42 / 149
42.もっともな意見?
しおりを挟む
カーズは両親に話したことをそのまま弟たちに話した。そして、弟たちの反応はカーズが嫌でも予想した通りだった。
「はぁ~……兄貴よ、それもう終わってんじゃん」
「本当だね。血を分けた兄弟として恥ずかしいよ」
「…………(やっぱり呆れられるのか)」
弟たちは露骨に呆れた態度を見せた。両親のことで流石のカーズも、こういう反応になるだろうとは思っていた。あの明るいレフトンすら笑顔を崩しているのだ。それだけカーズに対する失望は大きいのだろう。
「聞かせてもらったけどさ、兄貴がサエナリア嬢を蔑ろにしてマリナ嬢とだけ仲良くしてきたせいじゃねえか。マリナ嬢と仲良くするなとは言わねえけどよ。それでサエナリア嬢を見なくなるっての酷い話だぜ」
「そうだね。カーズ兄さん『個人』を見てくれたマリナ様を気に入る気持ちは分からなくもないけど、もう少しサエナリア様のことをカーズ兄さんの方から見るべきだったんじゃないかな。カーズ兄さんこそサエナリア様の『個人』を見るべきだったんだよ」
「う……(もっともな意見だ、反論できない)」
弟たちの意見を聞いてカーズは心にグサッと刺された錯覚を感じる。もっと早く女性関係について相談すればよかったかもしれないと後悔する。だが、弟たちのきつい意見は続く。
「見ないと言えばマリナ嬢のことはどうなんだ?」
「何?」
レフトンはマリナのことを口に出した。このタイミングで何故、とカーズは思うがここでもきつい意見が始まる。
「サエナリア嬢とマリナ嬢が友人になったって言うけどよ、それに兄貴が気づいたのは泣かした後だってのも酷いだろ。懇意にしてたのに友人関係を把握していないなんてよ」
「っ! それは、」
「確かにひどいね。カーズ兄さんの話だとマリナ様とは信頼関係ができてたって言うけど、それってカーズ兄さんの一方的な思いこみでしかないんじゃないかな?」
「な、一方的!?」
「マリナ嬢の友人の顔と名前、多分だけど兄貴は知らないだろ、違うか?」
「…………っ!」
カーズは今になって気付いた。好意を抱くようになったはずのマリナの交友関係などを一切知らなかったことを。更に弟たちの心を抉るような言葉は続く。
「もしかしたら、マリナ嬢だって最初のうちはサエナリア嬢の気持ちを考えて、いい思いをしなかったんじゃねえか? 兄貴に気に入られることでサエナリア嬢に対する罪悪感に押しつぶされそうでよお」
「そうだね。婚約者がいる身分の格上の相手に付きまとってこられるなんて、どう対処すればいいか分からなかったんじゃないかな。男爵令嬢だしね。しかも相手が王家の者ならなおさらだね」
「そんな!」
弟達の言葉を聞いて、カーズの頭に大きな衝撃が起こった。二人が言いたいのは、カーズがマリナに迷惑をかけただけかもしれないというのだ。
「はぁ~……兄貴よ、それもう終わってんじゃん」
「本当だね。血を分けた兄弟として恥ずかしいよ」
「…………(やっぱり呆れられるのか)」
弟たちは露骨に呆れた態度を見せた。両親のことで流石のカーズも、こういう反応になるだろうとは思っていた。あの明るいレフトンすら笑顔を崩しているのだ。それだけカーズに対する失望は大きいのだろう。
「聞かせてもらったけどさ、兄貴がサエナリア嬢を蔑ろにしてマリナ嬢とだけ仲良くしてきたせいじゃねえか。マリナ嬢と仲良くするなとは言わねえけどよ。それでサエナリア嬢を見なくなるっての酷い話だぜ」
「そうだね。カーズ兄さん『個人』を見てくれたマリナ様を気に入る気持ちは分からなくもないけど、もう少しサエナリア様のことをカーズ兄さんの方から見るべきだったんじゃないかな。カーズ兄さんこそサエナリア様の『個人』を見るべきだったんだよ」
「う……(もっともな意見だ、反論できない)」
弟たちの意見を聞いてカーズは心にグサッと刺された錯覚を感じる。もっと早く女性関係について相談すればよかったかもしれないと後悔する。だが、弟たちのきつい意見は続く。
「見ないと言えばマリナ嬢のことはどうなんだ?」
「何?」
レフトンはマリナのことを口に出した。このタイミングで何故、とカーズは思うがここでもきつい意見が始まる。
「サエナリア嬢とマリナ嬢が友人になったって言うけどよ、それに兄貴が気づいたのは泣かした後だってのも酷いだろ。懇意にしてたのに友人関係を把握していないなんてよ」
「っ! それは、」
「確かにひどいね。カーズ兄さんの話だとマリナ様とは信頼関係ができてたって言うけど、それってカーズ兄さんの一方的な思いこみでしかないんじゃないかな?」
「な、一方的!?」
「マリナ嬢の友人の顔と名前、多分だけど兄貴は知らないだろ、違うか?」
「…………っ!」
カーズは今になって気付いた。好意を抱くようになったはずのマリナの交友関係などを一切知らなかったことを。更に弟たちの心を抉るような言葉は続く。
「もしかしたら、マリナ嬢だって最初のうちはサエナリア嬢の気持ちを考えて、いい思いをしなかったんじゃねえか? 兄貴に気に入られることでサエナリア嬢に対する罪悪感に押しつぶされそうでよお」
「そうだね。婚約者がいる身分の格上の相手に付きまとってこられるなんて、どう対処すればいいか分からなかったんじゃないかな。男爵令嬢だしね。しかも相手が王家の者ならなおさらだね」
「そんな!」
弟達の言葉を聞いて、カーズの頭に大きな衝撃が起こった。二人が言いたいのは、カーズがマリナに迷惑をかけただけかもしれないというのだ。
49
あなたにおすすめの小説
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます
・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。
気が付くと闇の世界にいた。
そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。
この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。
そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを――
全てを知った彼女は決意した。
「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」
※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪
※よくある悪役令嬢設定です。
※頭空っぽにして読んでね!
※ご都合主義です。
※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
心の中にあなたはいない
ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。
一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる