97 / 252
第3章 組織編
幕間・王都の人々(前編)
しおりを挟む
王都全土。
暴動が起きる少し前。王都に暮らす全ての人々に思いがけない出来ことが起こる。
『お元気そうで何よりです。魔法協会の幹部ビルグ・トーレンさんと会長のメルガー・メンデスさん、でしたっけ?』
「「「「「っ!?」」」」」
『……!?……』
『……元気に見えるわけないだろう、こんな目に遭わされたのだからな』
「な、何だ? 今の?」
「魔法協会の幹部? 会長?」
「どこから聞こえてるの?」
王都に暮らす人々の耳に、大きな声が…いや、音量だけを大きくした会話が聞こえてきたのだ。どうやら、王都全土に流れている。
『黒焦げにされたことをそこまで根に持つことないでしょう? 今までずっと非道極まりない人体実験をしてきたんだからさあ? 何の罪もないものを相当死なせてきたんだから、その程度で済むなんて贅沢だと思わないのか?』
『っ!? な、何を、言って……!?』
『……まだ気が済まないというつもりか、今度はどうするつもりだ?』
『そうだな、あんたたちのやってきた非人道的な人体実験や、他者から魔法を奪って野に捨てる悪逆非道な行為を騎士団や国に訴えたとしてもな~』
『『…………』』
『国そのものが、分かってて容認しているうえに、騎士団も協力してるとなると、この国で魔法協会を裁けるはずがない。何故なら、国民の間で、魔法協会の悪~い噂が流れていたのに誰も調査しなかったぐらいだしな~』
『…………』
『まったくその通りだよ。だが、そこまでわかっているなら、どうするというのだ? まさか、お前が裁くとでもいうのか?』
『話が早いな、会長さん』
『……ひいっ!?』
「やっぱり、魔法協会の人か? ……ていうか、人体実験?」
「あの噂って……本当だったってこと? しかも……」
「騎士団や国が容認!?」
『まあ、正確には似たようなもんだけどさ、その前に話をしようぜ』
『話だと? 何だそれは? まさか、ミー……』
カチッ
シーン…………
「「「「「あれ? 聞こえなくなった?」」」」」
カチッ
『話ってのは魔法のことさ』
『『……?』』
『何でこの国だけが、他国に比べて、魔法持ちが多いのかって話だ。国の人口の9割も魔法持ちがいるというのはどういうことかな?』
『な、何を言ってるんだ?』
『お前は何を言い出す? 魔法とは神が我が国の民に授けてくださった贈り物なんだぞ? そんなことも知ら……』
『本気でそう思うわけないだろう、魔法の研究をしていれば魔法を持つリスクのことも分かってるはずだろ?』
『き、貴様!? 何を!?』
『お、おい、まさか!?』
「「「「「リスク?」」」」」
『魔法を持つことは、体に負担をかける。特に影響があるのは、生きられる寿命だ。魔法を持つ体になれば、10年くらい寿命が縮む』
『『んなっ!?』』
「「「「「っ!?」」」」」
聞いた人々の中で理解の速い人間は目が大きく見開くほど驚いた。魔法と寿命の関係など聞いたことが無かったからだ。
『正確に言えば、最低で5年、最高は20年。寿命の縮まる基準は魔法の能力で決まる。例えば、強力な魔法や極端な効果を持つ魔法ほど縮まる寿命が長くなる』
『な、なななな、何を言ってるんだ!?』
『おい! 何を言い出すんだ! やめろ!』
「「「「「…………」」」」」
『縮まる寿命は最初に発現した魔法で決まる。魔法を失っても縮んだ寿命は戻らない。逆に二つ目の魔法を何らかの手段で獲得してもそれ以上寿命が減ることは無い。何故なら、魔法を発現した時から肉体が魔法に耐性を持つからだ。それを知っているから、会長さんはいろんな魔法を奪って使ってきた、そうだろ?』
『『…………!』』
『それから、こんなことも知ってるかな? 魔法によっては副作用をもたらすものもある。使う度に肉体に悪影響があったり、周囲を巻き込んでしまったり……かなり稀少なタイプだけどな』
『そ、そこまで……』
『そんなことまで知っていたというのか!?』
「な、なんだよそれ……魔法に副作用……?」
「……その前に、すごい魔法ほど、寿命が縮むだって……?」
「魔法を奪うですって! 魔法協会は、そんなことを!?」
「噂よりヤバいじゃねえか!」
「魔法協会の奴も否定してないし……!」
『それが魔法だ。それなのに、この国の人間の9割が魔法を発現する、特別なこともなしに。……こんなことは自然ではありえない。魔法で人の寿命を左右するなど、神が与えたものにしては残酷なルールだな』
「「「「「っ!?」」」」」
『これはつまり、魔法は神が与えた力ではなく、全く別の何かが、この国の人間が魔法を発現するように仕組んだってことだ』
『まさかっ!? やめろぉ! やめてくれぇ!』
『もうやめろ! それ以上言うな!』
「「「「「動揺してる!?」」」」」
『その先を! その先だけは言うなぁ!』
『自分が何を言ってるのか分かっているのか!? 国家機密どころの話じゃないんだぞ!』
「「「「「国家機密!?」」」」」
『全く別の何か。それはこの国の王族を含む上層部』
『『っ!?』』
「「「「「なっ!?」」」」」
『そして、魔法協会もそれに絡んでいる、違うかな?』
『『…………』』
「「「「「ええ~!?」」」」」
聞いてしまった人々は絶句してしまった。神からもらったと言われていた魔法の出所が、政を担う国の王族を含む上層部だったこと、それに魔法協会も加わっていたことがショックだったのだ。今まで信じてきたことが否定されたのだ。王国の中心に位置する王都全土で。
暴動が起きる少し前。王都に暮らす全ての人々に思いがけない出来ことが起こる。
『お元気そうで何よりです。魔法協会の幹部ビルグ・トーレンさんと会長のメルガー・メンデスさん、でしたっけ?』
「「「「「っ!?」」」」」
『……!?……』
『……元気に見えるわけないだろう、こんな目に遭わされたのだからな』
「な、何だ? 今の?」
「魔法協会の幹部? 会長?」
「どこから聞こえてるの?」
王都に暮らす人々の耳に、大きな声が…いや、音量だけを大きくした会話が聞こえてきたのだ。どうやら、王都全土に流れている。
『黒焦げにされたことをそこまで根に持つことないでしょう? 今までずっと非道極まりない人体実験をしてきたんだからさあ? 何の罪もないものを相当死なせてきたんだから、その程度で済むなんて贅沢だと思わないのか?』
『っ!? な、何を、言って……!?』
『……まだ気が済まないというつもりか、今度はどうするつもりだ?』
『そうだな、あんたたちのやってきた非人道的な人体実験や、他者から魔法を奪って野に捨てる悪逆非道な行為を騎士団や国に訴えたとしてもな~』
『『…………』』
『国そのものが、分かってて容認しているうえに、騎士団も協力してるとなると、この国で魔法協会を裁けるはずがない。何故なら、国民の間で、魔法協会の悪~い噂が流れていたのに誰も調査しなかったぐらいだしな~』
『…………』
『まったくその通りだよ。だが、そこまでわかっているなら、どうするというのだ? まさか、お前が裁くとでもいうのか?』
『話が早いな、会長さん』
『……ひいっ!?』
「やっぱり、魔法協会の人か? ……ていうか、人体実験?」
「あの噂って……本当だったってこと? しかも……」
「騎士団や国が容認!?」
『まあ、正確には似たようなもんだけどさ、その前に話をしようぜ』
『話だと? 何だそれは? まさか、ミー……』
カチッ
シーン…………
「「「「「あれ? 聞こえなくなった?」」」」」
カチッ
『話ってのは魔法のことさ』
『『……?』』
『何でこの国だけが、他国に比べて、魔法持ちが多いのかって話だ。国の人口の9割も魔法持ちがいるというのはどういうことかな?』
『な、何を言ってるんだ?』
『お前は何を言い出す? 魔法とは神が我が国の民に授けてくださった贈り物なんだぞ? そんなことも知ら……』
『本気でそう思うわけないだろう、魔法の研究をしていれば魔法を持つリスクのことも分かってるはずだろ?』
『き、貴様!? 何を!?』
『お、おい、まさか!?』
「「「「「リスク?」」」」」
『魔法を持つことは、体に負担をかける。特に影響があるのは、生きられる寿命だ。魔法を持つ体になれば、10年くらい寿命が縮む』
『『んなっ!?』』
「「「「「っ!?」」」」」
聞いた人々の中で理解の速い人間は目が大きく見開くほど驚いた。魔法と寿命の関係など聞いたことが無かったからだ。
『正確に言えば、最低で5年、最高は20年。寿命の縮まる基準は魔法の能力で決まる。例えば、強力な魔法や極端な効果を持つ魔法ほど縮まる寿命が長くなる』
『な、なななな、何を言ってるんだ!?』
『おい! 何を言い出すんだ! やめろ!』
「「「「「…………」」」」」
『縮まる寿命は最初に発現した魔法で決まる。魔法を失っても縮んだ寿命は戻らない。逆に二つ目の魔法を何らかの手段で獲得してもそれ以上寿命が減ることは無い。何故なら、魔法を発現した時から肉体が魔法に耐性を持つからだ。それを知っているから、会長さんはいろんな魔法を奪って使ってきた、そうだろ?』
『『…………!』』
『それから、こんなことも知ってるかな? 魔法によっては副作用をもたらすものもある。使う度に肉体に悪影響があったり、周囲を巻き込んでしまったり……かなり稀少なタイプだけどな』
『そ、そこまで……』
『そんなことまで知っていたというのか!?』
「な、なんだよそれ……魔法に副作用……?」
「……その前に、すごい魔法ほど、寿命が縮むだって……?」
「魔法を奪うですって! 魔法協会は、そんなことを!?」
「噂よりヤバいじゃねえか!」
「魔法協会の奴も否定してないし……!」
『それが魔法だ。それなのに、この国の人間の9割が魔法を発現する、特別なこともなしに。……こんなことは自然ではありえない。魔法で人の寿命を左右するなど、神が与えたものにしては残酷なルールだな』
「「「「「っ!?」」」」」
『これはつまり、魔法は神が与えた力ではなく、全く別の何かが、この国の人間が魔法を発現するように仕組んだってことだ』
『まさかっ!? やめろぉ! やめてくれぇ!』
『もうやめろ! それ以上言うな!』
「「「「「動揺してる!?」」」」」
『その先を! その先だけは言うなぁ!』
『自分が何を言ってるのか分かっているのか!? 国家機密どころの話じゃないんだぞ!』
「「「「「国家機密!?」」」」」
『全く別の何か。それはこの国の王族を含む上層部』
『『っ!?』』
「「「「「なっ!?」」」」」
『そして、魔法協会もそれに絡んでいる、違うかな?』
『『…………』』
「「「「「ええ~!?」」」」」
聞いてしまった人々は絶句してしまった。神からもらったと言われていた魔法の出所が、政を担う国の王族を含む上層部だったこと、それに魔法協会も加わっていたことがショックだったのだ。今まで信じてきたことが否定されたのだ。王国の中心に位置する王都全土で。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる