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41.いい弟?
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王宮の第一王子の自室。つまり、カーズの部屋の扉の前で、二人の護衛が見張っている。謹慎中のカーズが出てこないように、そして怪しいものがカーズと接触しないようにしているのだ。
例外があるとすれば、カーズの親族か国王に信頼される重臣ぐらいのものだ。
だからこそ、弟なら面会が許されるのだ。
「よお、兄貴。俺が来たぜ」
「レフトンか………、何の用だ」
カーズにレフトンと呼ばれた青紫色の髪と碧眼の長身の少年はレフトン・フォン・ウィンドウ。カーズの一つ下の弟、次男の立場にいる男だ。いつも明るくて飄々としていて、王族らしくないような軽い感じでいる。
「頼れる弟が、頭の悪い兄貴を笑いに来てやった! 女二人を泣かせたんだろう? ねえ、どんな感じ?」
「………っ!」
煽ってくる態度に、カーズは落ち込んだ気分から一転して、怒りが沸き起こる。それを感じ取ったレフトンはすぐさま笑って謝る。
「わりいわりい、まあ落ち着けよ、兄貴。今俺を殴っても何にもならないぜ。状況が悪くなるだけさ。動き回り過ぎたからな」
「くっ………」
素直に謝られたと同時に、事実を言われてカーズは怒りを抑えた。確かに弟相手に八つ当たりしても意味はないし、謹慎が長くなるだけだ。それくらいならカーズでもわかった。
「そうだよ、カーズ兄さん。レフトン兄さんの言う通りさ」
レフトンの後ろから金髪で赤い瞳の少年がひょっこり現れた。
「ナシュカも来たのか……」
少年はナシュカ・フォン・ウィンドウ。小柄だが、カーズより二歳だけ年下の弟、三男だ。カーズやレフトンよりもしっかりしていて、両親からも期待されている身だ。上の兄二人よりも王族らしい振る舞いを心掛けている。
「まっ、俺たちにも詳しく聞かせてくれよ兄貴。相談なら乗ってやるぜ」
「これは俺の問題だ。お前達が口を出すことじゃない」
カーズは突っぱねようとするがレフトンは引こうとはしなかった。それどころか痛いところをつく。
「兄貴だけの? 違うだろ、兄貴と女の問題だろ? でなきゃ親父達が怒鳴るわけがない、違うか?」
「! 聞いてたのか………」
少し驚いたカーズは、改めてレフトンの顔を見る。そして気づいた。レフトンの顔は笑っているが目だけは笑っていないということに。レフトンもまた、カーズのしたことに不快感を抱いているのだ。更に、
「謹慎を受けたってことは学園に通っていれば誰でも分かるよ、女性がらみなのは想像しやすいさ」
ナシュカに至っては、あからさまな不快感を示してきた。その目は笑ってないどころか睨みつけているようだった。
「兄貴~、これは身内の恥なんだぜ? しかも女で間違いましたじゃ厄介じゃね?」
「レフトン兄さんの言う通りだよ。最近のカーズ兄さんは考えが足らないから、僕たちも弟として力になりたいんだ」
「お前たち……(心配してくれるのか、いい弟を持ったな……)」
カーズは内心、自分を心配してくれると思ったが、目の前の二人の弟の考え方は違っていた。
「(このクソ兄貴を今のままにしてやるわけにはいかねえ、大人しくするように矯正してやらねえとな。何すっか分からねえ)」
「(これ以上王家に恥をかかせるわけにはいかない。王家の威信にかかわる。カーズ兄さんが落ち込んで大人しくしているうちに解決させないとね)」
レフトンとナシュカ、二人の頭の中ではカーズを心配する気持ちは薄かった。何故なら、おおよそのことは知っているため、カーズが自業自得ということは分かっているからだ。
例外があるとすれば、カーズの親族か国王に信頼される重臣ぐらいのものだ。
だからこそ、弟なら面会が許されるのだ。
「よお、兄貴。俺が来たぜ」
「レフトンか………、何の用だ」
カーズにレフトンと呼ばれた青紫色の髪と碧眼の長身の少年はレフトン・フォン・ウィンドウ。カーズの一つ下の弟、次男の立場にいる男だ。いつも明るくて飄々としていて、王族らしくないような軽い感じでいる。
「頼れる弟が、頭の悪い兄貴を笑いに来てやった! 女二人を泣かせたんだろう? ねえ、どんな感じ?」
「………っ!」
煽ってくる態度に、カーズは落ち込んだ気分から一転して、怒りが沸き起こる。それを感じ取ったレフトンはすぐさま笑って謝る。
「わりいわりい、まあ落ち着けよ、兄貴。今俺を殴っても何にもならないぜ。状況が悪くなるだけさ。動き回り過ぎたからな」
「くっ………」
素直に謝られたと同時に、事実を言われてカーズは怒りを抑えた。確かに弟相手に八つ当たりしても意味はないし、謹慎が長くなるだけだ。それくらいならカーズでもわかった。
「そうだよ、カーズ兄さん。レフトン兄さんの言う通りさ」
レフトンの後ろから金髪で赤い瞳の少年がひょっこり現れた。
「ナシュカも来たのか……」
少年はナシュカ・フォン・ウィンドウ。小柄だが、カーズより二歳だけ年下の弟、三男だ。カーズやレフトンよりもしっかりしていて、両親からも期待されている身だ。上の兄二人よりも王族らしい振る舞いを心掛けている。
「まっ、俺たちにも詳しく聞かせてくれよ兄貴。相談なら乗ってやるぜ」
「これは俺の問題だ。お前達が口を出すことじゃない」
カーズは突っぱねようとするがレフトンは引こうとはしなかった。それどころか痛いところをつく。
「兄貴だけの? 違うだろ、兄貴と女の問題だろ? でなきゃ親父達が怒鳴るわけがない、違うか?」
「! 聞いてたのか………」
少し驚いたカーズは、改めてレフトンの顔を見る。そして気づいた。レフトンの顔は笑っているが目だけは笑っていないということに。レフトンもまた、カーズのしたことに不快感を抱いているのだ。更に、
「謹慎を受けたってことは学園に通っていれば誰でも分かるよ、女性がらみなのは想像しやすいさ」
ナシュカに至っては、あからさまな不快感を示してきた。その目は笑ってないどころか睨みつけているようだった。
「兄貴~、これは身内の恥なんだぜ? しかも女で間違いましたじゃ厄介じゃね?」
「レフトン兄さんの言う通りだよ。最近のカーズ兄さんは考えが足らないから、僕たちも弟として力になりたいんだ」
「お前たち……(心配してくれるのか、いい弟を持ったな……)」
カーズは内心、自分を心配してくれると思ったが、目の前の二人の弟の考え方は違っていた。
「(このクソ兄貴を今のままにしてやるわけにはいかねえ、大人しくするように矯正してやらねえとな。何すっか分からねえ)」
「(これ以上王家に恥をかかせるわけにはいかない。王家の威信にかかわる。カーズ兄さんが落ち込んで大人しくしているうちに解決させないとね)」
レフトンとナシュカ、二人の頭の中ではカーズを心配する気持ちは薄かった。何故なら、おおよそのことは知っているため、カーズが自業自得ということは分かっているからだ。
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