「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな

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【第三部 異世界転移奇譚 RENJI 3 - PINOA - 】「やったね!魔法少女ピノアちゃん大活躍!!編」

第189話 黄泉ミカナ(よもつ みかな)

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 雨野ミカナさえいれば、「我々」などもはや必要ない。
「我々」に代わる新たな手駒を探していた白き匣は、完全に確信した。


 イレブンス・テラで、17年前に「我々」という組織は壊滅し、匣はすべて破壊された。
 役目を終えた黒き匣は、すべてのテラからその存在が消滅した。

 黒き匣さえなければ、あとはすべての匣を再生するだけだった。

 しかし、リバーステラの箱庭に過ぎなかったテラで、72個の匣を再生することは危険だと白き匣は判断した。

 テラには、匣の存在を知る者が少なからずいた。
 その者たちは、大厄災を止め、我々を壊滅させただけでなく、すべての匣を破壊した者たちだったからだ。

 魔法やエーテルという存在を、ピノア・オーダー・ダハーカが精霊たちと共に消し、一度ミカナがエネルギーが有限にした世界を、無限のエネルギーが存在する世界にしていたが、精霊たちの中にはあのアリスがいた。

 彼女に気づかれてしまえば、黒き匣を産み出されかねない。
 エーテルはともかく、魔法を復活させられてしまったら、匣の存在を知る者たちは再びひとりひとりが世界を滅ぼせるだけの力を手にしてしまう。

 そもそも、白き匣の目的は、すべての匣を再生させることよりも、イレブンス・テラのジパングのふたりの女王よりも強大な力を持つ雨野ミカナの力を手に入れることであった。

 だから白き匣は、どうしてもリバーステラへと渡らなければいけなかった。
 魔法が存在しなくなったテラにおいても、白き匣はゲートを生み出すことができた。
 それは魔法ではなく科学技術であったからだ。

 しかし、白き匣が持つ力は、72個の匣を再生する力と自らの形状を変化させる力だけであった。

 ゲートは白き匣が生み出すのではなく、実際には白き匣自身がゲートになる。
 そしてゲートになっている間は、人の姿になり、ゲートをくぐることはできない。

 白き匣がそのゲートをくぐるためには、ゲートをくぐる者の衣類や持ち物などに少しずつ形状を変化させつつ、その者が完全にリバーステラに渡りきる瞬間までゲートを維持し、尚且つ自身もゲートを渡りきり、ゲートを閉じると同時に完全にその者の衣類や持ち物に必要があった。

 白き匣は、自らをリバーステラへと運ぶ者として、匣を破壊した者たちの関係者であり、何の力も持たないサクラ・アキツキ・ダハーカを選んだ。

 そのために、サクラの行動を17年観察し、99.815109%の確率で彼女を運び屋とすることが可能な場所と日付、時間帯を選んだ。

 だが、残る0.184891%の確率の中でも最も低い可能性でしかなかったピノアが運び屋となってしまった。

 彼女はあまりにサクラによく似ていたため、白き匣はすぐに気づくことができず、気づいたときにはもう後戻りができなかった。

 それだけでなく、リバーステラにたどりついたピノアは、アルビノの魔人の姿を取り戻し、リバーステラにはエーテルと魔法が存在した。

 だが、まぁ、いいだろう。

 無事、雨野ミカナの力を手に入れただけでなく、彼女に成り代わることができた。

 雨野ミカナならぬ黄泉ミカナ(よもつ みかな)は、部屋を出た。

 そして、殲滅対象であるピノア・オーダー・ダハーカ、璧隣寝入、雨野ムスブ、雨野真依、そして雨野タカミをつぶさに観察した。

 雨野真依の子宮の中には赤ん坊がいることはすぐにわかった。

 72個の匣の中にはひとつだけ、胎児を宿主とし、その母親を匣女とする匣が存在する。

 ひとつ目の匣の再生を始めよう。

 黄泉ミカナは、こみあげる笑いをこらえながら、真依の隣に腰をおろした。

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