悪役令嬢が行方不明!?

mimiaizu

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15.破廉恥?

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だからこそカーズは思う。姉妹でこんなにも見た目も中身も全く違うのか、と。特に性格とふるまいが違いすぎる。

「(彼女はいったい何を言ってるんだ? それにだと? 何がどうなってるんだ?)」

ワカナの言動に気になったカーズは、このままでは埒があかないと、タイミングを見計らって公爵に聞き出そうと思ったが、肝心のワカナが核心に迫る言葉を勝手にしゃべってくれた。今起こっている公爵家の問題を。

「頼むから部屋に戻ってくれ! 誰か! 誰かいないか!」

「何よ! お姉さまの婚約者の王太子様が来たってことは、いなくなったお姉さまの代わりに私を婚約者にってことでしょ! そうでしょ!」

「い、いなくなったっ!?」

カーズとしては聞き捨てならない言葉だった。ワカナの『お姉さま』は自分の婚約者サエナリアのことだからだ。

「! おい、しゃべるな! 口を閉じろ!(マズい! マズすぎる!)」

「うるさい! 王太子様だって、家族に愛されないとか紙に書いて屋敷から出ていった馬鹿な女よりも美しい私のほうがいいでしょうに!」

「なっ!?」

滅茶苦茶なワカナの発言に驚くカーズ。ワカナの言っていることが事実であれば、サエナリアはこの屋敷から出ていったらしい。『家族に愛されない』というのはどういうことか今は分からないが、カーズとしてはソノーザ公爵に事情を聞かなくてはならない。

「ソノーザ公爵! サエナリアが出ていったとはどういうことなんだ! 説明してはもらえないだろうか!」

「(最悪だー! 誤魔化さないと!)お、王太子殿下、これは家の問題でして……わざわざ娘のことで王太子殿下が関わるようなことでは、」

「貴方の娘は私の婚約者だ! 関わらなくてどうする!」

サエナリアの状況が知りたいカーズはベーリュに迫る。ベーリュは隠し通したかったため、どう言いくるめるか考えがまとまらずどうにもできない。だがここで、ワカナがカーズに近寄ってくる。

「ちょっと王太子様! 私を見てよ。私って、お姉さまよりも綺麗でしょ。お姉さまみたいな顔も忘れられるほど地味な女よりも私と結婚したほうがいいわ。そもそもがおかしいのよ、年が同じだからって私じゃなくてお姉さまが婚約者に選ばれるなんて」

「な、何を、」

「それなのに、あの女は家を捨てて出ていったんです。いくら私のほうが可愛がられてるからって次期王妃の立場まで捨てるなんて馬鹿だとは思わないですか?」

「家を捨てた!? どういうことだ!」

「っ!(この馬鹿が!) やめろ、これ以上は、」

カーズが驚き、ベーリュが止めようとするのもむなしく、ワカナの暴走は止まらない。更に、ワカナはガシッとカーズの腕にしがみつき、自分の胸を押し付けるという貴族でなくてもだと分かることをするではないか。カーズの腕にムニッ、と柔らかい感触が伝わってしまう。

「「…………は?」」

「だから代わりに私が婚約者になるのでよろしくお願いします!」

姉の婚約者を誘惑。傍若無人で無礼なワカナの暴走と爆弾発言は、ここに極まった。
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