ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
249 / 252
最終章

帰還

しおりを挟む





 王国と帝国の戦争が始まってから一週間後。王都は帝国軍に占領され、王国そのものが帝国に下った。何しろ王族全員が城の崩壊に巻き込まれて死亡が確認されたのだ。国の頂点に立つはずの王族がいなくなってしまっては王国の存続は不可能、完全敗北が決まったも同然だ。

 王国の滅亡。魔法を失ったことで国そのものが滅んだというわけだ。もちろん王都も帝国の領土のうちに入った。もはや『元』王都という方が正しいほどに。

「王国が滅ぶのはあっという間だったな」

「まあな、何度も言うけど生活から戦いの全てまでを魔法に頼ってきたせいだろうな。便利な力に頼りすぎた弊害ってやつさ。それが原因で王国が滅んだんだから帝国としては都合がいいだろ?」

「……笑えんよ」

 元王都から帝国に向かう軍用馬車の中で会話するのは、互いに戦争で活躍した重要人物だ。片方は帝国の皇女にして戦争で総司令官を務めたリオル・ヒルディア。そしてもう一人は黒髪黒目の少年ローグ・ナイト。この二人は戦争の勝利を皇帝に報告するために帝国に戻るのであった。元王都はサーファはに任せているから不安要素もない。

「父上への報告はどうしたものか……。あまりにもあっけなく終わったなどと言ってもいいのだろうか」

「本当のことだから素直に言えばいいと思うけどな。そもそも、あっけなかったのは後半だけだろ。前半の俺達の戦いは結構大変だったはずだ。あんな真夜中で慎重に作戦を遂行したんだぞ。あれは相当苦労させられたじゃないか」

「そうだったな。一番苦労したローグの口からきくと説得力があるな」

「分かってんじゃん。でも、報告はリオさんだけで頑張れよな」

「任せろ。ローグには他にやることがあるみたいだしな」

 ただ、ローグに関しては帝国に残してきた一人の少女のもとに戻る約束があるから、ついでにリオルについてきただけなのだ。本心では元王都に残って全員死亡が確認された王族について調べたいという気持ちもある。この世界の謎を知る手掛かりを探すために。

(だけど、焦ることはない。むしろ瓦礫の山が邪魔だからもう少し後にした方がいいだろうしな)

「ローグは帝都に戻ったら彼女のもとに行くのだろう?」

「ああ、色々心配だからな。だけど一緒にていてこさせるわけにはいかなかったから残してきたんだ」

「あの体では当然だろうな。大事にしてやれよ? 彼女はお前の大事な人なんだしな」

「……ああ」

 リオルの言う『彼女』とは今までローグと共に行動してきたミーラ・リラという少女のことだ。彼女はとある理由で帝国に残しておいたのだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜

伽羅
ファンタジー
 事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。  しかも王子だって!?  けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。  助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。  以前、投稿していた作品を加筆修正しています。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

処理中です...