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80.閉会/入れ替わる
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――王宮で開かれたパーティーが遂に終わることとなった。
逃げ出したアクサンに代わって国王が司会を最後まで務めることになるというだけでも前代未聞の事例なのだが、閉会の直前に国王が改めて雑なパーティーになってしまったことを謝罪するという状況も前代未聞だった。
国王は国の恥をさらしたも同然だと思い、精神面に大きな負担を掛けられた。最悪、自らの死も頭によぎるほどアクサンに対して甘い判断をしたことを後悔した。
しかし、外国から来た招待客のほとんどが国王に対して寛大な態度を示した。むしろアクサンの方に全面的に非があるとして、国王に同情的な姿勢を見せた。彼らがそうしたのは、友好国ということもあるが、『第一王子が問題を起こす』という点では気持ちが理解できるということもあったのかもしれない。
そういうこともあって、国王が招待客に慰められて涙を流した。……という苦笑いしそうな状況もなってしまった。
◇
パーティーが閉会したことで招待客のほとんどが帰るか控室に行くために移動する。その中には、アキエーサとテール、ルカスもいた。
「……もうそろそろ来る頃だろう。確認するが本当にいいんだな?」
「はい。いざとなれば頼もしい婚約者がいますから」
「そうです侯爵。個人的には危険な目に遭いそうなことはしないと思っていますが……」
「分かった。危なくなったらすぐに行くからな」
そこで会話を切り上げて、ルカスは二人の元から離れた。すると、入れ替わるように太った女性がアキエーサとテールに向かって走ってきた。
「見つけましたわよ! お姉様!」
結構ふくよかな体系なせいで走っていてお速度は遅く、おまけに鼻息荒げて鬼気迫る形相をする女性の姿はワカマリナだった。そんなワカマリナの姿を見た人々はドン引きして距離を取るが、アキエーサは涼しい顔で彼女を見据える。
「やはり、ワカマリナが最初ですか」
「はぁ? 何のことですのよ!」
実の姉のアキエーサの言葉に意味が分からずイラついて怒鳴るが、それでもアキエーサは狼狽えることは無い。そんなアキエーサに不満を募らせるワカマリナは理不尽にも怒りをぶつけるように更に怒鳴る。
「もう一体何なのですか!? お姉様に文句を言おうとしたら突然眠くなって気が付いたらお父様とお母様と一緒に寝てて、それで三人で起きたらお父様とお母様が喧嘩を始めるし、挙句には世界一可愛いわたくしに意味不明なことを言って八つ当たりするですよ! もう本当に訳が分からないですわ! それもこれもお姉さまがダブール商会の会長だったことを黙っていたせいです! よくも今まで勝手なことをしてきたものですわね、このわたくしに、わたくし達家族に黙って!」
「「「「「…………」」」」」
言っていることのほとんどが八つ当たりであり、アキエーサにほとんど非がない。それなのに、まるでアキエーサが原因で自分が怒られたと本気で思い込むワカマリナ。そんなワカマリナのことを聞いている野次馬のほとんどが『何言ってんだ、こいつ?』と思ってしまっていた。それは、アキエーサとテールも同意見だった。
「……相変わらずですねワカマリナは。いつまでも傲慢なままでよかったです。これで遠慮する必要は無くなりましたから」
アキエーサは微笑む。その眼に怒りと好戦的な意思を宿して。
逃げ出したアクサンに代わって国王が司会を最後まで務めることになるというだけでも前代未聞の事例なのだが、閉会の直前に国王が改めて雑なパーティーになってしまったことを謝罪するという状況も前代未聞だった。
国王は国の恥をさらしたも同然だと思い、精神面に大きな負担を掛けられた。最悪、自らの死も頭によぎるほどアクサンに対して甘い判断をしたことを後悔した。
しかし、外国から来た招待客のほとんどが国王に対して寛大な態度を示した。むしろアクサンの方に全面的に非があるとして、国王に同情的な姿勢を見せた。彼らがそうしたのは、友好国ということもあるが、『第一王子が問題を起こす』という点では気持ちが理解できるということもあったのかもしれない。
そういうこともあって、国王が招待客に慰められて涙を流した。……という苦笑いしそうな状況もなってしまった。
◇
パーティーが閉会したことで招待客のほとんどが帰るか控室に行くために移動する。その中には、アキエーサとテール、ルカスもいた。
「……もうそろそろ来る頃だろう。確認するが本当にいいんだな?」
「はい。いざとなれば頼もしい婚約者がいますから」
「そうです侯爵。個人的には危険な目に遭いそうなことはしないと思っていますが……」
「分かった。危なくなったらすぐに行くからな」
そこで会話を切り上げて、ルカスは二人の元から離れた。すると、入れ替わるように太った女性がアキエーサとテールに向かって走ってきた。
「見つけましたわよ! お姉様!」
結構ふくよかな体系なせいで走っていてお速度は遅く、おまけに鼻息荒げて鬼気迫る形相をする女性の姿はワカマリナだった。そんなワカマリナの姿を見た人々はドン引きして距離を取るが、アキエーサは涼しい顔で彼女を見据える。
「やはり、ワカマリナが最初ですか」
「はぁ? 何のことですのよ!」
実の姉のアキエーサの言葉に意味が分からずイラついて怒鳴るが、それでもアキエーサは狼狽えることは無い。そんなアキエーサに不満を募らせるワカマリナは理不尽にも怒りをぶつけるように更に怒鳴る。
「もう一体何なのですか!? お姉様に文句を言おうとしたら突然眠くなって気が付いたらお父様とお母様と一緒に寝てて、それで三人で起きたらお父様とお母様が喧嘩を始めるし、挙句には世界一可愛いわたくしに意味不明なことを言って八つ当たりするですよ! もう本当に訳が分からないですわ! それもこれもお姉さまがダブール商会の会長だったことを黙っていたせいです! よくも今まで勝手なことをしてきたものですわね、このわたくしに、わたくし達家族に黙って!」
「「「「「…………」」」」」
言っていることのほとんどが八つ当たりであり、アキエーサにほとんど非がない。それなのに、まるでアキエーサが原因で自分が怒られたと本気で思い込むワカマリナ。そんなワカマリナのことを聞いている野次馬のほとんどが『何言ってんだ、こいつ?』と思ってしまっていた。それは、アキエーサとテールも同意見だった。
「……相変わらずですねワカマリナは。いつまでも傲慢なままでよかったです。これで遠慮する必要は無くなりましたから」
アキエーサは微笑む。その眼に怒りと好戦的な意思を宿して。
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