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135.頭を悩ませる?
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「ははは、そう言うな。裁判の件でお前の家の無罪が証明されたことで、多くの者たちが寄ってくるはずだ。商人だろうと貴族だろうとな。そういう者たちを見定めて利用できれば公爵にだってなれるだろう?」
「よしてくださいよ。出世にこだわりすぎて破滅したどこぞの公爵家のようになるつもりはありません。今の地位で十分すぎますよ」
「その通りですよ陛下。あんまり言うとザンタさんも困りますから」
あまりにザンタを持ち上げる国王に恐縮するザンタにクラマが助け舟を出す。
「む、むう。そうか。だが、期待していることは確かなんだ。まあ、今は一つの公爵家がつぶれたのだ。国内はもう少しの間は落ち着かないだろうがな」
「私はそこが心配ですわ。結局、裁判にもサエナリア嬢は見かけませんでしたし、本当にどこにいるか分からなくて不安ですわ」
確かにそうだった。実を言うと裁判の時に、衛兵にサエナリアがいないか確認させていたのだ。その結果、見つからなかったという報告しかなかった。つまり、
「王妃様、お言葉ですが第二王子殿下がおっしゃることが正しければ、サエナリア嬢は今は幸せに暮らしているらしいではありませんか。レフトン殿下が言うのであれば大丈夫では?」
今もサエナリアは見つかってはいない。王家が力を上げて捜索しているが全くその行方が分かっていないのだ。ただ、レフトンは「サエナリアさんは大丈夫だ。きっと幸せにしているよ。頭いいからな」とだけ言っている。無責任な言葉に聞こえるがレフトンはこういう時に限って間違ったことは言わないのだ。
「サエナリア嬢か。レフトンは何か知っている可能性が高いがあいつが全てを話すかは微妙だな。あいつの性分だと彼女の幸せのために隠し通すだろうな。もっとも、我々もこれ以上の捜索は不要と思っていたところだ。次の王太子はすでに婚約者を決めているのだしな」
「……ええ」
次の王太子とは三男のナシュカのことだ。優秀な側近だったバイラを婚約者としているため、王太子妃も自然に彼女に決まったも同然だった。だから、王家としてはサエナリアを探すメリットはす少なくなっていた。
「サエナリア嬢はもう貴族の地位に未練がないのかもしれん。学園の方で詳しく調べさせた結果、どうやら平民の暮らしについて熱心に研究していたらしいしな」
「それほどまでにソノーザ家の環境が酷かったのでしょう。もっと私達を頼ってくれていれば、王宮に住まいを移すなりしていたのに……」
「カーズがあれでは親である我らを信じられるか? 私なら無理だ。その点で言えばレフトンやナシュカならまだ信じられるだろう」
「そうですね……。レフトンの方がまだ信じられます。それならサエナリア嬢の幸せを信じて捜索は……」
王妃が言いかけた時だった。部屋のドアをノックする音が聞こえたのだ。国王はノックする音がやけに早くて大きいのを察してとても嫌な予感がした。
「入れ。何があった」
「陛下、大変です! ワカナ・ヴァン・ソノーザが逃げ出しました!」
「何!?」
「「「えっ!?」」」
「学生の協力者らしい男の手引きで連れ出された模様、今捜索にあたっております!」
「「「「っ!」」」」
国王たちは驚いた。ソノーザ家の次女が逃げ出したという。しかも、外部からの協力者の力を借りて。
「「「「(最悪。やっと、ソノーザ家のことは片が付いたと思ったのに)」」」」
四人とも同時に同じことを思った。また、頭を悩ませる問題ができてしまったのだから。
==お知らせ==
新作ができました。明日から投稿します。
【短編】婚約破棄してきた王太子が行方不明!? ~いいえ。王太子が婚約破棄されました~
こちらもよろしくお願いします。
「よしてくださいよ。出世にこだわりすぎて破滅したどこぞの公爵家のようになるつもりはありません。今の地位で十分すぎますよ」
「その通りですよ陛下。あんまり言うとザンタさんも困りますから」
あまりにザンタを持ち上げる国王に恐縮するザンタにクラマが助け舟を出す。
「む、むう。そうか。だが、期待していることは確かなんだ。まあ、今は一つの公爵家がつぶれたのだ。国内はもう少しの間は落ち着かないだろうがな」
「私はそこが心配ですわ。結局、裁判にもサエナリア嬢は見かけませんでしたし、本当にどこにいるか分からなくて不安ですわ」
確かにそうだった。実を言うと裁判の時に、衛兵にサエナリアがいないか確認させていたのだ。その結果、見つからなかったという報告しかなかった。つまり、
「王妃様、お言葉ですが第二王子殿下がおっしゃることが正しければ、サエナリア嬢は今は幸せに暮らしているらしいではありませんか。レフトン殿下が言うのであれば大丈夫では?」
今もサエナリアは見つかってはいない。王家が力を上げて捜索しているが全くその行方が分かっていないのだ。ただ、レフトンは「サエナリアさんは大丈夫だ。きっと幸せにしているよ。頭いいからな」とだけ言っている。無責任な言葉に聞こえるがレフトンはこういう時に限って間違ったことは言わないのだ。
「サエナリア嬢か。レフトンは何か知っている可能性が高いがあいつが全てを話すかは微妙だな。あいつの性分だと彼女の幸せのために隠し通すだろうな。もっとも、我々もこれ以上の捜索は不要と思っていたところだ。次の王太子はすでに婚約者を決めているのだしな」
「……ええ」
次の王太子とは三男のナシュカのことだ。優秀な側近だったバイラを婚約者としているため、王太子妃も自然に彼女に決まったも同然だった。だから、王家としてはサエナリアを探すメリットはす少なくなっていた。
「サエナリア嬢はもう貴族の地位に未練がないのかもしれん。学園の方で詳しく調べさせた結果、どうやら平民の暮らしについて熱心に研究していたらしいしな」
「それほどまでにソノーザ家の環境が酷かったのでしょう。もっと私達を頼ってくれていれば、王宮に住まいを移すなりしていたのに……」
「カーズがあれでは親である我らを信じられるか? 私なら無理だ。その点で言えばレフトンやナシュカならまだ信じられるだろう」
「そうですね……。レフトンの方がまだ信じられます。それならサエナリア嬢の幸せを信じて捜索は……」
王妃が言いかけた時だった。部屋のドアをノックする音が聞こえたのだ。国王はノックする音がやけに早くて大きいのを察してとても嫌な予感がした。
「入れ。何があった」
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「学生の協力者らしい男の手引きで連れ出された模様、今捜索にあたっております!」
「「「「っ!」」」」
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