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16.害虫?
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ワカナのあまりにも大胆な行動に呆気にとられるベーリュとカーズ。ただ、ワカナに早口でまくしたてられたおかげで、カーズの頭に一気に情報が入ってきた。ワカナの発言をまとめると、サエナリアが家を出て行ったことは事実であることだ。その原因は家の問題だろう。
そして、その妹のワカナが姉と全く逆の人物であることも理解した。父親と王太子を前に無礼な態度を取りながら、実の姉を堂々と貶している。しかも、姉の婚約者を誘惑とは……
「…………(これは、何としてでもソノーザ公爵にサエナリアがいなくなった背景を聞かなくてはならないな。彼女の婚約者として)」
考えをまとめたカーズは真剣な目でもってベーリュに向き直る。カーズの鋭い眼に睨まれてベーリュひるんでしまう。若くても王族なのだ。野心の強いベーリュでも強引なまねはできない。
だが、父親が王太子に睨まれる状況なのに、ワカナは馬鹿な勘違いしてこんなことを口にしてしまった。
「ね? ね? 私のほうがいいんでしょう? 今すぐお父様にお願いして『婚約者を妹に替えてください』って言ってください! そうすれば私達は結ばれますわ」
「「…………(こいつ、空気を読まない発言もいいところだ)」」
公爵と王太子はワカナに対してそれぞれ思った。ベーリュは失望と絶望を感じながら、カーズは呆れと侮蔑を感じながら。もはや、ワカナはこの場に不要だった。聞くに堪えん戯言しか吐かない。
「ああ、もうおしまいだぁ………」
公爵は心の声をそのまま口に出して、ワカナから目を背けた。娘に対する絶望のあまりに投げやりになったのだ。もう状況に任せるしかない。
公爵の諦めきった姿を見て、今なら聞き出せると感じたカーズは、自分にへばりつく害虫を振り払うことにした。もはや貴族の令嬢として扱おうなどとは思わなかった。それほどひどい害虫だったのだ。
「離れてもらおうか、ワカナ嬢」
「え?」
「離れろと言っているんだ!」
カーズは強引にワカナを振りほどいた。振りほどかれるとは思わなかったワカナは、驚きのあまり何が起きたのか分からなかった。
「うわっ、ちょっ、え、何? なんで……」
「何でだと? それはお前がサエナリアに比べて王太子の婚約者になどふさわしくないからだ」
「な、な……!」
「…………(だろうな)」
カーズの言っていることが信じられないのか、ワカナは震えながら口をパクパクさせる。ベーリュは自分のため、娘のためにあえて反論しない。
「王太子である私に対する礼儀がなっていないだけでも貴族として間違っているというのに、父親に対しても態度が悪すぎる。しかも姉がいなくなったというのに、よくもそんなふざけたことが言えるものだな。お前ごときがサエナリアの代わりになどなれるはずがないではないか! とても優秀で清楚で気品のあるサエナリアの妹とは思えないな。お前は姉を見習ったことがないようだな。そんなお前ごときが婚約者だと? 冗談ではないわ! 身の程を知れ!」
「……っ!?」
カーズの迫力のある言葉に流石のワカナも怯むが、自分が否定されて罵倒されたと理解して、すぐに話にならないような反論を返してきた。相手が王太子であるにもかかわらず、無謀にも程がある。。
そして、その妹のワカナが姉と全く逆の人物であることも理解した。父親と王太子を前に無礼な態度を取りながら、実の姉を堂々と貶している。しかも、姉の婚約者を誘惑とは……
「…………(これは、何としてでもソノーザ公爵にサエナリアがいなくなった背景を聞かなくてはならないな。彼女の婚約者として)」
考えをまとめたカーズは真剣な目でもってベーリュに向き直る。カーズの鋭い眼に睨まれてベーリュひるんでしまう。若くても王族なのだ。野心の強いベーリュでも強引なまねはできない。
だが、父親が王太子に睨まれる状況なのに、ワカナは馬鹿な勘違いしてこんなことを口にしてしまった。
「ね? ね? 私のほうがいいんでしょう? 今すぐお父様にお願いして『婚約者を妹に替えてください』って言ってください! そうすれば私達は結ばれますわ」
「「…………(こいつ、空気を読まない発言もいいところだ)」」
公爵と王太子はワカナに対してそれぞれ思った。ベーリュは失望と絶望を感じながら、カーズは呆れと侮蔑を感じながら。もはや、ワカナはこの場に不要だった。聞くに堪えん戯言しか吐かない。
「ああ、もうおしまいだぁ………」
公爵は心の声をそのまま口に出して、ワカナから目を背けた。娘に対する絶望のあまりに投げやりになったのだ。もう状況に任せるしかない。
公爵の諦めきった姿を見て、今なら聞き出せると感じたカーズは、自分にへばりつく害虫を振り払うことにした。もはや貴族の令嬢として扱おうなどとは思わなかった。それほどひどい害虫だったのだ。
「離れてもらおうか、ワカナ嬢」
「え?」
「離れろと言っているんだ!」
カーズは強引にワカナを振りほどいた。振りほどかれるとは思わなかったワカナは、驚きのあまり何が起きたのか分からなかった。
「うわっ、ちょっ、え、何? なんで……」
「何でだと? それはお前がサエナリアに比べて王太子の婚約者になどふさわしくないからだ」
「な、な……!」
「…………(だろうな)」
カーズの言っていることが信じられないのか、ワカナは震えながら口をパクパクさせる。ベーリュは自分のため、娘のためにあえて反論しない。
「王太子である私に対する礼儀がなっていないだけでも貴族として間違っているというのに、父親に対しても態度が悪すぎる。しかも姉がいなくなったというのに、よくもそんなふざけたことが言えるものだな。お前ごときがサエナリアの代わりになどなれるはずがないではないか! とても優秀で清楚で気品のあるサエナリアの妹とは思えないな。お前は姉を見習ったことがないようだな。そんなお前ごときが婚約者だと? 冗談ではないわ! 身の程を知れ!」
「……っ!?」
カーズの迫力のある言葉に流石のワカナも怯むが、自分が否定されて罵倒されたと理解して、すぐに話にならないような反論を返してきた。相手が王太子であるにもかかわらず、無謀にも程がある。。
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