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第一部「おにーちゃんさえいればいい」
2020/08/2X 「マジで駆け落ちする5秒前」
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わたしは、ここ最近、たまに、というか、しょっちゅう思うんのですが、おにーちゃんとおかーさんの相性が絶望的に悪いのです。
おにーちゃんが何にもしてないときには話しかけたりしないのに、LINEの返事してたり、急に何か閃いて、それを忘れないようにスマホのメモ帳に書いたりしてるときに限って、
「どこどこの誰々さんは~」
っていう、超どうでもいい話をおかーさんがしはじめるのです。
わたしはおにーちゃんにいつもべったりだから、その場に居合わせることが多いんのですが、おかーさんの話はおにーちゃんもわたしも知らないような人のことだったり、ご近所さんや親戚の悪口だったり、おにーちゃんもわたしもまったく興味のない話ばかりで、おにーちゃんにとって何一つ得るものがない話でした。
録画した番組やDVDを観てるときも一緒に観るとか聞くんじゃなくて、テレビの音量よりも大きな声で、そういう話や、出演者のスキャンダルの話とかし始めるのです。
おにーちゃんはテレビの音量を上げざるを得なくなるのですが、おかーさんは音が大きい、うるさいって言うのです。
おかーさんの声の方が大きくて、テレビの内容がまったく入ってこないから音量を上げているだけなのに……
何か真剣にやってるな、観てるな、ってことくらい、一目でわかるはずだから、もはや何かしらの悪意があるのかと思うレベルなのです。
しかし、おかーさんにはまったくそんなつもりがないらしく、邪険にされると本気で凹んで、自分を卑下しはじめるのです。
その頃には、おにーちゃんの顔も目ももう死んでる……
クーラーがあって、Wi-Fiが確実に繋がる部屋は限定されてるし、何よりリビングのテレビが我が家で一番大きなテレビなので、わたしも兄もリビングにいることが多いのですが、わたしたちがもういいやってなってしまって、小さいテレビしかないおにーちゃんの部屋に移動したら寂しがるし……
あと、おにーちゃんの話を最後まで聞かないのです。
ちょいちょい口をはさんでいつの間にか話の主導権もっていってしまいます。
わたしはそのたびに、ここから段々オチに向かっていっておもしろくなるところなのに~ってなっていました。
この一ヶ月でおにーちゃんが何回も注意してるのに、
「気づかなかった、気を付けるわ」
と言っては、数時間後にはおかーさんはまた同じことを繰り返していました。
わたしに対してはちゃんとできることが、なんでできないんだろう……
これが息子と娘の違いなのかな……
おにーちゃんはもう、おかーさんをどうにかすることを諦めはじめていて、最近はすぐに顔と目が死んで、すぐに自分の部屋にいくようになりました。
わたしは心配だからおにーちゃんについていって、おかーさんには絶対ついてこさせないようにしていました。
おかーさんは、毎日自分がおにーちゃんを少しずつ少しずつ、時間をかけて追い詰めていってることにすら気づいてないのです。
「何にも悪いことしてないのに、ほんとにあんたは怒りっぽいんだから!」
と、怒ってすらいない、ただただ顔が死んでるおにーちゃんにはっきり言ってたのを見たときに、
家族ってなんなんだろう?
って、わたしは思ってしまいました。
わたしは最近はもう、おにーちゃんとふたりで、心中……じゃなくて、愛の逃避行的なやつ……
あ、かけおち!
かけおちしたくてしょうがなくなっていました。
この家にいたらおにーちゃんはだめ。絶対ダメ。ダメ絶対。おかんあかん。
おにーちゃんが何にもしてないときには話しかけたりしないのに、LINEの返事してたり、急に何か閃いて、それを忘れないようにスマホのメモ帳に書いたりしてるときに限って、
「どこどこの誰々さんは~」
っていう、超どうでもいい話をおかーさんがしはじめるのです。
わたしはおにーちゃんにいつもべったりだから、その場に居合わせることが多いんのですが、おかーさんの話はおにーちゃんもわたしも知らないような人のことだったり、ご近所さんや親戚の悪口だったり、おにーちゃんもわたしもまったく興味のない話ばかりで、おにーちゃんにとって何一つ得るものがない話でした。
録画した番組やDVDを観てるときも一緒に観るとか聞くんじゃなくて、テレビの音量よりも大きな声で、そういう話や、出演者のスキャンダルの話とかし始めるのです。
おにーちゃんはテレビの音量を上げざるを得なくなるのですが、おかーさんは音が大きい、うるさいって言うのです。
おかーさんの声の方が大きくて、テレビの内容がまったく入ってこないから音量を上げているだけなのに……
何か真剣にやってるな、観てるな、ってことくらい、一目でわかるはずだから、もはや何かしらの悪意があるのかと思うレベルなのです。
しかし、おかーさんにはまったくそんなつもりがないらしく、邪険にされると本気で凹んで、自分を卑下しはじめるのです。
その頃には、おにーちゃんの顔も目ももう死んでる……
クーラーがあって、Wi-Fiが確実に繋がる部屋は限定されてるし、何よりリビングのテレビが我が家で一番大きなテレビなので、わたしも兄もリビングにいることが多いのですが、わたしたちがもういいやってなってしまって、小さいテレビしかないおにーちゃんの部屋に移動したら寂しがるし……
あと、おにーちゃんの話を最後まで聞かないのです。
ちょいちょい口をはさんでいつの間にか話の主導権もっていってしまいます。
わたしはそのたびに、ここから段々オチに向かっていっておもしろくなるところなのに~ってなっていました。
この一ヶ月でおにーちゃんが何回も注意してるのに、
「気づかなかった、気を付けるわ」
と言っては、数時間後にはおかーさんはまた同じことを繰り返していました。
わたしに対してはちゃんとできることが、なんでできないんだろう……
これが息子と娘の違いなのかな……
おにーちゃんはもう、おかーさんをどうにかすることを諦めはじめていて、最近はすぐに顔と目が死んで、すぐに自分の部屋にいくようになりました。
わたしは心配だからおにーちゃんについていって、おかーさんには絶対ついてこさせないようにしていました。
おかーさんは、毎日自分がおにーちゃんを少しずつ少しずつ、時間をかけて追い詰めていってることにすら気づいてないのです。
「何にも悪いことしてないのに、ほんとにあんたは怒りっぽいんだから!」
と、怒ってすらいない、ただただ顔が死んでるおにーちゃんにはっきり言ってたのを見たときに、
家族ってなんなんだろう?
って、わたしは思ってしまいました。
わたしは最近はもう、おにーちゃんとふたりで、心中……じゃなくて、愛の逃避行的なやつ……
あ、かけおち!
かけおちしたくてしょうがなくなっていました。
この家にいたらおにーちゃんはだめ。絶対ダメ。ダメ絶対。おかんあかん。
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