姉を虐げ、両親に溺愛された義妹が行方不明!? ~そして判明するのは義妹の愚行の数々!?~

mimiaizu

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70.アクサン/窮地に立たされて

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(アクサン視点)


私の隣で今、醜く太った女が勝手にしゃべっている。それも、王太子である私を差し置いて……。


「どうぞ皆さま! 美しいわたくしとアクサン様に見惚れながらパーティーをどうか楽しんでくださいませ!」


その女の正体はワカマリナ・イカゾノス伯爵令嬢。私の運命の相手と思っていた女性であり、私の婚約者だ。


「おーほほほほほほ! 最高のパーティーを楽しみましょう!」


……こんな……こんなのが? こんなに豚のようにブクブク太ってしまった我儘で傲慢な醜い女がか!? 


ふざけるなよ! あの美しいワカマリナの姿は何だったのだ!? たったの一か月でここまで太るのは何故だ!?


それに、このどうしようもなく傲慢で傍若無人で誰に対しても上から目線な性格は何だ!? まさか、これが本性だとでもいうのか!? そうだとしたら、何ということだ! 私は騙されたも同然じゃないか!


どうしてだ!? どうしてこうなったんだ!? どうしてこの私がこんな目に遭うんだ!


今私は窮地に立たされてしまった! 簡単に成功すると思っていたパーティーが全然ダメだったのだ! 


何故か、予定していたよりもずっと高貴な人たちが来ちゃってるし、招待客が二倍以上に増えている! それなのに理由は分からないが料理がダメらしいし、ワインが使いまわしだというから不満らしいし、先月の仕様のままだと感づかれて不愉快みたいらしいし、多くの招待客から不快に思われてしまった! これは致命的な失敗だ!


それに私自身が挨拶しないといけないだなんて聞いてない! パーティーの挨拶なんてやったことがないから、きっと緊張してしまうに決まっているんだ! 不安で仕方がなかった……。


だから、誰かに変わってと言ったのに、部下の誰もが「主催者としての義務です」と言って私がやらなくてはならない状況に、最悪だ……と最初は思ったけど、流石にパーティーの主催者で主役である私が挨拶したほうがいいということくらい私でも分かる。


それで渋々パーティーの会場で挨拶に向かいに行けば、多くの人々の痛い視線が襲い掛かる。うう……そんな目で見ないでくれよ。遅くなったのは悪いという自覚はある、報告が長い部下たちのせいなんだから……。


挨拶もぶっつけ本番という形になってしまったから、緊張と不安でぎこちなくなってしまう。それに対して、ワカマリナの方はそういう緊張感も不安も一切なかった。それどころか意気揚々と幼い子供のようにはしゃぎながら勝手に挨拶を始めた。私の言葉さえ遮って……。これでは私の立場がないではないか……!


ここまで恥をかかされるなんて……畜生! 任せてやった部下たちは何をしていたんだ! 真面目にやっていなかったのか、くそ! このパーティーが終わったら、あいつら皆クビにしてやる! ついでに醜くなったワカマリナも婚約破棄だ! もういらない! 私をコケにする伴侶なんていらないからな!


……そんな風に部下たちやワカマリナの処分を考えている暇はない。このままではパーティーの失敗を咎められて私は王族の地位を失いかねない、それだけは嫌だ……! 

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