4 / 11
(4)悠真さんへの想い
しおりを挟む
花屋の仕事は、順調に回り始めた。
父は、外出することが多くなった。
ブライダルのコーディネートや、店舗向けのインテリア、イクステリアの定期サービス、公共施設のメンテナンス等、お客様から是非にと指名をもらえる事が多くなった。
一つ一つ実績を積み上げた成果だ。
それで、僕と悠真さんとで店番をする機会が増えた。
客足が途切れると、悠真さんは僕に話しかける。
「ユウ、学校は楽しいか?」
真っ先にアツシの事が思い浮かんだ。
「それが、面白い友達がいて……」
ただ、アツシの例の趣味については、筋トレ好き、ってことで誤魔化した。
うん、ギリギリ嘘は言ってない。
「ところで……」
悠真さんは話題を切り替えた。
「ユウは可愛いから、クラスで人気だろう?」
悠真さんは唐突に言った。
「えっ、可愛いって……」
僕は、反復して聞き返した。
悠真さんはそれを聞いて、
「うん、そうか……」
と言いながら、右手で僕の頬に触れ、僕をじっと見つめた。
僕は、心臓の鼓動が早くなるのが分かった。
音が聞こえてしまっただろうか。
悠真さんはにっこり笑いながら言った。
「ごめん、ごめん。確かに可愛いっていうのは変か。男の子に言う言葉じゃなかったね」
悠真さんは僕から放した手でごめんなさいを作った。
「からかったわけじゃないんだ……いや、でも本当だから」
僕は恥ずかしくなって、うつむいた。
そう。
ぜんぜん悪い気はしないし、とても嬉しい。
僕はそんな恥ずかしさから、悠真さんにずっと聞きたかったことを尋ねてみようと思い立った。
「ねぇ、悠真さん」
「なに?」
「悠真さんは、その、恋人とかいるんですか?」
悠真さんは、
「いいや、そんなのいないよ」
と即答した。
「でも、気になっている人はいるんだけどね」
と、照れ笑いをしながら言った。
僕は、悠真さんが仕事中にときおりスマートフォンで誰かと連絡をとっていることは知っている。
「でも……」
と言いかけたとき悠真さんは、僕が言いたいことを察したのか、
「あ、これ?」
とスマートフォンをちらっと見た。
「いや、ちょっと昔の仕事仲間と連絡をしあっていてね。ごめん、仕事中は控えるようにするよ」
「あ、いえ、いいんです。ちょっと気になっただけですから……」
僕は、言わなければよかったと、後悔した。
せっかく楽しい雰囲気だったのに……。
ある日、休みを取り3人で遊園地に行くことになった。
ことの発端は、父の店舗のコーディネートの依頼がキャンセルになったこと、期限が近い遊園地のチケットをお客様よりいただいたからだ。
「最近働きずめだったからちょうどいいわね」
父はそう言うと、あそこの遊園地は植物園と庭園が綺麗なので楽しみ。
とつづけた。
悠真さんは、父の笑顔に弱い。
微笑みを返しながら、
「いいですね。それではすぐにレンタカーを借りてきます」
と言って手配に向かった。
久しぶりの遊園地。
僕も父も、そして悠真さんも思いっきり楽しんだ。
僕は、こないだの悠真さんの恋人の件ですこし気分がモヤモヤしていたけど、遊園地で遊んだことで、いっさいのわだかまりは消えた。
レンタカーを返した帰り際、父はお土産にと悠真さんと僕にお揃いのハンカチをプレゼントしてくれた。
花柄で少し女性向きっぽいデザインだったけど、悠真さんも僕も「ありがとう」と口を揃えて言った。
悠真さんはとてもは嬉しそうではしゃいでいるように見えた。
悠真さんは言った。
「ユウとお揃いだな。なんか嬉しいな」
「うん」
そう、僕も嬉しい。
一方で、悠真さんと見えない何かで結ばれたような気がして少し気恥ずかしい。
そんな悠真さんは、意外と律儀なところがある。
後日、この間のお礼です、と言って
「これとっておきのキーホルダーです。身に着けておいてもらえると嬉しいです」
と、動物のキャラクターをあしらったキーホルダーをプレゼントしてくれた。
父はとても喜び、
「大切にします」
と胸の中に大事そうにしまった。
僕も、ありがとう、と礼を言った。
悠真さんは、
「ちょっと子供っぽかったかな?」
と言ったけど、僕はとても気にいっていた。
父は、外出することが多くなった。
ブライダルのコーディネートや、店舗向けのインテリア、イクステリアの定期サービス、公共施設のメンテナンス等、お客様から是非にと指名をもらえる事が多くなった。
一つ一つ実績を積み上げた成果だ。
それで、僕と悠真さんとで店番をする機会が増えた。
客足が途切れると、悠真さんは僕に話しかける。
「ユウ、学校は楽しいか?」
真っ先にアツシの事が思い浮かんだ。
「それが、面白い友達がいて……」
ただ、アツシの例の趣味については、筋トレ好き、ってことで誤魔化した。
うん、ギリギリ嘘は言ってない。
「ところで……」
悠真さんは話題を切り替えた。
「ユウは可愛いから、クラスで人気だろう?」
悠真さんは唐突に言った。
「えっ、可愛いって……」
僕は、反復して聞き返した。
悠真さんはそれを聞いて、
「うん、そうか……」
と言いながら、右手で僕の頬に触れ、僕をじっと見つめた。
僕は、心臓の鼓動が早くなるのが分かった。
音が聞こえてしまっただろうか。
悠真さんはにっこり笑いながら言った。
「ごめん、ごめん。確かに可愛いっていうのは変か。男の子に言う言葉じゃなかったね」
悠真さんは僕から放した手でごめんなさいを作った。
「からかったわけじゃないんだ……いや、でも本当だから」
僕は恥ずかしくなって、うつむいた。
そう。
ぜんぜん悪い気はしないし、とても嬉しい。
僕はそんな恥ずかしさから、悠真さんにずっと聞きたかったことを尋ねてみようと思い立った。
「ねぇ、悠真さん」
「なに?」
「悠真さんは、その、恋人とかいるんですか?」
悠真さんは、
「いいや、そんなのいないよ」
と即答した。
「でも、気になっている人はいるんだけどね」
と、照れ笑いをしながら言った。
僕は、悠真さんが仕事中にときおりスマートフォンで誰かと連絡をとっていることは知っている。
「でも……」
と言いかけたとき悠真さんは、僕が言いたいことを察したのか、
「あ、これ?」
とスマートフォンをちらっと見た。
「いや、ちょっと昔の仕事仲間と連絡をしあっていてね。ごめん、仕事中は控えるようにするよ」
「あ、いえ、いいんです。ちょっと気になっただけですから……」
僕は、言わなければよかったと、後悔した。
せっかく楽しい雰囲気だったのに……。
ある日、休みを取り3人で遊園地に行くことになった。
ことの発端は、父の店舗のコーディネートの依頼がキャンセルになったこと、期限が近い遊園地のチケットをお客様よりいただいたからだ。
「最近働きずめだったからちょうどいいわね」
父はそう言うと、あそこの遊園地は植物園と庭園が綺麗なので楽しみ。
とつづけた。
悠真さんは、父の笑顔に弱い。
微笑みを返しながら、
「いいですね。それではすぐにレンタカーを借りてきます」
と言って手配に向かった。
久しぶりの遊園地。
僕も父も、そして悠真さんも思いっきり楽しんだ。
僕は、こないだの悠真さんの恋人の件ですこし気分がモヤモヤしていたけど、遊園地で遊んだことで、いっさいのわだかまりは消えた。
レンタカーを返した帰り際、父はお土産にと悠真さんと僕にお揃いのハンカチをプレゼントしてくれた。
花柄で少し女性向きっぽいデザインだったけど、悠真さんも僕も「ありがとう」と口を揃えて言った。
悠真さんはとてもは嬉しそうではしゃいでいるように見えた。
悠真さんは言った。
「ユウとお揃いだな。なんか嬉しいな」
「うん」
そう、僕も嬉しい。
一方で、悠真さんと見えない何かで結ばれたような気がして少し気恥ずかしい。
そんな悠真さんは、意外と律儀なところがある。
後日、この間のお礼です、と言って
「これとっておきのキーホルダーです。身に着けておいてもらえると嬉しいです」
と、動物のキャラクターをあしらったキーホルダーをプレゼントしてくれた。
父はとても喜び、
「大切にします」
と胸の中に大事そうにしまった。
僕も、ありがとう、と礼を言った。
悠真さんは、
「ちょっと子供っぽかったかな?」
と言ったけど、僕はとても気にいっていた。
0
あなたにおすすめの小説
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
《完結》僕が天使になるまで
MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。
それは翔太の未来を守るため――。
料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。
遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。
涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる