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NO.1
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それは10年も昔の話……
あの日のことは今でも憶えている。
「お父さん……待って……いかないで……」
俺はみんなを助けるために俺に母を託し、炎に飛び込んだ父親の姿をずっと憶えている。忘れるわけが無い。
父さん、俺は約束するよ。
母さんはあの後、病気をこじらして死んでしまったけど……約束する。
絶対に俺達の村を燃やした悪魔の子に復讐する。
みんなの想いは無駄にしない。
母さんから遺伝でもらったこの魔法の力で悪魔の子を倒すんだ。
ここは伝統ある魔法学校の1つ、フェリアス学院だ。レンガ造りの3階建の校舎に巻きついた植物の蔦が、学院の歴史を良く物語っている。校舎の奥に見えるのは大きな時計塔。生徒や周辺の住民に時刻を知らせるそれがこの学院の象徴であり1番有名なものだ。
フェリアス学院は魔導師のみを教育している由緒正しき学校で、俺はここでは……
「こらー! リック! また宿題出してないな! ちゃんとやらなきゃダメじゃないか」
教師が俺を叱る声をどこか遠くの出来事のように聞き流す。
俺はここでは問題児だ。
だって俺が知りたいのは10年前の悪魔の子への復讐の仕方のみ。
それ以外の魔法なんて興味ないし、実技ならまだしも語句とか歴史とかの筆記なんてまっぴらだ。
俺はそんなことより、この学校のどこかに眠っていると言われている "全てを断ち切る光の聖剣" の在り処が知りたい。それさえ見つかればこんな学校なんてどうでもいいんだから。
「リックには罰としてあの時計塔の掃除をしてもらう。いいな?」
時計塔の掃除、その言葉が耳に引っかかった。教師の目をはっきりと見る。
「わっかりましたー」
俺はニヤリとした。
ついにあの時計塔に入れるなんて。
今まで俺は学校のいたる所を調べてきた。
そう、時計塔以外は。
その時計塔に合法的に入れるだなんて僥倖だ。罰掃除は面倒だが時計塔に入れるなら安いと思えた。
俺はニヤニヤを抑えながらも授業をほぼ適当に流して放課後を待った。
放課後、俺は時計塔へ向かう支度をしていた。そんな俺のもとに友達の一人、ジレットがやって来る。
「リック、最悪だな。時計塔の掃除だなんて。あそこ幽霊出るらしいぞー」
彼はさぞかし楽しそうに声をかけてくる。
「幽霊がででも魔法で退治するさ。俺、問題児でも実技試験は悪くないんだからな」
「知ってるよ、なぜか実技試験だけは1位なんだよな。お前は……」
ジレットはさっきと変わってちょっと悔しそうだった。俺は得意げに続ける。
「ふふん、実技だけは真面目だからなー」
「えばることか? それ。まあ頑張れよ、時計塔の掃除」
ジレットは小突くように俺の肩をたたいた。
「じゃ、俺、頑張ってくるわ」
そう言って俺はジレットに背を向ける。 待ちに待った時間の始まりだ。スキップしそうになるのを必死に抑えながら時計塔へ向かった。
あの日のことは今でも憶えている。
「お父さん……待って……いかないで……」
俺はみんなを助けるために俺に母を託し、炎に飛び込んだ父親の姿をずっと憶えている。忘れるわけが無い。
父さん、俺は約束するよ。
母さんはあの後、病気をこじらして死んでしまったけど……約束する。
絶対に俺達の村を燃やした悪魔の子に復讐する。
みんなの想いは無駄にしない。
母さんから遺伝でもらったこの魔法の力で悪魔の子を倒すんだ。
ここは伝統ある魔法学校の1つ、フェリアス学院だ。レンガ造りの3階建の校舎に巻きついた植物の蔦が、学院の歴史を良く物語っている。校舎の奥に見えるのは大きな時計塔。生徒や周辺の住民に時刻を知らせるそれがこの学院の象徴であり1番有名なものだ。
フェリアス学院は魔導師のみを教育している由緒正しき学校で、俺はここでは……
「こらー! リック! また宿題出してないな! ちゃんとやらなきゃダメじゃないか」
教師が俺を叱る声をどこか遠くの出来事のように聞き流す。
俺はここでは問題児だ。
だって俺が知りたいのは10年前の悪魔の子への復讐の仕方のみ。
それ以外の魔法なんて興味ないし、実技ならまだしも語句とか歴史とかの筆記なんてまっぴらだ。
俺はそんなことより、この学校のどこかに眠っていると言われている "全てを断ち切る光の聖剣" の在り処が知りたい。それさえ見つかればこんな学校なんてどうでもいいんだから。
「リックには罰としてあの時計塔の掃除をしてもらう。いいな?」
時計塔の掃除、その言葉が耳に引っかかった。教師の目をはっきりと見る。
「わっかりましたー」
俺はニヤリとした。
ついにあの時計塔に入れるなんて。
今まで俺は学校のいたる所を調べてきた。
そう、時計塔以外は。
その時計塔に合法的に入れるだなんて僥倖だ。罰掃除は面倒だが時計塔に入れるなら安いと思えた。
俺はニヤニヤを抑えながらも授業をほぼ適当に流して放課後を待った。
放課後、俺は時計塔へ向かう支度をしていた。そんな俺のもとに友達の一人、ジレットがやって来る。
「リック、最悪だな。時計塔の掃除だなんて。あそこ幽霊出るらしいぞー」
彼はさぞかし楽しそうに声をかけてくる。
「幽霊がででも魔法で退治するさ。俺、問題児でも実技試験は悪くないんだからな」
「知ってるよ、なぜか実技試験だけは1位なんだよな。お前は……」
ジレットはさっきと変わってちょっと悔しそうだった。俺は得意げに続ける。
「ふふん、実技だけは真面目だからなー」
「えばることか? それ。まあ頑張れよ、時計塔の掃除」
ジレットは小突くように俺の肩をたたいた。
「じゃ、俺、頑張ってくるわ」
そう言って俺はジレットに背を向ける。 待ちに待った時間の始まりだ。スキップしそうになるのを必死に抑えながら時計塔へ向かった。
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