで見たことない鮮やかな空が見える。状態を起こす。すると、今まで見たことのない辺鄙で壮大な自然群が目に映る。夢?・・・ではない。そう不意に直感する。
「君誰?」
振り向くと女性が立っていた。服装からして明らかに俺と同じ文化ではない。集まった情報をパズルを組むように整理する。そして結論を出す。ここは異世界かもしれない。
「この世界は4つに分かれているんだよ」
「じゃあ僕行ってみたい!」
「だったらちゃんと勉強しないとな」
「い、いやだよ!」
自然の中で大人2人の優しげな笑い声が響き、赤い菊が風に揺れる。
現代
祖父が3日前に亡くなった。特に悲しみは感じなかったが、周囲の雰囲気もあり、良い気分ではなかった。祖父はたくさんのことを教えてくれた。自然が人間にとって大切であること、誰でも善と悪を持ち合わせていること、人間は他の人間を理解することは極めて難しいこと。それらのほとんどは理解したつもりでいる。しかし、一つだけ心に引っかかっている。あの時、あの人は嘘をついたのか?
大学帰りの電車の待ち時間。今日も感動のない講義、くだらないクラスメートへのストレスで疲れた。惰性でケータイを開く。するとご丁寧にAIが例の話題についておすすめしてきた。「この世界は4つでなく5つに分類される⁉︎」と。余計なお世話だ。ケータイを閉じて、周りを見渡す。多くの人の画面を見る目からは生気を感じない。どうやらこの世界は便利になり過ぎたらしい。
玄関を開けると、母がいつものように出迎える。凛とした花のような笑顔の「おかえり」が少しだけ俺の心をあっためてくれる。その気持ちと裏腹にそっけない態度で返答し、自分の部屋に直行する。反抗期なのだろうと自分で思いながら、吸い込まれるように椅子に勢いよく座り込む。すると、古いアルバムが目に入った。開いてみるとそれは十数年前の写真だった。人には見せることのない笑顔が図らずもこぼれる。ページを繰る度に心地よいノスタルジーに浸っていった。と同時に睡魔が襲い、夢へと誘われた。
急に、夢から覚める。不思議とすっきりした気持ちになった。時計をみると9時を過ぎていた。「そうだ、あの場所へ行こう」
回想に耽った勢いで欲望が湧いたのだろう。どこが義務に似た気持ちも含んでいる気がした。乗り心地が良い自動車で向かっているとき、謎の高揚感が自分を昂らせた。さらに、速度を上げる。すると、前兆なくライトが消える。ライトのボタン1度を押してみても付かない。苛立ちながら連打してみると、やっと付く。すると、前方10mに人がいることに気づく。まずい!慌ててブレーキを踏む・・・止まった。人との距離は1mもなかった。一息ついてからその人を見ると、覆面を被った全身白の服を纏っていた。目元だけは見える。なんかこう宗教的や雰囲気だ。さらに観察すると、少し息が切れているようだった。恐る恐る自動車から降りて、接触を試みる。俺が口を開きかけた途端、その者は「頼んだぞ」と一言。何が何だか分からないまま、次の瞬間、承和色の閃光を受ける。
意識が戻る。頭が少し痛い。懐かしいようで覚えのない匂いが鼻を通る。ゆっくりと目が開く。最初に今まで見たことない鮮やかな空が見える。状態を起こす。すると、今まで見たことのない辺鄙で壮大な自然群が目に映る。夢?・・・ではない。そう不意に直感する。
「君誰?」
振り向くと女性が立っていた。服装からして明らかに俺と同じ文化ではない。集まった情報をパズルを組むように整理する。そして結論を出す。ここは異世界かもしれない。
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