quarter

月野颯

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花畑

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 藁の建築、青々とした田んぼ、真新しい謎の祭壇、気持ちが悪いほど人間的なヒト。間違いない。ここは異世界だ。でも、奇妙なことに俺の世界と年、日付が一致している。

?「どーしたの?そんな顔して」

唐突で少し驚く。さっき会った女性だ。今もこの世界、いや彼女の住んでいる場所を案内してくれている。ここの住民は何故だか異分子である俺を警戒する様子はない。むしろ歓迎してくれた。

?「そしてここが私のお気に入り!」

彼女の声を皮切りにフォーカスが人から風景に変わる。一面に黄色の菊が咲き誇っている。太陽の光を反射させたような鮮やかな色だ。一輪一輪がこう・・・もうなんといえばすら出てこない。

?「ジョズ!またサボってるの!?」

 はっと我に戻ると、女性が1人の男性と話していることに気がつく。

ジョズ「サボってねーよ。ただ休憩してただけだ。」

?「一番力持ちだからってあんまり調子にのらないでね」

ジョズ「のらねーよ!」

ジョズという男は少しふて腐れた様子だった。その後、彼女は思い出したかのように少し慌ててこっちへ近づき

?「ごめん!少し友達と話してて!」

「ああ、大丈夫」

?「あ、そうだ。名前言ってなかったね。私はユーリ!良かったら君の名前教えて!」

少し考える。

「俺の名前はクロウ。」

ユーリ「クロウ!よろしくね!」

この世界で本名を名乗るのは良くないと感じ、咄嗟に出た偽名だった。ちなみに好きなラノベのキャラだ。俺はほっと胸を撫で下ろした。

 その日の夜、みんなが寝た後、俺は1人もう一度、菊を見に行こうと思った。今の状況が整理できず、寝付けなかったのだろう。なぜここに来たのか、俺を来させた者の正体はなんなのか。田んぼに映る自分の影を眺める。水が揺れるたびに影が淡くなる。それを気にしながらもそのまま足を前に踏み出した。
 目的地に着いた。顔を少し上げる。そこには昼とは違う姿があった。彩度、明度が落ちた菊も安らかに眠っているようだった。ここの人たちと一緒だなとふと思う。風がかすかに花を揺らす。と同時に目の前に水滴が落ちる。

「泣いてる」

なぜなのかは分からない。しかし、原因を探る気は起きず、今に浸りたい気持ちだった。その時のいつもより多い星空はとても近く感じた。





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