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彼女との
しおりを挟むあれから、僕等は帰りによく電車内で会うようになった。
むしろ、会わない日の方が不自然なくらい、もうあたり前のように奈々と帰宅していた。
今日は金曜日。学生にとっては長い一週間の終わりを告げる幸せな日である。
「ねぇ、茉広。ちょっと寄り道していかない?」
駅で電車を待つ途中奈々はまっすぐ前をみながら僕にそういった。
僕は思わず、奈々を見て
「えっ、いいの...??」
と返した。
毎日一緒に帰っているとはいえ、一緒に遊べる日がくるなんて、思っていなかった。
しかし、どうして急に。
いつもなら病院へ行くのが普通なのではないのか。遊んでいていいのか。
「あの、お母さんは大丈夫なの?」
「うん。今日は平気」
何を根拠にそう言っているのか、よくわからないが家庭の事情だし、
深追いするのは 失礼なので、僕は「ふぅん」と短く返事した。
ガタンガタンっ...........
電車に乗り込み、僕等は入り口に一番近いつり革につかまった。
「どこへ行くの」
「 いい感じのカフェがあるのよ」
電車内は相変わらず会話がしずらい。
いや、するものではないが、やっぱり電車の音というのは邪魔だな...と感じた。
僕は彼女にひたすら付いて行くことにした。
電車から降りてしばらく歩くとカフェがあった。
広くて人も沢山いそうだが、この独特の照明は居心地が最高に良さそうだ。
僕達は壁側の2人席についた。
なんとなく横にあったメニューを取り、「何頼む?」なんて聞きながら、
僕は安くて美味しいものはないか探した。
「えっと、私ここのパンケーキが好きなの」
ちょっと照れくさそうだった。
いや、照れることは無いぞ。女の子なのだから。
パンケーキだろうがホットケーキだろうが
甘いスイーツを頼む女子は悪く無い。
「じゃぁ僕は、ミルクティーにするよ。」
「ミルクティー...?そうね、美味しいものね。」
正直僕はコーヒーは苦手だ。
香りは好きだけれど特にこだわりは無いし違いもわからない。
本当はソフトドリンクで良かったのだけれど、相手がパンケーキをご所望なのだ。
ソフトドリンクでは雰囲気が保て無いだろう。
僕は店員さんにいちごのダブルパンケーキとミルクティーを頼んだ。
「茉広。ちょっと大事な話し...が、あるの。」
「なに?」
やっぱりな。だいたい予想はつく。電車内でしか会話をしない二人がカフェで雑談なんて。
いくらなんでもレベルが高い。
「私と付き合ってください。」
「...................はっ!?」
いきなりなんて事を言うんだ。
いや、嬉しいよ!?嬉しいけどさっ!?
「私に気があったんでしょ?私も茉広、貴方に気があります。どうでしょうか」
ん。なんだか言い方がとても気になるな。
なんだ、妙に上からな感じがする。
照れ隠しでツンデレキャラになっているのか?
まぁ断る理由は僕にはない。
「嬉しいよ。僕も君と同じ気持ちだ。」
「そう、良かったわ。」
奈々はニコっと笑って
届いたパンケーキを食べ始めた。
こうして僕等は付き合う事になった。
彼女と僕は少し距離が縮まった気がした。
彼女の本心を知るまでは。
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