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本編
17.トリガー ―きっかけ―
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計画を実行する準備は整っています。後はどういうタイミングで実行に移すか悩んでいた時に、事件が起こりました。
◇
お嬢様が泣きはらした顔で私に縋りついてきました。何事かと思って事情をお聞きすると……。
あのクソ王太子やりやがった! あの馬鹿王子カーズはあろうことか、お嬢様がマリナ様を苛めていると勘違いして暴言を吐いたのだ! お嬢さまは耐えられなくなってその場から走り去ったというのに、婚約者を追わないなんて最低最悪の王子だ!
学園ではお嬢様がマリナ様を苛めているという馬鹿げた噂が広がっているとバイラ様から聞いてはいたが、あの勘違い王子はその噂を真に受けていたらしい。婚約者ならばサエナリアお嬢様を信じろよ! 下種王子!
カーズ・フォン・ウィンドウはゲームのシナリオによってはろくでなしになるけど、現実ではゲームよりひどい、酷すぎる。そんな男からお嬢様を速やかに引き離さなければなりません。
つまり、今こそ計画実行の時です。カーズは酷いことをしましたが、計画実行のための引き金になってくれました。というか、あの男を懲らしめるためにちょっと計画を変更しましょう。天罰を下すために。
◇
翌日。計画始動です。
行動に移したのはお嬢様が先です。今ごろはお嬢様はお顔の化粧を消して、平民の服に着替え直してお店にいる頃でしょう。そしてバイトから正規の店員として住み込みで働くことに。
ここからは私の出番。愚かな御家族に仕掛けるときですね!
「奥様! サエナリアお嬢様の机の上にこのような置き手紙が!」
「……はあ? 何?」
私が迫真の演技で迫ると奥様は面倒臭そうに手紙をとります。そして、
「………な、何よこれ!? さ、サエナリアは部屋にいないの!?」
意外にも結構動揺するのですね。一応、母親としての情は残っているのでしょうかね?
「あの子に何かあれば王太子との婚約はどうなるのよ!ワカナも心配するじゃない! 」
………結局、次女かよ!
「大変! ちょっとそこの貴女、急いで学園にいるワカナを連れてきて!」
しかも、私に連れてこいと!? たが………!
「承知しました」
と、言うしかない。ちくしょう!
◇
使い走りにされて、学園のワカナの部屋に着いた。そして、部屋に入ったベッドに寝転ぶ女に言ってやりました。サエナリアお嬢様がいなくなったと。
「お姉さまがいなくなった?」
見栄えだけしか取り柄がない我儘で馬鹿な公爵家次女『ワカナ・ヴァン・ソノーザ』は、怪訝な顔で侍女に聞き返してきました。ベッドに寝ころんだまま私の話を聞いていますが仮にも貴族令嬢のはず、その姿勢は正すべきでしょうに。
「はい。奥様が気付いた時には既に遅く……。奥様は取り乱されておりまして、ワカナ様にも来てほしいと……」
「お母様が?」
母親の様子を聞かされてワカナはやっとベッドから起き上がりました。そんな彼女は私に着替えを手伝わせます。屈辱ですが、これも計画のためと思えば何とか我慢できます。
「分かったわ、仕方ないわね。はあ……、何でお姉さまがいなくなったからって……」
………何て嫌な女なんだろう。自分の姉がいなくなったのに態度悪すぎ。これから地獄を見ればいいでしょう。私はそんな思いを抱きながら冷めた目で彼女の後ろ姿を眺めます。
◇
お嬢様が泣きはらした顔で私に縋りついてきました。何事かと思って事情をお聞きすると……。
あのクソ王太子やりやがった! あの馬鹿王子カーズはあろうことか、お嬢様がマリナ様を苛めていると勘違いして暴言を吐いたのだ! お嬢さまは耐えられなくなってその場から走り去ったというのに、婚約者を追わないなんて最低最悪の王子だ!
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つまり、今こそ計画実行の時です。カーズは酷いことをしましたが、計画実行のための引き金になってくれました。というか、あの男を懲らしめるためにちょっと計画を変更しましょう。天罰を下すために。
◇
翌日。計画始動です。
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「奥様! サエナリアお嬢様の机の上にこのような置き手紙が!」
「……はあ? 何?」
私が迫真の演技で迫ると奥様は面倒臭そうに手紙をとります。そして、
「………な、何よこれ!? さ、サエナリアは部屋にいないの!?」
意外にも結構動揺するのですね。一応、母親としての情は残っているのでしょうかね?
「あの子に何かあれば王太子との婚約はどうなるのよ!ワカナも心配するじゃない! 」
………結局、次女かよ!
「大変! ちょっとそこの貴女、急いで学園にいるワカナを連れてきて!」
しかも、私に連れてこいと!? たが………!
「承知しました」
と、言うしかない。ちくしょう!
◇
使い走りにされて、学園のワカナの部屋に着いた。そして、部屋に入ったベッドに寝転ぶ女に言ってやりました。サエナリアお嬢様がいなくなったと。
「お姉さまがいなくなった?」
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「お母様が?」
母親の様子を聞かされてワカナはやっとベッドから起き上がりました。そんな彼女は私に着替えを手伝わせます。屈辱ですが、これも計画のためと思えば何とか我慢できます。
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………何て嫌な女なんだろう。自分の姉がいなくなったのに態度悪すぎ。これから地獄を見ればいいでしょう。私はそんな思いを抱きながら冷めた目で彼女の後ろ姿を眺めます。
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