「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな

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第0部「RINNE -友だち削除-」&第0.5部「RINNE 2 "TENSEI" -いじめロールプレイ-」

第19話 2013年10月13日、日曜日 ①

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 日付が変わり、ぼくがアリスに命令を告げたその瞬間、 
「うぐっ」 
 隣のベッドで大和省吾がうめき声を上げた。 
「大和?」 
 彼に目を向けると、巨大な魚の背骨のような形をした何かが、彼の腹部を貫いていた。 
 それは真約聖書・偽史倭人伝に記されていた古代の銅剣によく似ていた。 
 古代の銅剣は、何かに操られるようにひとりでに動き、大和の体をずぶずぶと切り裂いてゆく。
 時代劇では日本刀は罪人の首を一瞬ではねる。しかし、その銅剣は切れ味があまりよくないのか、それともわざとそうしているのか、ゆっくりと彼の体をなぶり殺すように裂いていった。まるで魚が彼の体を泳いでいるように見えた。 
 ぼくには何もできなかった。止めるどころか、指一本動かすことさえできなかった。声を出すことも。できたのは、おそろしい光景を見ないように目を閉じることだけだった。 
 大和の長い悲鳴がぼくの耳を、頭をどうにかしてしまいそうだった。 
 やがてその悲鳴は聞こえなくなった。彼が意識を失ったのか、それとも絶命したのか、目を開くと、彼の体は腹部から上が、左右にまっぷたつに切り裂かれ、もはや人の形を成してはいなかった。 
 そして彼の遺体のそばに、銅剣を手にして座る加藤麻衣の姿をぼくは見た。 
「ごきげんよう」 
 加藤麻衣が言った。 
「何をそんなに怯えているの? 死体を見るのははじめてじゃないでしょう?」 
 山汐凛、と彼女は死者の名前を口にした。 
「彼女もあなたが殺したんだもの」 
 そう言った。 
 ぼくは殺してない。そう言おうとしたが、口は動くが声が出なかった。 
「そうね、あなたは別に彼女を屋上から突き落としたわけじゃなかったわね」 
 加藤麻衣はまるでぼくの思考を読んでいるようだった。 
「でも、あなたは逃げる彼女を追いかけた。追い詰めた。あなたが彼女を自殺に追い込んだのよ。 
 そして彼、大和省吾も、あなたがその慈悲深い心で『友だち削除』しなかったために、こんなむごたらしい死に方をすることになった」 
 この女は何を言っているんだ? 自分の手に大和の血がついた銅剣が握られているというのに。彼を殺したのもぼくだと言うのか? 
「そうよ、あなたが殺したの。死んだ人たちも、存在がなくなってしまった人たちもみんなみーんな、あなたが殺したのよ。消したのよ」 
 この女はどうかしている。 
「どうもしていないわ。ただ、わたしは人間を超えただけ」 
 加藤麻衣は銅剣の刃をぼくに向けた。大和の血がその先から滴り落ちる。 
「これが草薙の剣。手にした者が世界を手に入れることのできるロンギヌスの槍よ。 
 本来の歴史では、あくまでこの国の三種の神器、草薙の剣としてしか存在しなかったもの。 
 けれど棗先生が宇宙考古学だか古代宇宙飛行士説だかっていう、馬鹿みたいな歴史を信じてくれていたおかげで、世界の歴史は彼の望むように再構築され、今わたしの手にある。 
 神になるべき人間(わたし)の手に」 
 世界を手に入れられるほどの神剣だか聖剣は、ぼくには薄汚い古ぼけた今にも朽ち落ちそうなただの銅剣にしか見えなかった。もっとまばゆく光を放っているものだとばかり思っていた。ゲームのしすぎかもしれないな。ぼくはこんな状況だというのに思わず笑ってしまった。 
「何を笑っているのかしら?」 
 不愉快そうに加藤麻衣は言った。 
「別に、何でもないさ」 
 ぼくの目の前でこの女は大和を殺した。草薙の剣はまだぼくに向けられたままだ。彼女がその気になれば、一突きでぼくは死ぬ。ぼくは怪我をしているから絶対にその攻撃をかわすことはできない。絶対絶命のピンチだった。彼女のご機嫌を損ねない方が良さそうだ。けれど、人殺しのご機嫌をとる気にはならなかった。 
「DRRシリーズがイエスが遺した肉体から作られたことは知っているわよね? 
 あれは単体では、あくまで未来の携帯電話、現在の携帯電話の機能を拡張したものにすぎない。RINNEなどのアプリケーションでの人間関係を現実世界へ影響を及ぼす程度のものでしかない。 
 DRRシリーズは所持者がこの剣を手にすることで、さらなる機能の拡張を得るようにできていたの」 
 わたしはS君やあやちゃん、あなたの友だちがお見舞いにやってきたときにいっしょにここにきた、けれどあなたたちは誰もわたしに気づかなかった、と加藤麻衣は言った。 
「二段階機能を拡張されたRINNEはRINNEの域を越えて、自分を非表示にすることができるの。だからあなたにはこの魚の背骨のような形をした剣がさっきまるで勝手に泳ぐように、大和省吾の体を引き裂いたように見えたってわけ」 
 そういえば、初めて会った部室でも加藤麻衣はいきなりぼくの目の前に現れた。けれど、そのときは彼女はまだ草薙の剣を手にしていなかったはずだ。棗弘幸の世界の再構築も行われてはいなかった。 
「わたしはもはや時間さえも超越しているのよ。あなたが記憶している数日前のわたしとの邂逅、あの時間も草薙の剣を手にしたわたしは干渉しているの」 
 つまり、あのとき彼女と会ったぼくの記憶は、今の彼女に改ざんされたものというわけか。 
 二段階機能を拡張されたRINNEと、彼女は今言った。一段階目の機能拡張はアリスたちによるもので、二段階目が草薙の剣によるものだろう。 
 二段階目にあるRINNEは、DRRシリーズの所持者の記憶さえも改ざんするのだ。それはつまり、ぼくがここまでアリスに記してきたこの物語は正しい記録ではなく、時間を超越した彼女による世界の再構築によって改ざんされた記憶に過ぎないということだ。 
「指一本動かせず、声も出せない、今のあなたの体を支配しているのもわたし。今あなたの体で正常に動作しているのは、視覚と聴覚、嗅覚だけ。無残な殺され方をする大和省吾を見るために、彼の悲鳴を聞くために、彼の血のにおいを嗅ぐために。 
 でも喋らないとつまらないわね」 
 加藤麻衣はそう言うと、ぼくに向けた銅剣の刃の先をぼくの唇に押し当てた。やはり切れ味が悪いらしく、ぼくの唇は切れず、大和の血で汚れただけだった。RPGの銅の剣は敵を切るのではなく、その重みで叩き潰すのだと、ゲームの攻略本の解説で読んだことがあった。目の前の草薙の剣も、そういうものなのかもしれない。切れ味が悪いが、なぶり殺すにはちょうどいいのだろう。大和は体を引き裂かれる激痛にもがき、苦しんで苦しんで死んでいった。 
「なぜ殺した」 
 やっと声が出た。 
 ぼくは絶対に彼女には勝てない。彼女は時間を超越しているのだ。大和と戦ったときの手はもう使えない。これ以上あやを危険にはさらせない。 
 ぼくの勝手でこんな荒唐無稽な戦いに巻き込まれ、おまけにぼくみたいな男に好意をもたされ、世界中で一番の犠牲者はあやだ。ぼくが彼女を好きかどうかはわからない。好意をもたれて、いい気になっているだけかもしれない。けれど、もう彼女に守られるのは終わりだ。ぼくが彼女を守る。 
 唇についていた大和の血の味が口の中に広がって、ぼくは絶対に負けられないと思った。 
「DRRシリーズ、ナンバー13、鈴木芹香。彼が持っていた携帯電話の名前よ。 
 彼はあなたとの戦いで彼女を失った。その罰ってところかしら。 
 DRRシリーズは48台揃ってはじめて、イエスの肉体と同等の力を得る。一台かけてしまったおかげで、わたしは完全な神になることができなくなってしまったから」 
 つまり、加藤麻衣は大和とぼく、そして加藤学の携帯電話以外の45台を今所持しているのだろう。  
「ぼくを殺して、アリスを奪うつもりか?」 
「どうしてお兄ちゃんがあなたを選んだのか、あなたは知らないと思うから教えてあげるわ」 
 加藤麻衣はぼくの質問には答えず、別の問いの答えをぼくに教えてくれるという。 
「飛行機事故で亡くなられた、あなたのお父様は、わたしやお兄ちゃんの研究所の人間だった」 
 なんだって? 
「わたしを究極のデザインベイビーとして作り出したのは、あなたのお父様よ」 
 嘘だ。そんなことがあるわけがない。 
「DRRシリーズの開発を指揮していたのも、あなたのお父様」 
 嘘だ嘘だ嘘だ。絶対に騙されるものか。 
「だから、わたしとあなたも兄妹なのよ。 
 お父様はよく言っていたわ。わたしと対になる存在がいる。それは自分の息子だと。 
 わたしがイブならあなたはアダム。あなたがイザナギなら、わたしはイザナミというわけ。 
 わたしはそれがとても不愉快だった。わたしはこの世界で一番がよかったの。 
 あなたのことを調べて、不登校のひきこもりだと知ったとき、あなたがわたしと同等の存在だなんて絶対に思いたくなかった。不愉快以外の何物でもなかったわ。 
 だから、殺したの。飛行機事故を装って」 
「なんだと……?」 
「だって大人のつまらない冗談ってわたし嫌いなんだもの」 
「お前、自分が何言ってのかわかってるのか?」 
「親殺しの報告を、同じこどものあなたにしているだけよ」 
 感情をむき出しにするぼくに、加藤麻衣は淡々とそう告げた。 
「あの飛行機に一体何百人乗ってたと思ってるんだ?」 
「乗員乗客あわせて324人よ。たったの324人。あははは、何をそんなに目くじらを立てる必要があるの?」 
「その324人には1206人の家族がいて、今も家族を失った悲しみを抱えて生きているんだぞ!」 
 ぼくの叫びは、 
「だから、何?」 
 彼女には響かない。ぼくの家では、思い出すのがつらいから、誰も父さんの話をしなくなったというのに。 
「だから、お兄ちゃんはあなたに草詰アリスを授けた。あなたが自分で自分の身を守れるように。そして、あなたのお姉さんに近づいたのも、わたしからお姉さんを守るため」 
 あなたには選択肢をあげるわ、と加藤麻衣は言った。 
「わたしに服従を誓うか。それともわたしの敵になるか。 
 お兄ちゃんの夏目メイの番号とIDを知っているのはあなただけ。 
 あなたの草詰アリスの番号とIDを知っているのもお兄ちゃんだけ。 
 どちらかがわたしに服従を誓ってくれれば、わたしは47台のDRRシリーズを手にできるわ。 
 けれど、お兄ちゃんはわたしが神になることをよく思ってないみたいなの。自分が神になるつもりもないみたい。 
 だからお兄ちゃんがわたしに服従することはないわ。 
 あなたがわたしに服従を誓って、お兄ちゃんを『友だち削除』して、草詰アリスを差し出してくれるのが、わたしとしては一番いいのだけれど」 
 仰向けに寝ていたぼくは、体を横に向け、ゆっくりと起き上がった。不思議と痛みはなかった。 
「お前は神になってどうするつもりなんだ?」 
 ぼくは尋ねた。 
「お前は頭の出来も体の作りも、人類史上最高傑作なんだろ? 神にならなくても世界はお前の思い通りなんじゃないのか?」 
「愚問ね。人類史上最高傑作だからこそ、人でいることに耐えられないのよ。あなただってそうでしょう?」 
 何? 今こいつなんて言った? 
「言ったでしょ。あなたはわたしと対になる存在だって。あなたもわたしと同じ究極のデザインベイビーなのよ」 
 もう笑うしかない。ぼくがデザインベイビーだって? 
「デザインベイビーが不登校や引きこもりになるわけないだろ」 
「そうね、きっと失敗作だったのね。あなたが持っているものは優れた頭脳や肉体とは程遠い。精神も脆弱極まりない。お父様は一体何を作ろうとしてあなたを作ったのかしら? けれど、わたしは違う、あなたと違って本物のデザインベイビーなの」 
「だから神になるってわけか」 
「そうよ」 
「もう一度聞く。神になってお前は一体どうするつもりなんだ?」 
「わたしはお兄ちゃんに愛されたい。ただそれだけよ」 
 それは、予想外の答えだった。 
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