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28.何がしたい?
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目の前の侍女の言うことはもっともだ。カーズは何も言えなくなった。ただ、侍女の淡々とした話は終わらない。
「公爵家の断罪は、サエナリアお嬢様をないがしろにした人たちへの断罪ということになります。そうなれば、お嬢様も少しは気が晴れるかもしれませんが……」
「そ、そうだろう! 私はそのために、」
「サエナリアお嬢様もただでは済まないでしょう。落ち目の令嬢になってしまわれる。王太子殿下との婚約も白紙になるのは間違いありません」
「なっ!? 何故だ!?」
「実家が王家に断罪されるような家の娘を王家が欲するわけにはまいりません。違いますか?」
「う…………」
「「…………」」
カーズは自分が浅はかだったと感じた。彼女の言う通り、ソノーザ公爵家そのものを断罪するということはサエナリアとの婚約を白紙にすることにつながる。カーズの望む未来を手に入れるためにも、そんなことは望めない。
「(……迂闊だった。ソノーザ公爵夫妻と次女の三人の断罪をすればサエナリアの気が晴れると思ったが、婚約解消になるのはマズい。俺はサエナリアとマリナ、この二人と共に歩む未来を求めているんだ)」
カーズの最終的な目的はサエナリアを王妃にマリナを妾として迎え、自身は国王になって三人でウィンドウ王国を支えていくことだったのだ。
「(彼女たちがいなければ俺は国王としてやっていけるとは思えない。どちらか一人だけを選ぶなど今の俺には出来そうもない。……最低な考え方かもしれないがな)」
カーズは王族として、王妃となるべき女性がサエナリアのような優秀な女性でなければならないことは理解している。王家に属し王妃となることは相当の責任がのしかかるからだ。その一方で、カーズ個人としてはマリナを愛情から求めてもいるのだ。王とは孤独になりやすいと言われているため、個人を見てくれる近しい者としてマリナが適任だと思っている。
「(今は、その二人が俺の心から離れてしまった。最悪の状況だ。ソノーザ公爵は個人的に気に入らないが、確かに断罪するよりも優先すべきは……)」
「カーズ王太子殿下、もう一度お聞きします」
カーズが思案している途中で、侍女ミルナが声を発する。もう一度聞くというのは、何なのか。カーズたちにも分かる。
「貴方は、何がしたいのですか」
「…………」
何がしたい、その答えに対してカーズは落ち着いて正直に答える。
「私は、サエナリアとマリナ……二人との仲を修復したい。そして、三人で同じ未来を歩んでいきたいのだ」
「…………」
「「…………(この人は……)」」
カーズの答えを聞いたミルナは、わずかに目を細めたが、カーズが見る限り、感情が読み取れるほど表情に変化はなかった。ただ、聞いてしまった護衛二人は眉間にしわを寄せたり、不快な顔をしたのだがカーズが気付くことはなかった。
「そうですか。分かりました。私からは以上です。お時間おかけしました」
「いや、いいんだ。むしろ礼を言わせてもらう、君の言う通りだった。もう少しで目的をおろそかにしてしまうところだった。確かに今は怒り狂うときではない。すぐにこの部屋を調べよう。二人とも頼むぞ」
「「…………はっ!」」
四人は最初の目的のために行動を開始した。
「公爵家の断罪は、サエナリアお嬢様をないがしろにした人たちへの断罪ということになります。そうなれば、お嬢様も少しは気が晴れるかもしれませんが……」
「そ、そうだろう! 私はそのために、」
「サエナリアお嬢様もただでは済まないでしょう。落ち目の令嬢になってしまわれる。王太子殿下との婚約も白紙になるのは間違いありません」
「なっ!? 何故だ!?」
「実家が王家に断罪されるような家の娘を王家が欲するわけにはまいりません。違いますか?」
「う…………」
「「…………」」
カーズは自分が浅はかだったと感じた。彼女の言う通り、ソノーザ公爵家そのものを断罪するということはサエナリアとの婚約を白紙にすることにつながる。カーズの望む未来を手に入れるためにも、そんなことは望めない。
「(……迂闊だった。ソノーザ公爵夫妻と次女の三人の断罪をすればサエナリアの気が晴れると思ったが、婚約解消になるのはマズい。俺はサエナリアとマリナ、この二人と共に歩む未来を求めているんだ)」
カーズの最終的な目的はサエナリアを王妃にマリナを妾として迎え、自身は国王になって三人でウィンドウ王国を支えていくことだったのだ。
「(彼女たちがいなければ俺は国王としてやっていけるとは思えない。どちらか一人だけを選ぶなど今の俺には出来そうもない。……最低な考え方かもしれないがな)」
カーズは王族として、王妃となるべき女性がサエナリアのような優秀な女性でなければならないことは理解している。王家に属し王妃となることは相当の責任がのしかかるからだ。その一方で、カーズ個人としてはマリナを愛情から求めてもいるのだ。王とは孤独になりやすいと言われているため、個人を見てくれる近しい者としてマリナが適任だと思っている。
「(今は、その二人が俺の心から離れてしまった。最悪の状況だ。ソノーザ公爵は個人的に気に入らないが、確かに断罪するよりも優先すべきは……)」
「カーズ王太子殿下、もう一度お聞きします」
カーズが思案している途中で、侍女ミルナが声を発する。もう一度聞くというのは、何なのか。カーズたちにも分かる。
「貴方は、何がしたいのですか」
「…………」
何がしたい、その答えに対してカーズは落ち着いて正直に答える。
「私は、サエナリアとマリナ……二人との仲を修復したい。そして、三人で同じ未来を歩んでいきたいのだ」
「…………」
「「…………(この人は……)」」
カーズの答えを聞いたミルナは、わずかに目を細めたが、カーズが見る限り、感情が読み取れるほど表情に変化はなかった。ただ、聞いてしまった護衛二人は眉間にしわを寄せたり、不快な顔をしたのだがカーズが気付くことはなかった。
「そうですか。分かりました。私からは以上です。お時間おかけしました」
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四人は最初の目的のために行動を開始した。
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