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96.罰せられる?
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「僕たちは信頼しあってる仲だからいいのです。だけど貴女は違うでしょう。ろくにかかわりのない公爵家の次女に過ぎません。もう少し立場をわきまえるべきでは?」
「立場ですって? 何よ平民ごときが私に指図するわけ!?」
ライトの身分が平民であることは知っているワカナは逆上しかけるが、ライトは落ち着いてワカナに苦言を口にする。
エンジもライトに任せたほうがいいと判断したのか侮蔑を込めた冷たい目をワカナに向けるだけになった。
「これは僕のことではなくレフトンのことを言っているのですよ。地位の違いを考えれば貴方のレフトンに対する態度は不敬罪と言われても過言ではありませんよ。罰せられたいのなら構いませんがね」
「なっ、罰せられる!? 嘘、そんな、こんな第二王子ごときに!?」
罰せられると聞いてワカナは青ざめた。仮にも王子が相手にもかかわらず不遜な態度をとっていたワカナは、一変して震えだした。彼女自身、少し前に地下牢に監禁されたばかりだったのだ。鍵を壊して自力で出てきたとはいえ、地下牢に閉じ込められた時の恐怖が脳裏に蘇って恐ろしくなったのだ。
「じょ、冗談じゃないわよ! 何でそういう話になるのよ!?」
「第二王子ということはこの国の最高権力者の次男だということです。貴女に分かりやすく言うなら、一番偉い人の子供ということですよ。つまり、貴女がレフトンに無礼な態度をとるということは国王陛下にも無礼だということですよ」
そこまで言われてワカナはやっと自分が不利であることに気付いた。そして、
「あ、あの、その、わ、私は、そんなつもりじゃ……失礼しましたーっ!」
ワカナはレフトンたちから背を向けて逃げるように走り出した。いや、本当に逃げ出したのだ。しかも、「もう牢屋は嫌!」とか聞こえてくる。そんなワカナの後姿は惨めで情けなく見える。
「……ふん、今頃身の程をわきまえたのか。愚か者め」
「とんでもない貴族令嬢もいたものだね」
ワカナが見えなくなっても、エンジとライトは侮蔑の眼を中々変えなかった。ワカナが逃げた先を睨み続ける。
「……王太子殿下の時とは違いますね。よほど地下牢に閉じ込められたことがトラウマになったのでしょうか。無能なワカナお嬢様にしては学習しましたね(もっと問題起こしてくれればよかったのに)」
「違うぜ、ミルナさん。『元』王太子だ」
「……カーズ殿下は王太子を降ろされましたか。失礼しました(やはり、そうなりましたか)」
「仕方ねえさ。自分の婚約者を蔑ろにしたんだ。それも、きわめて有能な人物をな。親父たちがすごく嘆いていたよ」
「……ですね(この人分かってるなぁ)」
レフトンはもうワカナのことを全く気にもしていなかった。気にしてもいられない。
「ソノーザ公爵に挨拶かましたら王都に戻ろう。裁判の準備しなくちゃなんねえ」
「そうだな」
「うん」
「立場ですって? 何よ平民ごときが私に指図するわけ!?」
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「これは僕のことではなくレフトンのことを言っているのですよ。地位の違いを考えれば貴方のレフトンに対する態度は不敬罪と言われても過言ではありませんよ。罰せられたいのなら構いませんがね」
「なっ、罰せられる!? 嘘、そんな、こんな第二王子ごときに!?」
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ワカナはレフトンたちから背を向けて逃げるように走り出した。いや、本当に逃げ出したのだ。しかも、「もう牢屋は嫌!」とか聞こえてくる。そんなワカナの後姿は惨めで情けなく見える。
「……ふん、今頃身の程をわきまえたのか。愚か者め」
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