貧乏神が可愛すぎて離れたくない。

筒猫

文字の大きさ
2 / 2

第2話 帰らせないZE!

しおりを挟む

「……だから私がいるとあなたが不幸になる、だから私は違う家に憑きに行く。わかりましたか?」

 「何を言ってるんだい?俺が不幸なわけないよ、目の前にこんなに可愛い娘がいるんだから!」

 「はあ……」

 ユメちゃん(貧乏神)はもう何度したか分からない説明のあと、深いため息をついた。
しかし、純は全く気にすることなくスーパーウキウキ状態だ。
 そして、物凄く幸せそうな満面の笑みでお腹が鳴ってしまったユメちゃんのためにご飯を作っている。

 「ねえねえユメちゃん!どんなものが食べたい?」

 「話聞いてます!?…………まあ、でも作ってくれるのでしたら……出来ればみ、味噌を」
 
 「味噌が好きなんだね!分かったちょっとまっててね!」

 数少ない食材を全て使う勢いで味噌料理を作り始める俺。    
心なしかユメちゃんの表情が疲れているような………?

 ……よっぽどお腹が空いているのか!急がなければ!

 普段、学校では冷静沈着で通っている小富 純はもういないようだ。
驚くほどポジティブにとらえる現在の純ははたからみればただの馬鹿と言わざるを得ない。

 「ふんふんふん♪」

 そんな鼻唄を歌いながらフライパンを振るう純をユメは

 「はあ……」

 再びため息をつき、悲壮感すらも感じさせる悲しげな表情で見ていた。


 ー1時間後ー

 「ご飯ありがとうございました……おいしかったです。」

 「それは良かった!」

 「……それでは私は出ていきますね」

 「……まあ、仕方がないよね。俺のために出ていくんだ」   

 「そういう台詞を言うのなら団扇で焼き味噌の香りをこちらへ扇ぐのを止めてください………ううっ!からだが勝手に……」

 ……何も手を打たないと思っていたのか!

 こっそりwikiった俺はとある神社で貧乏神を焼き味噌の香りで誘い、家から出すという儀式があることを知り、逆に家のなかに焼き味噌の香りを充満させることにした。

 思惑通りその香りに引き付けられているようだ。

体がマグネットのように味噌の方向へ引っ張られている。

 「ホントに!駄目なんです!取り返しのつかないことになってしまいます!」

 「どこまでも堕ちていこう!二人で!」

 「ああ!この人何なのですか!?」

 涙目で叫ぶユメちゃんはもう限界が近いのかゆっくりとこちらに寄ってきている。
俺はニタニタしながらそんなユメちゃんが必死にすすもうとする様子を見ていた。

……可愛い。

 このままループ動画にして眺めておきたい。

 と、俺が若干の狂気を含んだ想像をしていたところに

 玄関が大きな音を立てて急に開けられた。

 「貧乏神!この家は出ていくように指示したはずよ!どうしてまだいるの!………って何!?味噌クサっ!!」

 「……うう、天使さん。助けてください」

 勢いよく入ってきたのは、背中に小さな羽を持つ少女。
ユメちゃん程ではないが、可憐な姿をしている。

 ……って、天使!?

 いや、そんなことはこの際どうでもいい……大事なのは

 どうしてユメちゃんはこいつが入ってきた時に安心したような態度になったんだ!
これはもしや……元カレ!?

「何この状況!?貧乏神が逃げようとしてて、人間が捕まえようとしてて……ってあれ?えっ?」

 「君は何だ!俺たちの輝かしい未来を邪魔しようって口か、ああん!?」

 「どうして最初から喧嘩腰なんですか!」

 「……これがあーでこーであれれれれ?」

 天使は混乱して目を回した。

 
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

佐土原いづる

タイトルから入りました、おもしろかったので期待します。がんばってください!

2017.01.06 筒猫

ありがとうございますm(__)m
これは頑張らなければいけませんね!
応援よろしくお願いします!\(^o^)/

解除

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。