26 / 71
第26話 煽る令嬢
しおりを挟む
「ああん? んだよっ!」
「そんなふうに~、感情的にならなくてもいいのでは~? 冴えない顔がひどい顔になりますよ~?」
「っ!?」
バニアはわざとらしく煽るような口調で会話に加わってきた。もちろん、すでに苛ついてたカリブラは嫌そうに振り向く。
「私の耳にも聞こえてしまったのですが~、アスーナ様の言葉通りにカリブラ様が~、アスーナ嬢と婚約していた時から~、ソルティア様とデートするほど仲良くしていたということは~……それって、浮気をなさっていたということでいいですかぁ?」
「なんだよ、そんなこと……って、ええ、浮気?」
煽るような口調はそれだけでも相手の苛立ちを増長させるというが、それをバニアはうまく利用している。カリブラを意図的に怒らせて情報を引き出したのだ。カリブラが不利になるような情報を。
「だって~、アスーナ様本人ではなく~アスーナ様の妹さんとデートぉ? 婚約者以外の女性を連れてお出かけしたりお買い物するってことは、浮気をなさっていた証拠じゃないですか~?」
「んなっ!? 何を言うんだ!? ソルティアはアスーナの妹なんだから婚約者の妹とちょっと遊んだだけじゃないか! 何もやましいことはないはずだ!」
カリブラはバニアの意図に気づいたようだがすでに遅かった。ソルティアに対する苛立ちとアスーナに対する怒りで思考力が鈍っていたため言い訳も間違えた。
「あらら~? 我が国ではいつから『婚約者を蔑ろにして、その妹と仲良くすることは浮気ではない』ということになったのでしょうか~?」
「あ! い、いや、ちが、違うんだ! 本当は、」
「違う? あ~、ドッキリというやつですか? いい年しておきながらドッキリなんて幼児みたい。貴族の紳士にあるまじきことですわ~」
「お、お前っ!」
カリブラはバニアに対する怒りで顔を真っ赤に染めた。バニアに言われたことは数日前に参加したパーティーでハラドに言われたこととほぼ一緒だったせいだろうが、貴族令嬢に煽るように言われたことが我慢できなかったようだ。カリブラの頭の中では『格下にコケにされた』とか『女に煽られた』としてプライドに傷ついたわけだ。
「ふざけんなよ! よくもこの僕を侮辱したな!」
「あら~、本当のことを言ってみただけですわ~?」
確かに本当のことだ、と誰もが思う。その場で聞いてしまった全ての生徒がだ。
「うるさい! ソルティアと仲良くしていただけで浮気だなんて断じてありえない! 僕にはそんなつもりはなかったんだよ! 確かにアスーナよりも気が合う仲ではあったが、異性として接していたわけでは、」
「あらま~、『気が合う仲』ですか~? お金を貸してくださったり課題を代わりにやってくださったアスーナ様を差し置いて~、その妹とデート~?」
「うぐ……」
(バニア、痛いところ突くわね)
「そんなふうに~、感情的にならなくてもいいのでは~? 冴えない顔がひどい顔になりますよ~?」
「っ!?」
バニアはわざとらしく煽るような口調で会話に加わってきた。もちろん、すでに苛ついてたカリブラは嫌そうに振り向く。
「私の耳にも聞こえてしまったのですが~、アスーナ様の言葉通りにカリブラ様が~、アスーナ嬢と婚約していた時から~、ソルティア様とデートするほど仲良くしていたということは~……それって、浮気をなさっていたということでいいですかぁ?」
「なんだよ、そんなこと……って、ええ、浮気?」
煽るような口調はそれだけでも相手の苛立ちを増長させるというが、それをバニアはうまく利用している。カリブラを意図的に怒らせて情報を引き出したのだ。カリブラが不利になるような情報を。
「だって~、アスーナ様本人ではなく~アスーナ様の妹さんとデートぉ? 婚約者以外の女性を連れてお出かけしたりお買い物するってことは、浮気をなさっていた証拠じゃないですか~?」
「んなっ!? 何を言うんだ!? ソルティアはアスーナの妹なんだから婚約者の妹とちょっと遊んだだけじゃないか! 何もやましいことはないはずだ!」
カリブラはバニアの意図に気づいたようだがすでに遅かった。ソルティアに対する苛立ちとアスーナに対する怒りで思考力が鈍っていたため言い訳も間違えた。
「あらら~? 我が国ではいつから『婚約者を蔑ろにして、その妹と仲良くすることは浮気ではない』ということになったのでしょうか~?」
「あ! い、いや、ちが、違うんだ! 本当は、」
「違う? あ~、ドッキリというやつですか? いい年しておきながらドッキリなんて幼児みたい。貴族の紳士にあるまじきことですわ~」
「お、お前っ!」
カリブラはバニアに対する怒りで顔を真っ赤に染めた。バニアに言われたことは数日前に参加したパーティーでハラドに言われたこととほぼ一緒だったせいだろうが、貴族令嬢に煽るように言われたことが我慢できなかったようだ。カリブラの頭の中では『格下にコケにされた』とか『女に煽られた』としてプライドに傷ついたわけだ。
「ふざけんなよ! よくもこの僕を侮辱したな!」
「あら~、本当のことを言ってみただけですわ~?」
確かに本当のことだ、と誰もが思う。その場で聞いてしまった全ての生徒がだ。
「うるさい! ソルティアと仲良くしていただけで浮気だなんて断じてありえない! 僕にはそんなつもりはなかったんだよ! 確かにアスーナよりも気が合う仲ではあったが、異性として接していたわけでは、」
「あらま~、『気が合う仲』ですか~? お金を貸してくださったり課題を代わりにやってくださったアスーナ様を差し置いて~、その妹とデート~?」
「うぐ……」
(バニア、痛いところ突くわね)
23
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします
ほーみ
恋愛
その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。
そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。
冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。
誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。
それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。
だが、彼の言葉は、決定的だった。
「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」
せっかく家の借金を返したのに、妹に婚約者を奪われて追放されました。でも、気にしなくていいみたいです。私には頼れる公爵様がいらっしゃいますから
甘海そら
恋愛
ヤルス伯爵家の長女、セリアには商才があった。
であれば、ヤルス家の借金を見事に返済し、いよいよ婚礼を間近にする。
だが、
「セリア。君には悪いと思っているが、私は運命の人を見つけたのだよ」
婚約者であるはずのクワイフからそう告げられる。
そのクワイフの隣には、妹であるヨカが目を細めて笑っていた。
気がつけば、セリアは全てを失っていた。
今までの功績は何故か妹のものになり、婚約者もまた妹のものとなった。
さらには、あらぬ悪名を着せられ、屋敷から追放される憂き目にも会う。
失意のどん底に陥ることになる。
ただ、そんな時だった。
セリアの目の前に、かつての親友が現れた。
大国シュリナの雄。
ユーガルド公爵家が当主、ケネス・トルゴー。
彼が仏頂面で手を差し伸べてくれば、彼女の運命は大きく変化していく。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
妹の方が良かった?ええどうぞ、熨斗付けて差し上げます。お幸せに!!
古森真朝
恋愛
結婚式が終わって早々、新郎ゲオルクから『お前なんぞいるだけで迷惑だ』と言い放たれたアイリ。
相手に言い放たれるまでもなく、こんなところに一秒たりとも居たくない。男に二言はありませんね? さあ、責任取ってもらいましょうか。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?
リオール
恋愛
両親に虐げられ
姉に虐げられ
妹に虐げられ
そして婚約者にも虐げられ
公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。
虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。
それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。
けれど彼らは知らない、誰も知らない。
彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を──
そして今日も、彼女はひっそりと。
ざまあするのです。
そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか?
=====
シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。
細かいことはあまり気にせずお読み下さい。
多分ハッピーエンド。
多分主人公だけはハッピーエンド。
あとは……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる