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第5章 外国編
閑話・帝国の皇族2
しおりを挟むアゼル15歳、リオル13歳、サーラ12歳になった頃に、第一王妃アリアドネが病に倒れ、そのまま息を引き取った。第一王妃が亡くなったことは、皇帝とアゼル、そして意外にもアネーシャの3人が深く悲しんだ。アネーシャは、母親を亡くしたアゼルとサーラの面倒を自分が見ると決めて、リオルを合わせて3人の子供の母になった。だが、母親のアリアドネが死んだことを境にアゼルは変わった。自分を溺愛してくれた母の死を受け入れられずに、周りに当たり散らすようになったのだ。このことに激しく激怒した皇帝はアゼルを一度牢獄に閉じ込めて頭を冷やすまで出さないようにした。
アゼルは三日間牢獄に入れられてやっと外に出された。その時のアゼルの顔はすっかりやつれていて、生きる気力すら感じさせない姿だった。その姿を見た多くの家臣たちはアゼルの日ごろの行いの悪さを知っているために嘲笑う声が多かったが、家族は憐れんだ。特にアネーシャは肉親を失う悲しみを理解しているためにアゼルの境遇を深く悲しんでいた。リオルは仲が悪かったとはいえ一緒に育った間柄ゆえにサーラとともに複雑な気持ちになった。皇帝も三日間も牢獄に入れたのはやり過ぎたと反省したが、既に遅かった。アゼルの気持ちを考えれば手遅れだったのだ。
それから二年後に帝国と王国は戦争を始めた。皇帝自らも出陣することになったが、皇帝の反対を押し切ってアネーシャも参加した。何故なら、この戦争はアゼルとリオルの初陣になるため、子供たちに無茶させないためにもそばに居たいというのが理由だった。相手が王国というのだから魔法持ちの敵と戦うことになる、それは子供たちが初陣でかなりの強敵と戦うことを意味していた。心配で仕方が無かったアネーシャの気持ちは皇帝も理解していたため、皇帝も最終的にアネーシャの出陣を許可したのだ。
戦争は両国は拮抗した状態が続いた。王国は強力な魔法で力押しという戦い方ばかりだが、帝国は作戦を立てて効率よく戦うため、どちらも決定打に欠けていた。戦いの中、アゼルは逃げてばかりでまともに戦おうとしなかったが、リオルは率先して戦いに加わって手柄を立てていった。そんな中、リオルはバルムドという敵国の騎士に苦戦を強いられた。バルムドの【氷結魔法】と彼自身の剣技の連携は、リオルを防戦一方まで追い詰めるほどの強さだった。だが、一瞬のスキをついてバルムドに一撃を与えることに成功し、バルムドを撤退させることができた。
リオルとバルムドの戦いは増援に駆けつけた兵士が確認し、強敵を退けたリオルのことをその場にいた部下の兵士たちが歓声を上げてリオルを称賛した。リオルはその称賛の声を受けて、自分の努力が報われたと実感した。出自のことで馬鹿にされてきた自分はやっと周囲を見返せたのだ、自分の価値を証明したのだ、そう思った彼女の目には涙さえ浮かんでいた。リオルの活躍を聞いた皇帝とアネーシャも喜んでいた。もっとも、アゼルだけは悔しそうな顔をしていたが、彼のことは誰も気にも留めなかった。更にリオルの活躍はこの後も続き、初陣で花を飾った。
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