ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
208 / 252
第6章 一週間編

三日目2

しおりを挟む
三日目。

 ローグとミーラがいる客室で、普段着のリオルと一応客人扱いとなったローグとミーラが向かい合っていた。サーラは事務仕事で忙しくてここにはいない。リオルも本当なら忙しい身であり、この二人と話し合う時間などないのだが、事務仕事が苦手な脳筋は力仕事が一番らしい。



 …………という情けない話ではなく、大事な相談のために二人のもとに来たようだ。昨日のアゼルとの話し合いが問題らしい。

「……というわけで、私は兄上の助命を訴えることができなくなったのだ。情けは無用と言われてな。兄上の命だけは助けたいのに、どうしたらいいだろうか?」

 リオルは珍しく落ち込んでいた。昨日、アゼルと話し合った結果、リオルが折れたのだ。助命はしないことを渋々認めて引き下がってしまったらしい。

 そんな話を聞かされたローグとミーラの反応はというと。

「アゼルのいうことはもっともじゃないか。奴のしたことは許されることじゃないし、正当に裁かれるべきだ」
「そ、それはそうかもしれないが……」
「リオさんの言うことも分かります。お兄さんですもんね。家族は大切にしないと」
「う、うん。分かってくれるか!」

 ローグはアゼルの言うことを正しいと言うが、ミーラはリオルの気持ちを理解した。ミーラの言葉にリオルは弾んだ声を上げた。

 その様子を見て、ローグは目を細めて思ったことをそのまま口にした。

「……あんた、もしかして他の連中にも同じようなこと話したんじゃないか?」
「え? あ、ああ。サーラは忙しかったから他の兵士たちに兄上と話をしたと……」
「そうじゃない。助命をしたら断わられたことだよ」
「あ、それは……」
「誰も助命に賛成してもらえなかったんじゃないか?」
「っ!」

 ローグの言う通りだった。リオルは二人のもとに相談に来る前にも、信頼できる部下や友人に相談に行ったのだ。「どうにかして兄の命だけは助けられないか」と。

 だが、誰もが「自業自得だ」「至極当然の報いだ」「正しく裁かれるべきだ」と言うばかりで、リオルの気持ちを理解しても肯定はできないという態度だったのだ。リオルも彼らの言うことも分かるため反論できなかった。その中には騎士団長のサーファのように「甘い考えだ」「死罪あるのみ!」という者さえいた。そして、最後に向かったのが……。

「最後に相談に来たのが俺達、と言わけだな」
「……お前の言う通りだ。察しがいいな。頼む、私に知恵を貸してくれ。このまま理解し合えずに兄と死に別れるのはつらいんだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。 ※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)

処理中です...